五年の贖罪、明かされた真実に壊れた夫
個室の中で、右原貴史(うはら たかし)の膝の上には一人の若い女の子モデル・八野かれん(はちの かれん)が腰掛けている。
周囲の連中は、彼の妻である私の無様な姿を、見せ物のように眺めている。
「貴史、奥さんが本当によく耐えてるんだな!」
「これでも怒らないなんてさ!」
嘲り混じりの声が響いている。
「なあ、賭けようぜ。右原喜代美(うはら きよみ)がいつ我慢できなくなって、自分から這い出していくか」
「俺は二千万円を賭ける。喜代美が貴史から離れるわけがない!」
「じゃあ、俺は二億だ!この女の安っぽい顔を見ろよ、一生しがみついてるに決まってる!」
貴史は鼻で笑うと、隣にいるかれんに激しく口づけをした。
唇が離れた時、そこには銀の糸が引かれている。
彼は私に視線を向け、嫌悪感を隠そうともせずに吐き捨てた。
「見ろ。こいつはこれほどまでに厚かましいんだ。俺が何をしても、必死にしがみついて離れようとしない」
個室の中にドッと爆笑が沸き起こった。
貴史の挑発的な視線を受け止めながら、私は静かに口を開いた。
「私は、自分が今日出て行く方に賭けるわ」
五年だ。明日、父が刑務所から出所する。
私たちの贖罪も、ついに終わりを迎えるのだ。