蜘蛛の糸が戦場でどれだけ多彩に化けるかを、つい細かく想像してしまう。生物学的な糸生成能力と、編む技術が合わさった
アラクネ系の能力は単なる『糸を出す』だけでは終わらない。まず基本スペックとして考えているのは、糸の太さ・粘着性・伸縮性を自在に変えられること、そして糸自体に物理的な強度や導電性、あるいは毒性や麻痺性などの付与が可能であることだ。視覚的には網や覆いを作るが、機能的にはセンサー網、拘束具、刃の代替、橋や縄梯子、さらには情報伝達回路のような使い方までできる。編む技術はただの器用さではなく、一種の構造工学に近い。張り方一つで防御膜になるし、絡め方で敵の関節や武器を無効化できる。
戦闘での使い方を具体的に考えると、まず領域支配が最も分かりやすい。進入経路に見えない細糸を張り巡らせ、相手の動きを感知しながら進路を制限する。接近を許した相手には瞬時に網を展開して四肢や武器を拘束し、動きを奪う。長距離戦では糸を細く伸ばして相手の視線や呼吸を乱すトラップを仕掛け、遠隔で引いて転倒や方向転換を誘発することも可能だ。また、糸を金属や石などに織り込んで即席の刃や鎧を作ることで、物理攻撃の形をとることもできる。糸を伝って振動を送れば、遠隔で爆発物や罠を作動させるトリガーにもなる。
応用面では、糸を媒介にして相手の攻撃を分散・吸収する防御や、糸を複雑に編んで幻惑的な模様や光学的な効果(反射や屈折)を作り視覚を狂わせるテクニックも有効だ。精神攻撃的に相手の神経を直接刺激する麻酔性の糸や、糸で小動物や機械を操る『操り』も想定範囲に入る。欠点は高温や酸、切断に弱い点で、それを補うために糸に特殊素材を織り込んで耐性を持たせたり、複数層でバックアップ網を構築したりするのが実戦的だと考えている。結局、アラクネの強さは糸そのものの性能と、何より『編む者の発想力』に尽きる。最後は創造力一つで戦況を一変させられるところが、この能力の一番面白い部分だと思う。