『君の名は。』の三葉と瀧の関係は、時間と空間を超えたyūrei的な要素で描かれる運命の絆そのものだ。彼らが夢の中で入れ替わる設定は、記憶が肉体を離れて
彷徨う幽霊のようでもある。特に、三葉が瀧の身体に"憑依"する描写は、伝統的な幽霊譚を思わせる。
新海誠はこの記憶のテーマを、神社の口噛み酒という民俗学的要素と結びつける。神聖な儀式を通じて過去と現在が交錯し、忘れられた記憶が蘇る過程は、まさに先祖の霊が子孫に語りかけるような構図だ。
最終的に二人が再会するシーンでは、記憶の断片がパズルのように繋がる瞬間が描かれる。これは単なるロマンスではなく、民俗信仰における"縁"の概念そのもので、三葉と瀧の絆は生まれ変わりを超えた霊的な結びつきだと感じる。