夜の11時を過ぎていたにもかかわらず、スカーレットは病院を後にした。彼女はタクシーを拾い、トバイアスが留置され、マグダレンが彼女を待ち構えている警察署へと向かった。本来なら車で20分ほどの道のりだったが、幹線道路の激しい渋滞のせいで1時間近くもかかってしまった。彼女がロビーへ足を踏み入れ頃には、マグダレンは怒りで顔を真赤に染め上げていた。「一体どれだけ待たせるつもり!? 20分で行くって言ったじゃない!」義母は彼女の姿を見るなり怒鳴りつけた。「わざと私をここで待たせたの!? 私を苛立たせようとしているの、スカーレット!?」スカーレットはマグダレンに気のない視線を向けた。「渋滞のせいにしてください。あなたをこんなに待たせたのは渋滞ですから」皮肉交じりに返し、彼女はすぐに視線を逸らした。ロビーに義母を残したまま、彼女は尋問室へと続く廊下をまっすぐ突き進んだ。部屋の中では、トバイアスとヴァニスが隣同士に座っており、その傍らにはスカーレットの見覚えのない二人の女性がいた。ヴァニスがその二人を親の敵のように睨みつけている様子からして、トバイアスが新たに引っ掛けた女たちなのだとスカーレットは察した。ヴァニスは泣きじゃくったばかりのようだった。頬は濡れたままで髪はボサボサになり、一連の出来事が悪夢であったかのように酷く動揺した様子を見せていた。一方のトバイアスは、あからさまに居心地の悪そうな様子だった。ネクタイの位置を何度も直し、床を見つめては、再びネクタイを整える動きを繰り返していた。彼はスカーレットの目を真っ直ぐ見返すことすらできずにいた。デスクの奥に座る警察官が彼らに目を向けた。「やあやあ、またお一人ご到着だ。トバイアス・アルダマさん……一体あなたには何人の女性がいるんですかね?」彼は嘲笑交じりに問いかけた。トバイアスの奥歯が固く噛み締められた。首元まで赤みが差し、彼はただ黙り込んだまま、このまま床に穴でも掘って丸くなりたいと言わんばかりだった。マグダレンがすさかず間に割り込み、スカーレットを尋問室の中へと引きずり込んだ。「お巡りさん、この人がトバイアスの妻ですのよ。あちらの三人の女性は……ただのお友達ですわ。何かの誤解です。うちの息子がそんな破廉恥なことをするはずがございません。どうか、この子を釈放してやってくださいな」警官は全く納得がいかない様子で
最終更新日 : 2026-10-04 続きを読む