語られ方の核となっているのは、登場人物たちの選択肢が織りなす倫理的なグレーゾーンだと感じる。作者は表面的な事件の解決だけに留まらず、なぜその選択がなされるのかを丁寧に掘り下げることで、主題をより深く読者に突きつけてくる。
語りの手法としては、複数の視点を交互に配することで真実が相対化されるように構成されている。そうすることで読者は「正義」や「被害」という単純なラベルに疑問を抱かされ、人物の背景や動機に共感したり反発したりする余地が生まれる。個人的には、表現の抑制と暴発を巧みに使い分ける瞬間に作者の意図が最も露わになると捉えている。
具体例として、事件解決のラストで示される小さな行為にこそ主題が凝縮されていると思う。そこでは大義や制度よりも日常的な選択が重くのしかかり、読後にずっしりと残る。こうした扱い方が『
トラブルバスター』を単なる娯楽作品から思想的な読み物へと昇華させていると感じる。