意外とよく話題になるのが、ネット投稿小説(いわゆる“なろう系”や各種ノベル投稿サイト=ここでは総称して「
ノベマ」と呼ぶ)のアニメ化成功例についてだ。僕もそうした作品のアニメ化を追いかけてきているので、思い浮かぶ代表作とそこから学べるポイントを、自分の感想を交えて整理してみる。
まず分かりやすい成功例を挙げると、'Re:ゼロから始める異世界生活'は外せない。元はネット小説出身で、アニメ化によって一気に知名度が跳ね上がった典型だ。ループものという強いフック、感情を振り回す演出、そしてWhite Foxの作画や音楽が相まって原作の魅力が映像で伸びた。次に、'オーバーロード'は圧倒的な世界観の提示と力のある主人公像をそのまま映像化した例で、原作の膨大な設定をうまく序列化して見せた点が評価されている。コメディ寄りの成功例としては'この素晴らしい世界に祝福を!'がある。テンポの良いギャグ構成、声優陣の化学反応、キャラクター同士の掛け合いがアニメ映えして、原作の笑いどころを完璧に活かした。
ほかにも、'転生したらスライムだった件'や'幼女戦記'、'蜘蛛ですが、なにか?'などが挙げられる。これらに共通するのは「原作の強い核(ユニークな設定/主人公の立ち位置/物語のトーン)」をアニメ化の際にも忠実に、かつ視聴者に伝わる形で抽出していることだ。加えて制作側の力量、例えば演出や作画の水準、音楽や声優キャスティングの妙が乗ると途端に化ける。個人的には、原作の長い章を単純に切り貼りするのではなく、アニメとしてのリズムへ再構築している作品が成功していると感じる。
ノベマ原作のアニメ化で学べることを短くまとめると、まず「強いコンセプト」が必要で、次に「映像化で伸ばせる要素を見極める編集力」、そして「作画・音楽・キャストなど制作陣の総合力」が決め手になる。僕が注目しているのは、最近のアニメ化は単なる原作再現ではなく“映像ならではの魅力”をどう付け足すかで勝負している点だ。だから原作ファンとしても、映像としての最良の表現を探る制作側の選択を楽しめると、作品の見え方がより豊かになると思う。