歴史人物の二つ名を日本語訳する際に意識しているのは、音の響きと意味の両方を大切にすることだ。例えば『獅子心王』リチャード1世の場合、その勇猛さを『獅子』で表現しつつ、『心王』という独自の造語で威厳を加える。
重要なのは、原語のニュアンスを損なわずに日本語としての美しさを保つこと。『太陽王』ルイ14世はそのまま訳すと単調になるが、『暁光の帝王』とすれば東洋的な輝きが加わる。歴史的背景を考慮しつつ、現代の読者にも違和感ない表現を探る作業は、翻訳者としての腕の見せ所だ。
特に戦国武将の二つ名を英訳する逆パターンでも、『六文錢の誓い』を『Samurai of the Six Coins』とするより『Pledge of the Underworld』とした方が、西洋人にも死生観が伝わりやすい。文化の架け橋となる訳語作りは、本当にやりがいがある。