ふとプロットノートを開いて眺めると、ヤンデレと『東方Project』の要素が混ざり合うことで生まれる緊張感にワクワクしてしまう。まず大事なのは、どのタイプのヤンデレにするか決めること。恋愛的な独占欲が強まっていくパターン、精神的に崩れていくパターン、あるいは守護的で暴走するパターン──それぞれで物語の基礎構造が変わる。私は個人的に、最初は普通の日常から少しずつ不穏さを積み上げる手法が好みで、読者が感情移入しやすい導入を用意する。ここで必ず考えるべきは「登場人物の動機」と「境界線」。動機が説得力を持てば、極端な行為も物語上で意味を持つようになるからだ。
次に、プロットの骨格を組み立てる。序盤は世界観とキャラ紹介に比重を置き、中盤で緩やかな違和感を挟み、終盤で感情の爆発へ繋げる。私は視点の扱いに工夫を入れることが多い。ヤンデレ側の一人称視点を主体にして内面の歪みをじっくり描く章と、被害者や第三者の視点で客観的な描写を挟む章を交互に配置すると、読者は「共感」と「恐怖」を行き来できる。テンポは章ごとに変化を付け、日常パートはゆったり、心理の崩壊が進む場面は短い断片的な節で畳みかけると効果的だ。
舞台としての『東方Project』要素は、世界観のルールやキャラ性を尊重しつつアレンジするのが鍵。幻想郷の非日常性や妖怪と人間の微妙な関係性を活かせば、ヤンデレの行動に独特の説得力が生まれる。たとえば、相手を守ろうとする行為が妖力や
結界に絡んで非現実的な方法で表現されると、ただのストーカー描写から一歩踏み出したファンタジックな悲喜劇になる。既存キャラを使う場合はその性格や関係性を踏まえ、読者の期待を裏切りすぎない範囲での意外性を用意すると受けがいい。オリジナルキャラを投入するなら、既存キャラとの対比を意識して配置すると世界に馴染みやすい。
結末については選択肢をいくつか用意しておくと安心だ。救済的な結末、悲劇的な結末、そして読者の想像に委ねる曖昧な結末――どれを選ぶかで物語のトーンが変わる。私はどの結末にも一貫したテーマを残すことを心がけている。たとえば「愛と支配の境界」を問い続けるような余韻を残せば、単なるショック描写に終わらない。執筆前にトリガーになる可能性のある描写(暴力、精神的拷問など)をリストアップして手書きの注意書きをつけると、同人として公開するときの配慮にもなる。最後に、細部の演出──音楽や伝承、アイテムの扱い──を丁寧に詰めれば、幻想郷の空気感とヤンデレの狂気が混ざり合った記憶に残る作品になるだろう。