報奨の家が白紙に?よし、完全サボりだ社内規定で、3年連続のトップセールスを達成すれば、30坪のマンションが贈呈されるはずだった。
俺はそのために死に物狂いで契約を獲ってきたのに、条件を達成した途端、規定は廃止になったと言い渡された。
上司の山口翔(やまぐち しょう)は1万円の賞与を突きつけて、馬鹿にしたように笑った。
「営業能力があるのはいいことだ。だが会社の方針への理解が足りないな。
若いうちは調子に乗らず、大人しくしていた方がいいぞ」
俺は感情的になることなく、3年かけて手に入れたこの「高額」な賞与を淡々と受け取った。
2日後、本社による年度売り上げの査定が行われた。
顧客から届いた1億6000万の注文書を、俺はその場で突き返した。
上司の指示に従うことこそ、プロの務めだ。
目立たず大人しくしてろというなら、何もせずに大人しくしていてやる。
どうせ売り上げが目標に届かなくて困るのは、俺じゃないのだから。