歴史ドラマや
時代小説を読んでいると、『嫡子』という言葉によく出会いますよね。この言葉は、家系の中で特別な位置づけを持つ存在を指します。簡単に言えば、正妻から生まれた長男が嫡子となるのが一般的で、これが家督を継ぐ第一候補とされました。
面白いのは、この制度が単に血縁だけでなく、家の存続と社会的地位を保つための仕組みだったことです。例えば『
翔ぶが如く』のような作品でも、薩摩藩の島津家のように、嫡子以外の子供たちは分家させたり僧侶にしたりして、本家の勢力が分散しないようにする描写が見られます。家の財産や権力を一つにまとめる必要があった時代ならではの知恵ですね。
現代の感覚からすると不公平に感じますが、当時は家制度そのものが社会の基本単位でした。嫡子が幼い場合や能力に問題がある場合、養子を迎えるなど柔軟な対応もあったそうで、単純なシステムではなかったようです。歴史物の登場人物の立場を理解する時、この背景を知っていると人間関係のドラマがより深く味わえます。