望まれぬ妻、そして秘密の双子これは、愛という名の救いがない結婚に囚われた、佐伯美桜(さえき みお)の切なくも情熱的な物語。
ビジネスの取引として築かれ、慈しみのかけらすら存在しない虚飾の城で。
美桜は成功を収めた冷徹な実業家――浅木真司(あさぎ しんじ)の妻という立場は、彼が抱き続ける本命――義理の妹である佐伯弥生(さえき やよい)の影に隠れた、名もなき傍観者でしかなかった。
平穏を装ったの世界は、ある日、予期せぬ宣告によって大きく揺らぐ。
宿ったのは、双子の命。
それは本来なら祝福されるべき奇跡。けれど、彼との間に結ばれた「結婚契約」が妊娠を厳格に禁じているという事実が、耐えがたい重圧となってのしかかる。
真司の子供を宿したという過酷な現実。
向き合うのは、冷たく機械的な契約関係の重みだけではない。真司が今もなお弥生との密会を続け、裏切りの毒を撒き散らしているという、引き裂かれるような痛みだった。
かつて愛した男の目に、自分の存在が映ることはない。
透明な存在として扱われながら、腹の中に隠し通さねばならない大きな秘密。美桜の内なる葛藤は、激しさを増す感情の濁流となって、彼女の心と身体を蝕んでいく。
孤独な沈黙の中で、彼女は選ばなければならない。
契約の奴隷として消えていくのか。それとも、母として、この秘密とともに残酷な運命に立ち向かうのか。