記憶をたどると、ニコラス・フラメルは『ハリー・ポッターと
賢者の石』の世界でほんの短い出番しか与えられていないけれど、存在感は驚くほど強烈だと感じる。
本の中で彼は伝説的な錬金術師として説明され、賢者の石を作った人物として知られている。長寿をもたらす石のおかげで非常に高齢でありながら夫妻で穏やかな生活を送っているという設定だ。外見描写は細かくはないものの、物語の語り手と周囲の登場人物からは尊敬と温かさをもって語られているため、知恵と善良さを象徴する人物像が読者の脳裏に浮かぶ。
物語上の役割としては、直接の敵対や長い活躍の場面は持たない。むしろ賢者の石の創造者という設定で、物語の核にある「不死とその代償」「権力をどう扱うか」というテーマを提示する役目を果たす。ダンブルドアとの関係性や、最後に石を破壊して弟子たち(世界)への影響を最小限に留めようとする選択は、倫理的な判断を示す重要な場面になっていると私は思う。彼の描かれ方は、単なる伝説の具現ではなく、物語の価値観を伝える小さな灯りのようだ。