今度こそ、幸せな道を歩もう
生まれ変わった私は、心に固く誓った。
もう二度と、幼なじみの芹澤和也(せりざわ かずや)に執着しない。彼に縋りついて生きるのは、もうやめにすると。
だから――
彼の誕生日の日、会場の前に、私と犬が立ち入り禁止という看板が置かれ、私は潔くハワイへのチケットを取り、遠く離れようと決めた。
「お前の匂いがするだけで、吐き気がする」と吐き捨てられれば、黙って家を出た。
「卒業したら、同じ空気を吸うのも嫌だ」と言われれば、さっさと別の街に引っ越した。
「お前がいると、大切な彼女が誤解する」と言われたら、頷いて、数日後には新しい恋人との交際を公表した。
そう――今回は、私は前世の私とは正反対の道を歩くことにした。
なぜなら――
前世、私は和也と結婚したが、彼が愛している女が自殺した。
彼は私を犯人だと決めつけては日々責め立て、ついには私を自殺に追い込んだ。
だからこそ、今度は静かに生きようと決めた。
新しい恋人と手を繋ぎ、やっと自由になれたと思ったそのとき――
道の真ん中に立ちふさがる和也がいた。
赤く充血した目で、私を睨みつけながら叫ぶ。
「あゆみ、お前が戻ってきてくれるなら……今までの冗談も裏切りも、全部許してやるよ」