『ブレイキング・バッド』はテレビドラマながら、ピカレスクロマンの要素を非常に効果的に使っています。普通の化学教師が次第に犯罪者へと変貌していく過程は、まるで車のヘッドライトに照らされた鹿のように、避けられない転落を予感させます。
面白いのは、主人公のウォルトが最初は家族のためにと正当化していた行為が、次第に
エゴのためになっていく心理描写です。道徳的な葛藤と自己正当化の繰り返しが、視聴者を複雑な感情に引き込みます。5シーズンかけて描かれる変容は、ピカレスクロマンの可能性を最大限に引き出しています。