縫い目の数が衣装の命を左右する現場をよく知っている。舞台で使う
肌襦袢は単なる下着以上の存在で、'ロミオとジュリエット'のような作品では特にその重要性が際立つ。まず役者の肌と外側の衣装の間に置くことで、汗や皮脂を衣装本体から守る役割がある。これがあると舞台の高価な生地を頻繁に洗濯せずに済むので、コスト管理にも直結する。
次にシルエットの調整。舞台衣装は遠くから見えるラインが命だから、肌襦袢で微妙なパッドや締めを作って、衣装が意図した形を崩さないようにすることが多い。特にヴィクトリアン調やルネサンス系のドレスでは、下着の厚みでウエストや胸の形を整える技術が求められる。
最後に着替えの速さと安心感。ダブル構造にした肌襦袢を使えば、役者が素早く脱ぎ着しても肌の露出を防げるし、ステージライトで熱がこもるときは吸湿速乾素材を使って体温管理を助ける。現場で何度も直してきた経験から言うと、肌襦袢は見えないヒーローだと思っている。