明日、私は誰かの妻になる
秘密裏に四年、恋を育んできた西園寺茜(さいおんじ あかね)がついに柏原諒助(かしわら りょうすけ)との関係を公にする日を迎えたはずだった。
ところが、諒助は別の女のために、茜の命さえ顧みず、わざと交通事故を引き起こし、平然と記憶喪失を装ったのだ。
茜は怪我で入院したのに、諒助は新しい彼女を抱き寄せ、友人たちと「茜はきっと、また犬みたいに俺に縋ってくるさ」と賭けをしていた。
諒助は知らなかった。茜が彼の記憶喪失が本物の芝居だと気づいた瞬間、彼との関係を完全に終わらせる決意をしたことを。
諒助が他の女性とイチャイチャを見せつけている間、茜は二人の思い出の品を捨てた。
諒助が茜を他の男に突き飛ばしている間、茜はその男に壁際に追い詰められ、壁ドンされかけていた。
諒助が茜のご機嫌取りを待っている間、茜はウェディングドレスを選んでいた。
そして、茜がキャリアの頂点に立ち、若き女性富豪として成功を収めた時、諒助は思い上がって、片膝をついてプロポーズした。
「茜、俺、記憶戻ったんだ。結婚してくれ」
茜は指に光る10カラットのダイヤの指輪を撫でながら口を開こうとした、その時、背後から強引に腰を抱き寄せられた。
「消えろ。うちの奥さんが汚いものを見るのは嫌がるんでね」