財務院から届いた資料は、馬車で来た。 比喩ではない。 本当に、馬車一台分だった。 王宮西棟の裏口に横づけされた財務院の馬車から、木箱が一つ、二つ、三つと降ろされる。箱には丁寧に封がされ、財務院の印まで押されていた。 王宮臨時顧問室の前に運ばれてきたそれを見て、オスカーは眼鏡を押し上げたまま黙った。 イリスは、無表情のまま言った。 「これは、書類ではなく攻城兵器でございますね」 クラリスは、木箱を見つめる。 昨日、バルツァー財務卿に依頼したのは、慈善関連支出資料を年度別、品目別、商会別に分類して提出することだった。 その返答が、これである。 箱は六つ。
Last Updated : 2026-08-21 Read more