ピカレスクロマンとハードボイルドの違いを考える時、主人公の倫理観が決定的な分かれ目になる。
ピカレスクの主人公は、『グリフォンズ・アイランド』の
冒険者のように、社会の底辺で生き抜くために狡猾さを武器にする。道徳より生存が優先で、読者はその反英雄的な魅力に引き込まれる。一方ハードボイルドの探偵は『マルタの鷹』のスペードのように、腐敗した世界で独自のコードを貫く。暴力や裏切りに囲まれても、揺るぎない信念が核にある。
面白いのは、両ジャンルとも社会の闇を描きながら、主人公のスタンスが作品の空気を全く変える点だ。