腎臓を奪った夫への仕返し病院から突然の連絡が入った。確保していたはずのドナー腎臓が、夫によってあの「高嶺の花」である篠原優奈(しのはら ゆうな)へと横流しされたというのだ。
私が問い詰めると、彼は悪びれもせずにこう言い放った。
「たかが腎臓一つだろ?何をそんなに焦ってるんだ。
優奈が必要としてるなら、先に譲ればいいじゃないか。お前が今すぐ死ぬわけでもあるまいし!」
手元にある彼自身の尿毒症の検査報告書を握りしめながら、私はこの三年の結婚生活がまるで喜劇のように思えてきた。
そうね、彼の言う通りだわ。病気なのは彼であって私じゃない。私が焦る必要なんてどこにあるの?