幼い頃に見たストップモーションの奇跡は、今でも時折思い出す。'The 7th Voyage of Sinbad'に出てくる
サイクロプスの登場シーンは、骨太の怪物造形と動きが合わさって、単眼というモチーフを生々しく刻み込んだ。あの一つ目が画面でぐるりと動くたびに、子ども心にも「見られる/見つかる」という恐怖と驚きがダイレクトに伝わってきた。
あの映画のサイクロプスはただの障害物ではなく、異文化や未知への恐怖を象徴しているように感じられる。単眼という特異な外見は「集中した力」と「脆さ」の両面を映し出すから、巨体に似合わぬ弱点を持っていることがドラマを生む。ストップモーションで一コマ一コマ動かされた身体表現は、荒削りだけれど感情の振れ幅を強く伝え、怪物らしさと哀愁を同時に見せてくれる。
大人になってから観返すと、当時気づかなかった細かな演出──音響の入れ方、影の落とし方、カメラの切り替え方──が巧妙で、サイクロプスが単なる敵役以上の記号になっているのが分かる。記憶に残る名場面というのは、技術と象徴性が噛み合った瞬間に生まれるのだなと改めて思う。