彼女が愛したとき、春は遠く七年間、白川凛花(しらかわりんか)は神谷黎真(かみやれいま)の秘書兼愛人だった。
なのに、彼は別の女性と婚約するつもりだった。
心が粉々に砕けた凛花は、辞職を決意する。
けれどその矢先、黎真は突然、婚約を公の場で否定したのだ。
あるオークションの日、誰もが「今こそ彼が凛花にプロポーズするのだ」と思い込んでいたその瞬間、現れたのは、彼の初恋だった。
会場の視線が、静かに凛花へと集まる。
黎真の初恋と瓜二つのその顔を見て、人々は囁き合う。
その時、凛花はようやく気づいた。
自分がただの影だったことに。