夫の贈り物は、離婚の引き金
夫は私を誰よりも愛している。私は彼がこの人生でいちばん大切にしたい宝物だと、いつも口にしている。
周りの人たちもみんなうらやましがる。私はいい結婚をした、まるでお姫様のように大事にされていると言う。
私が何気なく一度、体のラインが出る服のほうがきれいに見えると言ったことがある。すると夫はそれをずっと覚えていて、わざわざ私のためにブランド服をあちこちから探してくる。
家のクローゼットには、いつも私専用の棚がある。そこには新しい服がぎっしり並び、どれも高級オーダー品ばかり。生地は上質で、仕立ても細部まで丁寧だ。
結婚して三度目を迎える大晦日の夜。
家の中はとてもにぎやかで、親戚たちは楽しそうに笑い合いながら話している。
夫が笑顔で私にギフトボックスを差し出す。
「開けてみて。今年のプレゼントだ」
その瞬間、胸の奥に積もり続けていた不満と苛立ちが一気にあふれ出す。私はそのプレゼントをその場で床に突き落とす。
「大晦日なのに、静かにしてくれない?」
言葉が落ちた途端、部屋は一瞬で静まり返る。
親戚たちの顔色が変わり、次々と私を責める声が上がる。幸せの中にいながらありがたみも分からないなんて、と。
夫の瞳には、隠しきれない困惑と傷ついた色が浮かんでいる。
「ただきれいな服を買ってきただけだよ。どうして怒るんだ」
周囲の非難の視線と、彼の戸惑った問いかけに囲まれ、私は半ば狂ったようにクローゼットへ駆け込み、ブランドの服を床へ投げ捨てていく。
全員が呆然として私を見つめ、もう誰も口を開こうとはしなかった。