さっそく短時間で
小説を読むときのコツを分かりやすくまとめてみます。読み方には深読みと速読の二種類があって、どちらを選ぶかでアプローチが変わる。短時間で多く読むことを目的にするなら、最初に“読む目的”をはっきりさせるのが肝心だ。たとえば登場人物の関係を把握したいのか、物語の筋だけを追いたいのか、あるいは作家の文体を味わいたいのかで、使う技術が変わるからだ。
つぎに具体的なテクニックをいくつか紹介する。まずはプレビューを徹底すること。目次、章見出し、冒頭と結びの段落をざっと拾い読みして全体の構造を掴む。私は読む前に各章の最初と最後の文をチェックする習慣があって、そうするだけで物語の流れがかなり見えてくる。次にパラグラフごとの最初の一文と最後の一文だけを拾う“橋渡し読み”を使うと、情報の要点を素早く把握できる。
スキミングの練習も有効だ。視線移動を速め、行全体を一度に読む感覚を身につけると読み速度は上がる。電子書籍ならフォントサイズを大きめにして一行の文字数を増やすと、目が行の途中で止まりにくくなる。時間管理は必須で、ポモドーロ式(25分集中+5分休憩)を使えば短期集中がしやすい。私は30分ごとに区切って「章をひとつ読む」目標を設定している。
本文に入ったら、線を引くかメモを一語ずつ残す“キーワードメモ”が役立つ。重要な名前や出来事、伏線になりそうな言葉を3〜5語でメモすると、復習が短時間で済む。もし速聴可能な版があるならオーディオを1.25倍速にして聴きながら目で追う“目聴き併用”もオススメだ。理解度を落とさずに処理量を増やせる。加えて、短い要約文を章ごとに自分の言葉で作ると、記憶が定着しやすい。
最後に習慣化と期待値について触れる。短時間で読む技術は練習で向上するが、どんな本でも同じ速度で読めるわけではない。複雑な作風や密度の高い文は読むのに時間がかかることを受け入れつつ、普段はスキミングと要点把握中心、休日はじっくり精読にするなど
棲み分けをするとストレスが減る。自分なりのルールを作って繰り返すうちに、短時間でも物語の面白さをしっかり楽しめるようになるよ。