視覚的には、塊そのものが語るべきだと感じている。
ショゴスは単なる巨大なモンスターではなく、流動する意志を持った物質のように見せたい。表面は滑らかで濡れている部分と、乾いた裂け目が混在する複雑なテクスチャで構成し、観客が触れたらどうなるかを想像させるようにするのが肝だ。色味は単色の黒や灰色一辺倒にはせず、血管の赤や緑が透けるような微妙な層を重ねて、生物であることの不気味さを強調する。
動きは断続的で予測不能、だが意図を感じさせる。腕のように見える突起がゆっくり伸び、瞬間的に粘膜を跳ね返すような瞬発力を持たせることで、「意思はあるが物理法則に従わない」と思わせる。物理的な重みを与えるために、実物大のパーツや布地を使った実写パーツを混ぜつつCGで接合する手法を考える。『パンズ・ラビリンス』の造形と操作感、そして『シン・ゴジラ』の進化描写から学べることが多い。
最終的には編集と音響で形を決定する。ショゴスを正面から長時間見せすぎず、断片的なカットで観客の想像力を刺激する。唸り、膜がはがれる音、粘液の滴下音──そうした非言語の手がかりが、ビジュアルを何倍にも恐ろしくする。自分なら実体感と神秘性のバランスを常に意識して作るだろう。