うちが破産したら、夫は初恋の人を正妻にすると言い出した忘年会の夜、父が育て上げた金融エリート――安藤悠介(あんとう ゆうすけ)と私は結婚した。
その時の私は、彼にもう愛する人がいるなんて想像もしなかった。
やがて父の会社は商品偽装で摘発され、株価は暴落し、事態は刑事訴訟にまで発展した。
悠介はすぐに初恋の人・高橋美咲(たかはし みさき)を呼び戻し、私の目の前で彼女に正式に迎え入れると宣言した。
義母は私を罵った。
「あんたの実家はもう潰れたんだから、子どもも産めないくせに!うちの息子が新しい嫁さんをもらって何が悪いのよ!」
悠介は離婚協議書を突きつけ、冷ややかに言い放った。
「さっさとサインしろ。そうすれば、俺と彼女で暮らすのは許す」
けれど私は密かに、ここを離れるための航空券を取っていた。
あと七日。
私は父と一緒に南へ発つ。