掲示板で見かけた仮説から入ると、まず目につくのは『
滅せ』に散りばめられた象徴の読み替えだ。僕は作品の細部を追うのが好きで、特に序盤に置かれた小道具や色彩の反復に注目している。そこから導かれるのは、表向きの事件と並行して進む“記憶の改変”という大きな筋書きで、登場人物の語りが全て信用できない可能性が高いという線だ。
次に、ファンの間で支持されている時間軸逆転説を自分なりに検証してみた。手がかりは断片的だが、過去回想と現在描写で微妙に異なる台詞の言葉遣い、そして背景に映る同じ建物の微細な差異。こうした齟齬が積み重なると、話の“主語”が最後にひっくり返る種のサプライズが予感できる。『寄生獣』のように倫理観や自己の境界を揺さぶるテーマとの相性も良く、読解の余地が尽きない。