爆煙が、 夜空へ広がっていた。 ヴァルグレイドの魔力砲が逸れ、 遥か山脈の向こうで爆発した余波は、 今も大地を震わせている。 焦げた草原。 吹き荒れる熱風。 そしてその中心で。 トシオは、 「なんか派手じゃのぉ」 みたいな顔で空を見上げていた。 「じーちゃん基準で話さないで!?」 タマの叫びが草原へ響く。 カリヴァ=ドラグニルは、 額を押さえていた。 理解が追いつかない。 国家兵器級の魔力砲を、 拳で弾き飛ばすなど、 歴史上の竜王ですら不可能だ。 しかも本人に、 その自覚がまるでない。 「……本当に何者なんだ、 あの男は」 竜人兵の一人が、 青い顔で呟いた。 その時。 ゴォォォ…… 空中要塞ヴァルグレイドが、 ゆっくり後退を始める。 ミーコが目を細めた。 「退いた……?」 「いや」 カリヴァは空を睨む。 「様子見だろう」 巨大要塞は、 一定距離を保ちながら旋回していた。 まるで。 “観察”しているように。 「気味悪いのぉ」 トシオがぼそりと呟く。 ミツコは、 そんなトシオの服についた土を払っていた。 「また破れとるよぉ」 「おぉ、ほんとじゃ」 「ほんとじゃじゃないの」 夫婦の空気が、 あまりにも自然すぎて、 周囲の緊張感がおかしくなる。 タマは呆れ顔。 ユキは少し安心したように笑う。 だがミーコだけは、 まだ空を見ていた。 その横顔には、 王女としての影が残っている。 カリヴァは、 そんなミーコへ静かに声を掛けた。 「アクアリア王女」 ミーコの肩が揺れる。 少しだけ間があってから、 彼女は振り返った。 「……何でしょう」 「ここは既に危険地帯だ。 ヴォルグラード帝国領まで同行願いたい」 竜人兵たちが頷く。 当然の提案だった。 今のミーコは、 世界中から狙われている。 だが。 「嫌じゃ」 トシオが即答した。 全員が固まる。 「……は?」 カリヴァの目が点になる。 トシオは腕を組んだ。 「知らん人ばっかりの所は疲れる」 「子供みたいな理由で断らないでください!!」 タマが
Última actualización : 2026-09-15 Leer más