伝説を現代の物語装置として使うとき、フラメルほど具合の良い素材は稀だ。『The Da Vinci Code』のような歴史と陰謀をめぐるスリラーでは、実在の名前が一つあるだけで読者に“ここには真実が隠されているかもしれない”という感覚を与える。フラメルの場合、錬金術や不死といった既に強力なイメージが備わっているため、物語の説得力を手早く確保できる点が重宝される。
偶然手に取った青年向けのシリーズを読んだとき、ニコラス・フラメルが主役級で描かれていることに驚いた。『The Secrets of the Immortal Nicholas Flamel』では、フラメルがただの伝説上の名ではなく、複雑で欠点を持つ人物として立ち上がってくる。若い登場人物たちと絡み合いながら古典的な錬金術のテーマを現代の冒険譚に変換している点がとても印象的だった。