SNSのタイムラインを追っていると、『
寝ろ』の流行を『ジョジョの奇妙な冒険』のある場面に結びつけて話す人がかなり目立つ。僕は当初それを半信半疑で見ていたんだけど、指摘されるシーンをいくつか追っていくと納得できる点があった。具体的にはキャラクターの強い命令口調や、決め台詞のテンポ感が短い音声クリップとしてSNSで切り取られ、ループやリミックスに使われやすかったことが原因の一つとして挙げられる。声の強弱と間の取り方が「寝ろ」という一語を繰り返すフォーマットにマッチして、結果的にミーム化した、と説明するユーザーが多い印象だ。
コミュニティ内の議論を拾うと、さらに面白い流れが見えてくる。あるリプライでは原作のその瞬間を元にしたMAD動画が拡散され、それを元に音声のみが短く切り取られてTiktokやショート動画に乗せられた。そうなると原典を知らない層にも届きやすく、元の文脈から切り離されたまま「寝ろ」だけが独立したミームとして機能していく。僕が観察した限りでは、声優の発音やファンが付けた効果音が加わることでさらに定着が早まったように見える。
結局、SNSで多くの人が指摘しているのは『ジョジョの奇妙な冒険』由来説だ。もちろん全員が同じ根拠を持っているわけではなく、記憶の断片やリミックス文化の影響で意見は割れるけれど、トレンドがどのように発生し、どう拡散したかという点を辿るなら、この作品が起点の一つとして頻繁に名前が挙がることは間違いない。個人的には、元の文脈から独立して別の意味を持つようになったミームの変化過程を見るのが面白かった。