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短時間で成果を出すには、まず期待値を明確に掲げるのが効果的だ。始めに「良い問いとは何か」を簡潔に示し、具体的な例と反例を示す。それからペアワークで二つの問いを作らせ、交換して互いに掘り下げさせるという実践を繰り返す。
評価は量より質を見る。発言回数よりも論点の深さ、根拠の提示、他者の反応に対する応答を見る観点をルーブリック化して共有すると、生徒も目標に向かいやすい。授業後の簡単なフィードバックで教師側も成長点を示すことが大切だ。
古典劇を材料に用いることも勧める。たとえば'リア王'の登場人物の判断を問い直すだけで、価値観の対立や前提の検証といった高度な問いが引き出せる。こうした型をいくつか持っておけば、日常的に問答法を取り入れやすくなるはずだ。
授業開始時の空気を整えることから入るのが自分の流儀で、私はまずクラス全体に「問いを育てる」ための基本ルールを提示するところから始める。たとえば相手の発言を否定しない、根拠を尋ねる、あいまいさを放置しないといった簡単な約束事を黒板に書いておく。ここで重要なのは教師が模範を示すことなので、最初の数回は自分が率先してソクラテス式の質問を投げ、どのように深掘りしていくかを見せる。
次に、小さなテキストや短い引用(哲学入門としては'ソフィーの世界'の一節のようなものが扱いやすい)を用意して、生徒にまず一つの明快な問いを作らせる。グループ内で問いをブラッシュアップさせ、それをクラス全体で順に検討する「問いのリレー」を行うと、自然に深い対話が生まれる。教師は随所で待ち時間を確保し、答えを急がせないこと。
評価方法も工夫しておく。単純に正答を採点するのではなく、問いの質、根拠の提示、他者の意見への応答といった観点でルーブリックを作ると、生徒も何を期待されているか理解しやすい。失敗や未完成の答えを恥だと感じさせないことが、継続的な対話文化を育てる鍵だと感じている。
黒板に一問だけ書いて授業を始める、という方法を好んでいて、その問いを巡って生徒がどの道筋を見つけるかを観察するのが楽しい。まずは短いウォームアップで事実確認の問いを投げ、生徒が共通の土台を持ったところで本題の探究的な問いに移る。授業の流れは三段構成にして、導入→深掘り(小グループ)→総括という動線を作ることが多い。
テクノロジーを活かすときは匿名の投稿フォームを利用して、本音の問いや疑問を集め、そこから代表的なものを選んで議論のタネにする。生徒が躊躇なく関与できる環境作りが肝心だ。問いを改善する時間を必ず設け、問い自体を学生が評価するプロセスにすることで、問い作りのスキルが育つ。
教材は多様にしている。たとえば'進撃の巨人'の倫理的選択を素材にすると、感情と論理が交錯する問いが自然に出てくる。授業の最後には簡潔な振り返りを書かせ、どの質問が新しい見方を生んだかを自分の言葉でまとめさせると良い。
教室で問いかけのリズムを作る工夫をいつも考えている。導入では短い具体例から始め、徐々に抽象度を上げる──たとえば物語の登場人物に対して「彼はなぜそうしたのか?」と問い、次に「背景となる価値観は何か?」と掘り下げる。この段階的な問いの重ね方は、生徒の思考を無理なく伸ばすのに有効だ。
小グループでのワークと全体討論を交互に入れると参加機会が増え、発言が偏らない。質問のタイプごとにカードを用意して配る(明確化、前提提示、具体例要求、反証の促しなど)と、生徒が自然に多角的な視点を試せる。授業後には短い自己評価メモを提出させ、どの問いが自分の考えを動かしたかを振り返らせると、次回以降の問い作りに生かされる。
物語教材として'ハリー・ポッター'の道徳的ジレンマを題材にすることもある。キャラクターの選択に正解が一つでないことを示すと、生徒は躊躇せず自分の立場を言語化するようになる。