ダイアン・アーバスの作品の中でも特に強い印象を残すのは『Identical Twins, Roselle, New Jersey, 1967』だろう。双子の少女が並んだこの写真は、彼女の代名詞とも言えるほど頻繁に引用される。彼女が切り取った世界の不気味な美しさ、どこか歪んだ日常の一瞬が、この作品には凝縮されている。
アーバスは社会の周縁にいる人々——巨人症の男性や道化師、カーニバルの出演者たち——を被写体に選ぶことが多かった。『Child with Toy Hand Grenade in Central Park, N.Y.C. 1962』もまた、一見普通の風景の中に潜む不穏さを捉えた代表作だ。少年が握るおもちゃの手榴弾と、その表情の不自然な緊張が、観る者に何かしらの違和感を植え付ける。
彼女の写真が持つ力は、被写体の持つ「普通ではない」要素を強調するだけでなく、むしろ私たち自身の中にある異質性を映し出すところにある。銀塩プリントの粒子感も相まって、これらの作品は半世紀経った今でも新しさを失わない。展覧会でオリジナルプリントを目にした時、ガラス越しでも伝わってくる生々しい存在感に足が止まったことを覚えている。