台詞の勢いと表情の混ぜ方に心が動かされることが多い。
バルトロメオの声を当てた人は、そのキャラクターが持つ一見コミカルでありながらも狂信的な熱量を、声だけで説得力を持たせていると思う。僕はアニメを追いかける中で、彼の“叫び”や小さな息づかいがシーンのテンポを作り出す場面を何度も見てきた。『One Piece』という大きな舞台で、脇役ながらも観客の視線を奪う役割を果たしている点は、声優としての力量を端的に示していると感じる。
声の柔らかさから荒々しさへ瞬時に振れるレンジの広さは、キャリアの中で培われた経験の証だろう。演技の方向性としてはコメディ寄りの派手な役回りが目立ちやすいが、実は落ち着いた語りやナレーション的な仕事でも安定感を出せるタイプだと捉えている。業界内での仕事の幅やキャスティングの安定性を見ると、“一発屋”ではなく着実に信用を積み上げてきた印象がある。時折タイプキャストされがちな面はあるが、それでも演じ分けを試みる姿勢が見えるのは好感が持てる。
個人的に一番評価しているのは、演じるキャラクターの“生き様”を声だけで伝える力だ。単なる大声ではなく、狂気と憧れ、痛みと誇張が混ざり合った音色で観客の感情を揺さぶる。これがあるからこそ、バルトロメオの一挙手一投足が物語に深みを与える。今後も似たタイプの役だけでなく、静かな対話や意外なキャラクター像にも挑戦していけば、さらに評価が高まると確信している。応援したくなる声優だと思う。