7年間支えた弁護士夫に捨てられ、目が覚めた法律事務所で999件連続で勝訴した。それを受けて、長年結婚の事実を隠していた弁護士の夫・渡辺翼(わたなべ つばさ)が、ようやく私・高橋凛菜(たかはし りんな)との結婚式を挙げることに同意してくれた。
けれど、日が暮れても翼は現れなかった。代わりに私が見たものは、彼がパラリーガルの杉本日和(すぎもと ひより)と結婚式でキスをしている、インスタの投稿だった。
【さっき同僚に『売れ残り』ってバカにされたけど、弁護士の彼が助けに来てくれた。これから、昼は彼の優秀な部下、夜は彼の愛する妻になるわ】
写真の日和のひとと翼の薬指にはめられた結婚指輪が、やけに目に焼きついた。
きっと誰もが、私が怒りで我を忘れると思っただろう。でも私はあっさり笑って、こうコメントをつけた。
【次は赤ちゃんだね!ご祝儀、たっぷり包んであげる!】
すると次の瞬間、一日中電源を切っていた翼のほうから、電話がかかってきた。
「日和は妊娠したのに、相手のクズ男に捨てられたんだ。彼女の両親はすごく保守的な人たちだから、このことがバレたら、きっと勘当されてしまう。お腹の子とどうやって生きていけっていうんだ。同じ弁護士なのに、君には少しも同情心がないのか?
今すぐあのコメントを消して、日和に直接謝罪するんだ。彼女が何の問題もなく無事に子供を産めたら、君との結婚式はちゃんとやり直すから」
でも、私は手にした離婚訴訟の書類を見つめながら、ただ冷ややかに笑った。
「もう必要ないわ。あなたは、私たちの離婚裁判の準備でもしていればいい」