土曜の朝9時。保護猫の譲渡会に来ていた。猫を飼う予定はない。というより、マンションがペット不可。なのに来た。理由は簡単。猫を見たかったから。それだけ。会場には10匹くらいの猫。白。黒。三毛。茶トラ。私は最初に三毛猫の前でしゃがんだ。「かわいい……」三毛猫がこちらを見る。手を近づける。ぷい。顔を逸らされた。「冷たい」スタッフの女性が笑う。「その子、人を選ぶんです」「選ばれなかった?」「今のところ」悲しい。もう1回。指を出す。無視。「脈なしですね」「結構はっきりしてます」猫に朝から振られた。隣のケージへ移動する。黒猫。こっちを見る。今度こそ。指を出す。くんくん。そして、ぺろ。舐められた。「勝った」何にか分からないけれど、嬉しい。スタッフが笑う。「珍しい。その子、初対面には結構慎重なんですよ」「じゃあ私、猫にはモテる?」「猫には」強調された。「そこ、猫だけって言わなくても」「事実なので」土曜の朝から容赦ない。黒猫はさらに顔を寄せる。私の指へ頭をこすりつける。「名前は?」「くろまめ」「見たまま」「仮名なんで」「くろまめ」呼ぶ。こっちを見る。かわいい。「抱いてみます?」
Last Updated : 2026-10-10 Read more