台詞だけで拗ねた感じを作るときは、まず体の中で感情を“閉じこめる”イメージを持つのが役に立つ。
僕の場合は、喉や胸をほんの少しだけ固める。そうすることで声帯の振動が少なくなって、音量を落とさなくても抑えたニュアンスが出る。音程は子どもっぽい高さよりも、少し大人側へ寄せつつ、語尾だけ下げると拗ねた感じになる。言葉の間に微かな息を挟むと、怒りが押し殺されている様子が伝わりやすい。さらに、子ども特有の短い不満の“ため息”や舌打ちに近い小さな音を混ぜるとリアルになる。
演技的には、相手役を想定して“やり取りの中で
拗ねる”ことを意識するのがコツだ。
独り言で拗ねるよりも、相手の言葉に反応して絞り出すようにすることで、ただ低くするだけの声にならない。録音技術の面でも、マイクの距離やポップフィルターの使い方で柔らかさを調整できるから、エンジニアと相談して細かくテイクを重ねる。ちなみに『ちびまる子ちゃん』のようなキャラを演じるときは、台詞のリズムを子どもの語法に合わせて崩すのが有効だと感じる。