手元の文献をめくるうちに、まず頼りになるのが北欧語の詩と散文だと気づきます。研究書はたいてい『Poetic Edda』や『Prose Edda』の章句を細かく照合して、
ドワーフ(dvergar)像の起源と変遷を追います。中でも『Alvíssmál』に並ぶドワーフ名の一覧や、『Skáldskaparmál』で用いられる修辞(ケニング)を通じて、職能(鍛冶や宝物守護)や居住地イメージがどのように語られてきたかを抽出する手法が典型的です。
私は、こうした詩文資料の文脈分析が大事だと考えています。単独の名前や一節だけを取り出すのではなく、
詩人たちがドワーフをどう比喩的に扱ったか、神話体系の中でどの役割を与えているかを比較することで「神話的起源」の輪郭が浮かび上がるからです。写本伝承の差異や後世の編集の影響も研究書は注意深く扱います。
最終的には、これら北欧資料を基準にして、他地域の文献や考古資料と照合する流れが多く、僕もその流れに沿って文献を読むことが多いです。詩と散文の両面から語られる像が、ドワーフ像の基礎を形作っていると感じます。