驚かせたい場面なら、まず音の“落差”をどう作るかを考えるのが肝心だと感じています。僕は映画やドラマを観ながら、急に空気を断ち切るような一撃をいくつもメモしてきました。具体的には、重厚なブラスや低域のサブを一発で落とすタイプが効果的で、個人的には『Inception』の' Dream Is Collapsing'がおすすめです。低音の膨らみから一気に切り込む感覚が、視聴者に「今、何かが起きた」と直感させてくれます。
別のアプローチとして、じわじわと高まる緊張の末に短く鋭い断絶を与える方法も好きで、こうした演出には『Requiem for a Dream』の'Lux Aeterna'のような弦のビルドアップがよく合います。前半は不穏に引っ張っておいて、クライマックスで楽器を切り落とし、静寂──そこに短いドライなスタッカートを入れると視覚的ショックが増します。
別の実験として、電子ノイズの暴発を使うこともあります。『Come to Daddy』のようなエッジの効いた電子音は、現代劇の突然の暴露シーンや裏切りで強烈に効きますし、ロック系の突然の歪んだギターや『Sabotage』みたいな曲の冒頭の勢いを借りるとコミカル寄りの“寝耳に水”も成立します。音色選びはジャンルで印象がガラリと変わるので、映像のトーンに合わせて弦かエレクトロかを選ぶと失敗が少ないと思います。自分はよく、まず短いモックアップを作って数秒単位で試しながら決めています。
もう少しキャッチーでポップな衝撃が欲しいときは、RPG系のボス登場曲を短く切り取る手法を試します。『Final Fantasy VII』の'One-Winged Angel'の断片的なコーラスや打撃音を一瞬挿すと、観客に「敵が出た」という即時の認知を与えられます。また、インディー感を出したい場面では『Undertale』の' MEGALOVANIA'のフレーズをアレンジしてぶつけると、驚きと同時に独特の親しみも出せます。