Share

あなたを守りたい④・産休ライター①

Author: 藍沢咲良
last update publish date: 2026-09-20 05:00:00

肯定も否定もしてはいけない。だって私はインタビュアーだから。一度その境界線の向こうに片足だけでも突っ込んでしまったら、私も関係者になってしまう。不倫のインタビューって、こんなに難しかったのか。

麻子さんは、きっと今でも岳さんを想ってる。それでも麻子さんが離婚しないのは、岳さんの立場を守るためでもあるけど、旦那さんへの忠誠心もあるのかもしれない。

あのとき麻子さんは旦·那·さ·ん·と·の·回·数·が·増·え·た·と話していた。それは、旦那さんの防衛本能というか、麻子さんを手元に置く為の奪還行為だったのかもしれない。

麻子さんも岳さんも神妙な顔してるけどさ。一番の被害者、麻子さんの旦那さんだからね?みんな、そこ忘れちゃダメなやつよ?あ。だからお墓の中まで持ってく話なのか。

しかしなあ……。不倫モノのドラマって、大抵最後どっちか死ぬか心中だ。でも現実の当事者は案外たくましい。厚かましいと言った方が合ってるのかもしれない。

現実、だもんな。ドラマは最後、誰か死なないと収まりがつかない。でも私達が
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   あなたを守る、強さが欲しい④

    律樹の食べっぷりは本当に気持ちがいい。俺もよく食べる方だけど、律樹の食欲と食べるペースは俺の倍だ。律樹の母ちゃんお手製のお弁当はいつも二つだ。早弁用と昼食用。俺も早弁するときあるけど、基本、店のまかないだ。律樹の弁当もまかないなんだそうだ。律樹の家はデカ盛りの店を経営している。互いに家が飲食店であることがわかってから、特に仲良くなった。「今日も早えな」「普通でしょ。お前、今日は餃子と唐揚げしか食わねえの?」「ちょっとな」「ふーん」律樹は必要以上に干渉しない。楽だ。大抵は、「何があるんだよ」としつこい追及が始まるもんだ。さっぱりしたこいつの性格のおかげで、俺は割と快適に過ごせている。しっかし、お冷《ひや》を入れる手つきが慣れてんな。まだ高校生である俺たちは、お冷ひとつ入れるにも慣れているやつとそうでないやつの差が激しい。お冷も入れられないやつらって、一体どうやって生きてきたんだか。全部親にやってもらってたのだろうか。律樹が特盛ラーメンを食べ終える頃。れいなちゃんが店の入り口を開けた。「こんばんは……」ちょっと恥ずかしそうな顔で、れいなちゃんはいつも入ってくる。いいね。今日も恥じらいひとつ、頂きました。「ん?あれ、壇先生じゃね?」「れいなちゃん!こっち」軽く目を見開いた彼女は、カウンター席の俺の隣に当然のように座った。「えっと……菅原、くんも一緒だったんだ」完全オフの彼女モードから瞬時に先生モードに戻った。戸惑った顔も良かったんだけどな。って俺、れいなちゃんに律樹がいること言ってなかったか。やば。後で絶対怒られるやつ。ほら、れいなちゃんの背後に炎がほんのりと……見える気がしている。「お前、何で壇先生と……」「あー……えっと」バラしていいのか?いやダメだろ。でも律樹だったら黙っててくれると思う。ただカミングアウトした場合の、俺の隣に座るれいなちゃんの戦闘力が53万を超えてそうな気がする。やべえ。スーパーサイヤ人並みの圧を愛しのれいなちゃんから感じる日が来るとは。「付き合ってんの?」「え、いや、その」隣からの圧が更に増えた。れいなちゃんの方を向けない。彼女が今どんな表情してるかなんて、考えただけで恐ろし過ぎる。「先生、大丈夫ですよ。俺、口固いから」実際律樹は言いふらすようなやつではない。警戒心強めの俺が心許して話せる数少ない人間だ

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   あなたを守る、強さが欲しい③

    れいなちゃんの元彼は大人しくしているようだ。スマホの全ての連絡手段をブロックしたと、れいなちゃんは言っていた。彼女の新居も当然ヤツには伝えていない。その上接近禁止令。うん、完璧。これでれいなちゃんが元彼のせいで苦しむことは無くなった。授業中に騒いでいた奴らは俺が目を光らせているから問題無い。本当は鈴木も何とかしたい。でも俺、鈴木と全く接点が無い。下手に近づいて、れいなちゃんと何かあるって勘づかれたらまずい。許されるなら、れいなちゃんをあのアパートの部屋に閉じ込めて、全てのストレスから彼女を守りたい。しかしそれを、世の中では軟禁と言われてしまう。そして俺にそんな力はまだ無い。俺に力があれば。腕力だけじゃだめだ。財力、権力も、れいなちゃんを守るために必要ならば身につけてやる。じゃあどうする?腕力には筋トレ?筋肉は裏切らないからな。筋肉を限界まで追い込むって快感以外の何ものでも無い。それをれいなちゃんに話すと変な顔をされる。「この子、何言ってんの?」って顔に書いてある。財力と権力。ああ、考えたくないけど、結論として出したくないけど。どう考えても、今の俺に出来る財力と権力の身につけ方って勉強なんだよな。はい、頑張ります。れいなちゃんを守れる、れいなちゃんに相応しい男になる。それが俺の、最近の全てに対するモチベーションだ。「ねえ、絢斗お。ここ、わかんないんだけどお」また来た。今日何回目だよ。何なら今日数学ありませんけど。聞くなら理系のやつに聞けよ。ここが文系クラスだとこいつはわかってないんだろうか。「解説読めよ」「だってえ。解説短いんだもん」「俺忙しいから理系のやつに聞いて」「理系の子の説明わかんないんだもん」やべえ。こいつ、本当に入試受けたんだよな?あ、内部進学組か。この翠嶺高校は、高校からの外部進学は偏差値が高いので有名だが、中等部からの進学組は、落ちこぼれていても高等部に進学可能だ。裏で親が追加課金しないといけないという噂だが。律樹《りつき》に視線を送る。目が合う。まばたきを数回する。伝われ。俺が助けを求めてるって、伝われ。まじ助けて律樹。俺をこのケバ嬢から解放してくれ頼むから。「白石さん」ケバ嬢が律樹の方を振り返る。振り向いた瞬間の、傷んだ長い髪からくっさい香水が臭った。香水ってさ、においって本来匂いだよな。でもこのケバ嬢から出

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   あなたを守る、強さが欲しい②

     名門校って、自分で言うのは草だけど、でもステータスになっているのは間違いない。ああ笑えよ。笑うがいい。でもな、俺は守りたい人のためなら、自分の持つ全ての武器は使うんだよ。使えるもんは全部使う。全てを差し出して、俺はれいなちゃんを守る。警察に相談して良かった。実際れいなちゃんは本当に暴力を受けていた上に、その彼氏のせいで苦情まで来ていた。これは俺だけでは何もできなかった。彼氏に間男扱いされて、俺も一緒に殴られた上に、何か名誉を傷つけられていたことだろう。女に手を上げるような姑息な男はそれぐらい簡単にする。俺の人生で、今回ほど警察に感謝したことは無い。その翌日、彼氏はれいなちゃんの家に訪問していた。咄嗟に彼女が通報していなかったら危なかっただろう。昨日の今日で、接触禁止令をガン無視する元彼。やば過ぎるだろう。心配でれいなちゃんのところに行こうとしていた俺は、れいなちゃんに偶然会えた。でもその元彼退治には連れて行ってもらえなかった。理由は簡単だ。誰も言わないけど、俺が足手まといになるからだ。もうすぐ18で成人扱いしてもらえる割には、現実の俺は無力だ。好きな女ひとり、自力で守り切ることすらできない。今の俺にできることって何だろう。腕力だけでは彼女を守れない。結局のところ、またステータスか。偏差値高い大学行って、それを武器に就職してからじゃないと、俺はれいなちゃんを守る男としてエントリーすらできない。「ねぇ絢斗ぉ。私数学わかんないから教えてよお」ツレの女がつるんでるやつだから仕方ない。この香水のせいで俺の集中力阻害されてるけど、今この瞬間だけだ。我慢だな。「どこ」この女と話してる時間すら惜しい。塾に行くまでの間に問題集のこの部分は終わらせておきたい。あ、ちょっと。アップはやめてもらえませんか。厚化粧のアップは勘弁してください。しかし化粧はケバいけど勉強するんだこいつ。でもそうか。ある程度勉強する人間じゃないと、そもそもこの高校に入れていない。「えっとお。たくさんあるからあ。放課後、図書室で教えて?」「放課後無理。塾の講義時間ギリだから」ていうかお前も無理。香水も無理。化粧濃いのも無理。なのに、れいなちゃんの香水は好きなんだよな。れいなちゃんの化粧も嫌じゃない。何なんだろな。俺が惚れてるから?こないだ、元彼を警察とともに追い払った──俺は全く役に立た

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   100%の幸せって?/あなたを守る、強さが欲しい。①

    ふっふっふ……。今回のPV数も上々。いいね、私。才能あるんじゃない?インタビュアーとして、ライターとして、そろそろ売れっ子を名乗ってもいいんじゃないこれ。桐生くんに清い話を聞かされたときには「あ。今回お蔵入り決定……」とか思ったけど。そうでもなかった。あのふたりがちゃんとやることやってて良かった。いや倫理的にはたぶん良くないんだけど。たぶん。私の仕事的にはこの展開であった現実がありがたい。麻子さんと岳さんの恋は、最後には悲恋になってしまった。麻子さんが岳さんの子を秘密裏に出産して以降、彼女がどうなったかはわからない。岳さんも今はどうしているのか。やはり不倫の最後は幸せではないのだろう。旦那さんという犠牲者がいるなら、100%の幸せを築くっていうのは、無理があるのだろう。今回のふたりはどうだろう。檀さんは結婚しているわけではない。独身だ。お相手であるところの桐生くんは高校生。でも3年生。一年間ふたりがうまいこと隠し通せれば、来年の春にはふたりは自由の身。檀さんは職場にオープンには出来ないけど、万が一目撃されても後ろ指を差されることは無いだろう。たぶん。お局様が大人しくしてれば、だ。仮面の告白だけれども。でも幸せになれそうなふたりなら、どうにかして幸せになって欲しいって考えるのは勝手だろうか。「ほのか、また記事出したんだ」スマホ片手に健次郎がリビングにやってきてソファの私の隣に座った。今日もうちの旦那様は美空と博樹のダブル寝かしつけという難易度高めのミッションを無事にやり終えたようだ。「もうチェック済み?早いね」「奥さんの記事をYahoo!で見つけるって新鮮だよ」「ふふふ。あなたのヨメ、優秀でしょ」「ああ、優秀だ。……なあ、こんな話聞いてると、もう刺激はいらなくなっちゃうもの?」「どういうこと?」珍しく健次郎が口ごもる。言いたいことをズバズバ言うこの人がこうなるなんて、明日は雪かな。「その……関係持つ話も聞くんだろ?」「そうだよ」どうしたんだろう。なんでこの人が照れてるんだろう。「結構赤裸々に、聞かされるの?」「赤裸々な人とそうでない人がいるよ。前の不倫カップルの女性はそれはそれは赤裸々に……」麻子さんはものすごく具体的に話す人だった。インタビュアーなのに途中からやってられない気分になってお酒飲みたくなった記憶がある。「今回も

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   れいな、骨抜かれる⑥/ほのか、苦笑い/第三稿

    我慢?我慢、とは……?あ、これね。私の太ももに硬くなった絢斗が当たっていた。 「でも、私、絢斗とそうなったら捕まっちゃうよ。淫行扱いされちゃう」 「俺からだったら問題無いでしょ」 「でも絢斗未成年」 「もうちょっとで18」 くすくす笑いながら、唇を重ねたり離したりしながら、私を包む力が強くなってきた。リップ音と荒い息が混ざり合って、もう止められない。 腕を絢斗の首に絡める。それを合図に、絢斗の手のひらが私の膨らみを包んだ。先端が硬くなっていく。理性がとめどなく溶けていく。 「ね、部屋、入って」 「もう俺、止められないよ?」 「止めなくていいの。ね、早く襲って?」 靴を脱いで部屋の奥のベッドに絢斗を連れて行くはずだったのに。ゆっくりと押し倒された私の身体は床のラグに縫い付けられた。 言葉はいらなかった。互いの息づかいと衣擦れと夜の帳が、この世界を包んでいた。服を脱いだ絢斗の身体は程良く筋肉がついていた。 「れいなちゃん……綺麗だ」 「……そんなに、見ないで」 月明かりに照らされた、私と絢斗。私達を遮るものは何も無い。絢斗から与えられる快楽に身を任せていた私を、更なる刺激が脳天を貫いた。 「はあっ……けん、と……」 「れいな……俺、幸せ」はいアウトー!それ淫行じゃん。捕まるじゃん。どうしよう……。未成年側から襲ったなら淫行にはならないらしいとは、さっきスマホで検索した情報にはあったけど。いいのかこれ記事にして。でもいいか。私が責任取るんじゃないし。このふたりに会えって言ってきたのは編集部なんだし。このふたりの関係がどんなのかわかってる上でインタビューの場を設けてるんだから問題無いよね?やだよ?私ネット上で消されるの。炎上、ダメ、絶対。何だかんだ刺激的……。編集部も美味しい人達連れてくるなあ。世の中って私が知らないだけで結構こんな話多いわけ?私が知らないだけ?何というか波瀾万丈な世の中。いかに自分がぬくぬく生きてきたかがよくわかる。さあ、ここまでをどう書こうかな。まだまだ美味しそうな続きがありそうな雰囲気ムンムンだけど、記事にまとまらなさそうだから一旦ここで切ろう。またPV上がるかな?今回は教師と生徒、禁断の愛。ヒモ彼氏からのDVというおまけ付き。新卒だからって、いびってくるお局様もいらっしゃったか。ひゃあ。檀さんよく耐え

  • 仮面の告白〜甘美な誘惑に堕ちたわたしたちは、甘い蜜から逃げられない〜   れいな、骨抜かれる⑤

    「檀さん、そちらの男性は」「れいなちゃんの保護者です」保護者って……ある意味保護してくれてるのは間違いないんだけど。「失礼を承知で申し上げますが、今回は男女のトラブルですよね。そちらの男性が檀さんといるのを目撃された場合、激昂する恐れがあります」「俺が守るから大丈夫です」田中さんは私の顔を見た。私は首を微かに振った。「檀さんが警察を呼ぶに値すると判断されたから私はここに来ています。そうですね……あなたはそこのロミオで待機していてもらえませんか?追い払ったら檀さんから連絡してもらえれば」田中さんが目で示した先に、駅前の喫茶ロミオがあった。涼介に顔が割れてる絢斗は、涼介と対面しない方が絶対にいい。「でも俺……!」「ね、絢斗。お願い」「パトカーで連れて行きますので。大丈夫、信じてください」パトカー?今ここから見える範囲にパトカーはいない。きょろきょろと見渡す私に、田中さんが「もう一人の警察官が待機しているんです。パトカーが見えたら逃げてしまう恐れがあるので」と説明してくれた。「わかりました。れいなちゃんを、お願いします」深々と頭を下げる絢斗。涼介は私の為に、こんな風に頭を下げてくれたことがあっただろうか。涼介の確保はあっという間だった。前日の深夜に接近禁止令が出たのに、全くもって無視していた涼介は任意同行を求められた。カッとなりやすい涼介はやはり激昂し、田中さんに掴みかかったところを公務執行妨害の現行犯で逮捕された。連れて行かれたのは涼介だけだった。私に対する事情聴取は私の部屋に行くまでの道すがらに田中さんに話した内容で良しとされたらしい。『終わったよ。彼氏、さっきの刑事さんに掴みかかって公務執行妨害やらかして連れてかれた』『終わって良かった。そっち行っていい?』『帰った方がいいよ。受験生じゃん』待っててもらったのに。電車乗り継いでここまで来てもらったのに。冷たいかな。でも、ここで絢斗に甘えるわけにいかない。『それは無理。もう着いたし』──え?着いた?顔を上げてドアの方を見たのと同時にインターホンが鳴った。覗き窓から見たら最強レベルのイケメン……つまり絢斗がそこに立っていた。「え、絢斗?どうして」「れいなちゃん……良かった」ドアを開けて絢斗の顔を見上げた。不安と安堵がごちゃ混ぜになったような、泣いてしまうんじゃないかって

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status