いなくなった愛犬を探していたら異世界で獣人王になっていて、俺は愛妃になれと攫われた!(交際0日で獣人王と婚約しました))

いなくなった愛犬を探していたら異世界で獣人王になっていて、俺は愛妃になれと攫われた!(交際0日で獣人王と婚約しました))

last updateLast Updated : 2025-07-01
By:  みゃーUpdated just now
Language: Japanese
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「ただ、一緒にいたいだけなのに……やっぱり異世界同士、人間と獣人は結ばれないのかな?…」 理久は、以前から犬をどうしても飼いたくて、保護施設から訳アリの、でも、キレイな長い黒毛の大型犬を引き取った。 そして、理久と、理久から「クロ」と名付けられたその犬は、一人と一匹、毎日毎日仲睦まじく暮らしていた。 しかし、ある日、そのクロが突然失踪し、理久は悲しみとパニックの中で探し回る。 そして、そのクロ捜索中の悲しみに暮れる理久の目の前に突然、キレイな長い黒髪の長身のイケメンが現れた!

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Chapter 1

クロ

今日でもう何日目だろうか?

それ位、気が遠くなる程に、ずっとクロを探している。

それは、今から半年前… 

理久は、無事志望した高校に合格した。

地元でも有名な進学校だったので両親は大喜びして、理久に何か高価なプレゼントをしようと希望を尋ねてきた。

理久は、小学生の頃から犬が飼いたかった。

だが、なかなか許可を貰えなかったが、今回は両親も首を縦に振った。

早速ペットショップに行こうと言う親に、理久は保健所へ行きたいと言った。

そこには沢山の犬がいて、母は子犬がいいのではと言っていた。

しかし、理久は、黒のオスの成犬を選らんだ。 

長毛で、ゴールデンレッドリバー並の大きさ。 

そして何より、両目が美しい深いブルーだった。 

保健所の職員の話では、雑種の迷い犬で、大体3歳位らしい。

理久は早速引き取って、クロと名付けて本当に可愛がった。

散歩はいつも理久が行き、家にいる時は常に横にいて、寝る時も同じベッド。

クロも、理久が学校から帰るまで家の中の玄関の所でずっと待って、理久が帰ると飛び付いてきて尻尾をブンブン振って喜んだ。

しかし、そんな楽しい日々は、突然終わる。

3週間前…

いつも通り理久が朝起きると、ベッドにいるはずのクロが居なかった。

本当に、余りに突然の事だった。

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クロ
今日でもう何日目だろうか?それ位、気が遠くなる程に、ずっとクロを探している。それは、今から半年前… 理久は、無事志望した高校に合格した。地元でも有名な進学校だったので両親は大喜びして、理久に何か高価なプレゼントをしようと希望を尋ねてきた。理久は、小学生の頃から犬が飼いたかった。だが、なかなか許可を貰えなかったが、今回は両親も首を縦に振った。早速ペットショップに行こうと言う親に、理久は保健所へ行きたいと言った。そこには沢山の犬がいて、母は子犬がいいのではと言っていた。しかし、理久は、黒のオスの成犬を選らんだ。 長毛で、ゴールデンレッドリバー並の大きさ。 そして何より、両目が美しい深いブルーだった。 保健所の職員の話では、雑種の迷い犬で、大体3歳位らしい。理久は早速引き取って、クロと名付けて本当に可愛がった。散歩はいつも理久が行き、家にいる時は常に横にいて、寝る時も同じベッド。クロも、理久が学校から帰るまで家の中の玄関の所でずっと待って、理久が帰ると飛び付いてきて尻尾をブンブン振って喜んだ。しかし、そんな楽しい日々は、突然終わる。3週間前…いつも通り理久が朝起きると、ベッドにいるはずのクロが居なかった。本当に、余りに突然の事だった。
last updateLast Updated : 2025-06-04
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再会
不思議だった。家は、完全に施錠されていて、中からクロが出た、或いは、外から誰かが盗みに入った形跡が無かった。理久は、懸命に探した。SNSにも探し犬の写真を上げ、保健所にも何度も行った。しかし、見付からない。そして、余りに一生懸命になる余り、勉強が疎かになると母にも叱られた。それでも今日は日曜で、かなり遠くの公園まで来て夕暮れまで探した。知り合いが、ここでクロに似た犬が一匹で歩いていたと言っていたからだ。探し疲れて俯き、上半身を倒し腿に肘を付きベンチに座る。もう辺りは、さっきあんなにいた子供達も帰って行き、シーンと静まり返っている。そして、外灯が付きだした。「どうして…どうして…いなくなるんだよ…頼む、帰って来てくれよ」他人から見たら、たかたが犬一匹居なくなった位でいい年をした男子が泣くなんて…みっとも無いと思うだろう…でも、理久には、たかだか犬一匹では無かった。友達いや…それ以上だ。理久の両目から落ちた涙が、ベンチの下の土をポツポツ濡らす。「クロ…俺の側に帰って来てくれ!帰って来てくれたら、ご飯でもおやつでも何でも、お前の好きな物食べさせて上げるから…なぁ…クロ…」理久は、弱々しく呟いた。すると、地面を見ていた理久の目に、理久の前に来た明らかに男だろう、大きなスニーカーが映った。気配も無かったのに、突然目の前に男が立っていて、理久はビックリして顔を上げた。すると…「理久…本当に何でも好きなモノ、食わしてくれるんだな?」低く、甘く、でも、凛とした男の声。外灯に照らし出されたその声の主を、理久は目を見開いて見た。そこにいたのは、ガッチリした背の高い、ジーパンと白いTシャツだけでもオーラの凄い、長い黒髪の超イケメンだった。(誰?)といいかけて、理久は、男の瞳に吸い寄せられ、言葉を失った。(外人…だろうか?)瞳が、美しいブルーだった。そして、クロとよく似ている。余りに良く似ていたので、理久は、増々視線を外せなくなる。「なぁ、理久…本当に…本当に、何でもいいんだな?」呆然としてしまった理久は、思わず男に向かって返事してしまった。「う…ん。本当に、何でもいい…」
last updateLast Updated : 2025-06-04
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kiss
男は、すぐそっとしゃがんだ。そして、まるで王子が姫君にするように地面に片膝を付き跪き、ベンチに座る理久の両手を握った。男の手は、大きく、温かい。まだ涙の止まらない理久の目の前に男の顔が来て、見上げてくる。やはり、深青の瞳がクロに似てる…だが、理久がそう思ったのも束の間、男の逞しい腕の右手首に視線が行った。そこには、理久がお小遣いでクロに買ってやったブルーの合皮の首輪に似た物が、まるで長さを加工されたようになって巻かれていた。「理久…」男は、甘く囁くように呼びかけてきたが、理久は男の瞳を再び見て戸惑う。(だから…何で俺の名前、知ってるんだよ?)理久は、そう聞きたいのに、声が出ない。まるで、深青の瞳に魅入られてしまったかのように。ただ、ドキドキドキドキと心臓の動きが激しい。「この、首輪、理久が自分の少ないお小遣いで俺に買ってくれたんだよな…俺の青い目と同じ色だと。俺、凄く…うれしかったよ」男が、自分の右手首を見て微笑んだ。「え?!」理久は、男が何を言ってるのかが分からない。そのまま固まっていると、男のその右手が、理久の左頬に触れた。そして、そのまま男はあろう事か、理久の左頬に流れる涙をペロペロペロと舐めだした。驚きの余り、声も出せす固まる理久をよそに、次は、右頬の涙を舐める。そして、理久は思い出す。クロは、理久が家でドラマや映画を見て泣いていたら、こんな風によく顔を舐めてくれた。男は、クロと舐め方がよく似ていた。折角涙を取り去ったのに、その思い出に又、理久の両目から涙が溢れ流れ落ちる。「理久…もう…泣くな…俺はクロだ。お前の所に帰って来たから…」男は、次に理久の唇に、男の唇をそっと重ねた。
last updateLast Updated : 2025-06-05
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異世界
どれ位だったろうか…だけど、やけに長いキス。その後、男の唇が理久の唇からそっと離れた。理久のファーストキスは、突然、何の予兆も心の準備も無く、あっという間に奪われた。「なっ!何する!」理久が珍しく声を荒げると、男が全く意に関せずと跪いたままくすりと笑うと、急に立ち上がる。驚いた理久は、一瞬逃げようとしたが、すぐ男に軽々とお姫様抱っこされた。「行くぞ!理久!」手足をジタバタして抵抗する理久に、男は全く影響されず微笑んで言った。「行くって、何処へだよ?!」理久は更に足掻くが、男は全くどこ吹く風だ。「俺が治めている国だ!」「はあ?」理久が、増々訳が分からないと眉間に皺を寄せると、男は理久を抱いたまま、普通の人間ではあり得ないスピードで走り出した。そして、暗く人気の無い公園の奥の、沢山ある木の中のどうと言う事の無い一本の前に来た。しかし、理久がよく見ると…外灯の明かりによって、その木の根本の木皮に、大きな白い三日月型が浮かんでいるのが分かった。しかも突然、その形が、黄金色の光を放ち始めた。「何?これ!」理久が驚愕し叫ぶ。「大丈夫だ。理久。俺がいる。俺が、お前を必ず守る」男は、理久を抱きかかえたまま、理久を見て優しく微笑んだ。理久が、その男の笑みを思わずボーっと見詰めたら…急に更に回りが明るくなる。理久は、驚き目を閉じた。だが、その一瞬後。男に抱かれたまま理久は、何処か全く分からない西洋風の部屋にいて…男は、呪術を思わせる、木床に描かれた不思議な大きな円の上に立っていた。回りには、変な人形や、面、変わった動物のミイラがそこかしこに飾られている。あ然とする理久を抱え、さらに男は、その部屋を出てやはり猛スピードでどこかへ行く。ここは一体どこなのか?
last updateLast Updated : 2025-06-07
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ベッド
 理久の唇に、ベッドサイドに立っていた男が上半身を傾けて又口付けた。 「うっ…んん…」 理久が瞠目して驚愕すると、男は、その隙に今度は舌を入れてきた。 そして、更に、男も口付けしたままベッドの上に上がって来た。 「うっ…んん…」 理久は、必死で抵抗したが、男の猛獣のような力の強さには全く敵わない。 それ所か、キスは激しさを増してきた。 お互い上半身を起こしたまま、理久の逃げる舌を、男の舌が追って捕え…激しく絡ませられる。 「ぷちゅっ…ぷちゅっ…くちゅっ…」 艶めかしい水音がしてくる。 そして… 未だ抵抗する理久と、男の息が、かなり上がってきた。 やがて、男の手が、理久のズボンのフォックに手をかけた。 その瞬間…理久は、貞操の危険を感じ、キスの合間叫んだ。 「待て!」 同時に理久の開いた手の平が、男の前に出される。 これは完全に、理久がクロにしていた躾けのステイのポーズそのままだった。 理久の中の、もしかして男は本当にクロでは無いか?という思いからの一か八かの賭け。 男は目を見開き、一瞬にして理久から唇を離し、理久のズボンからも手を離した。 そして、ハアハアと息を弾ませながら、あんなにピンと立っていた頭の上の耳が倒れ
last updateLast Updated : 2025-06-10
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ベッド2
「どうして?どうしてだ?理久!お前、俺がお前の所に帰ったら、なんでも食べさせてくれるって言ったはずだ!だから、お前が食いたい!お前とセックスしたい!」男は、まだ、ハアハアハアと激しく息をし、恐ろしい程性器を勃たせている。そして、さっきまでの大人の男の余裕の素振りを捨てさり、子供のように拗ねた感じで理久に訴える。「アレ、聞こえてたのか?ああ、言ったよ。確かに言った。けどあれは、ジャーキーとか、ほ○っことか、ワ○○ゅーるとかの事で」「そんなのいらない!理久が欲しい!理久の体が、心も全部欲しい!」男は、完全に成長した美しい大人の男のなりで、本当に聞き分けの無い子供のように理久に映る。「俺、男だぞ!そりゃ、背はそんなに無いけど、中性ぽくも女っぽくも無い、どっからどう見ても男だぞ!」理久は、ステイのポーズのまま、男に叫んだ。「ああ…理久は、どっからどう見ても男だ…でも、かわいい…凄くかわいくて、優しくて、いい匂いがする……だから、抱きたい…」急に、男のトーンが、大人の、しかも色気のある男のモノに急変して理久は、ドキっとした。しかし、急ぎ首をそれを振り払う。「それに、あんた…あんた…本当に、クロなのか?それなら、その右腕の物以外で、何か証拠見せてくれ!」理久の更なる叫びに、男はくすりと笑って答えた。「いいとも…」      
last updateLast Updated : 2025-06-10
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ベッド3
一瞬、ブワッと男が白煙に包まれと思えば、次の瞬間、犬になっていた。 理久が大好きな、クロに瓜二つの… 美しい黒の毛並みの… そして、青い首輪は首にでなく、ブカブカの状況で前右足にあった。 「ク…ク…ク…ロ?」 間違い無かった。 途端に喜びの余り、理久の脳裏からさっき襲われかけた事が瞬時に吹っ飛んだ。 そしてバッと近寄り、その黒色の体に抱きついた。 「クロ…良かった…良かった、お前が無事で。本当に本当に心配したんだ」 思いっきり抱き締めてやる。 「くぅ~ん…くぅ~ん…くぅ~ん」 クロが、甘える時のとってもかわいい声を出した。 「クロ…」 理久の両目から懐かしさと嬉しさで、又涙が溢れてきた。 それを見たクロは、激しい勢いで理久に飛びかかる。 スポっと、あの首輪が、クロの足から抜けた。 理久は、ベッドに上向きに倒れ、クロが上におおいかぶさり頬を伝う涙をペロペロペロペロ舐め出してきたので笑った。 「クロ!くすぐったい!ダメだ、クロ!ああっ!ダメ!ダメ!そこはダメー!」 だが、ふと、なんだか変な声を出してしまったと理久は気付く。 すると、又、今度はクロが白煙に消えさっきの男になり、寝転ぶ理久の顔の両横に手を付き、上から見下ろしてきた。
last updateLast Updated : 2025-06-10
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大広間
理久は、まるでフランスの太陽王の宮殿の中のような、内装も調度品も華美で煌びやかな広い部屋にいた。だが、どこから見てもThe日本人の理久には馴染まないと言うか、浮いてしまうと言うか…その雰囲気に、思わず小さくなってしまい全く落ち着かない。そして、よく読む、異世界転移の小説の主人公の気持ちが痛いほど理解出来た。今はこの異世界も夜のようで、大きな沢山の窓は高価そうなレースのカーテンが締め切られていた。しかし、この世界には、暗がりになると光る石があるらしく、天井のゴージャスなシャンデリアはそれで出来ていて、煌々と広い部屋を照らしていた。そして、理久は椅子に座り、沢山の獣人の召使いが目の前のテーブルに、理久とクロの食事を用意しているのをただ眺める。獣人は、色々な種類がいる。クロと同じ犬もいれば、猫や馬、熊もいる。けれど特に目立っていたのが、仲の良さそうな、黒のスーツに身を包む2人のどちらもかわいいウサギの獣人の男子だ。人間で言うなら、20歳前後位に見える。彼等は、一人がかわいくて凛とした爽やかイケメンで、もう一人は、笑顔が甘過ぎる、ウサ耳の良く似合うめっちゃくちゃかわいい系だった。どちらかと言えば、爽やか男子が2人の仲をリードしているのかとおもいきや、主導権を握っているのは、以外や以外、かわいい方のようだった。クロは、理久の向いに座り、召使い達に色々指示を出す。ただ…クロの顔つきや喋り方が、理久と一緒にいたさっきまでと違う。理久と一緒だった時は、柔らかくて、時に甘えるような表情や言葉遣いが、今は支配者然として居高くまるで別人のようだ。(クロ…やっぱり…本当に…王様、なんだ…)理久は、クロの顔をまじまじと見た。さっきまで優し気だった野生味のある男らしい顔が強く引き締まり、更に男前度合いが増していた。途端に、理久の胸の奥がなんだかザワザワとする。やがてすぐに食事の用意は完了し、召使い達は全て退室した。理久は、目の前のテーブルに並べられたステーキや焼きたてのパンやデザートなどの、これまた豪華さに目を丸くした。「沢山、いくらでも食べろ…理久」クロが、理久の向かいから右腕で頰杖をついて言った。そして、クロの表情と喋り方が、又柔らかくなっている。それでも、理久が無言で不安そうにクロを見た。「どうした?冷めるし、腹へってるだろ?」結
last updateLast Updated : 2025-06-14
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理由
クロが、話し出した。真っ直ぐに、理久の瞳を見上げながら。理久は、その射るような強い視線に、まるで直接握られたように心臓を収縮させた。クロは、この様々な獣人の世界の王国の王様だった。本当は名前もクロでなく、アレクサンドルと言う。そして、少し前から亡くなった祖父で、前前国王のそのままになっていた珍しい品々を集めた部屋がやたら気になっていた。そこは、巨大な城の誰一人として今や入らない、すでに忘れられた空間。それに、クロは、王になってから毎日毎日、お妃を決めろ!早く決めろ!と周囲からヤイヤイ言われていた。そして、毎日毎日、断ろうが何人もの何処かの姫や令嬢と勝手に見合いを組まれ、いかにもと分かる欲に塗れた色目を使われて媚を売られ、もうほとほとうんざり辟易していた。だがある日、クロはどうしてもそう言うストレスもあり気晴らしに、なおかつその部屋が気になって、誰にも告げぬまま、こっそり鍵を持ち出して一人入った。側近や付き人に言えば、埃に塗れるやらなんやらと必ず反対されたからだ。それに、何故だろう…普段、こんな馬鹿げた事はしないタイプなのに…国王になってからは、増々、行動には慎重だったのに…どうしても、部屋の中に入りたかった。まるで、部屋に呼ばれているかのように…それに、少し中を見て、すぐ職務に戻るつもりだった。そこは…やはり埃に塗れ、蜘蛛の巣が張り放題。どこから手に入れたのか、変わった動物のミイラや骨や、壺や仮面や不気味な人形が、元王の部屋にしては小さな空間に溢れていた。すると突然、部屋の中央に鎮座している大きな陳列台と床との僅かな隙間から、ネズミが2匹出てきた。古い部屋だし仕方が無いなと思いながら、掃除はしなければなと、何気にその隙間を覗くと…陳列台に隠れるように、床に何かが描かれていた。一体何かと…普通ではなかなか動かせないその台を、クロは持ち前の怪力で一人で軽く動かしてみた。すると、そこに、呪術なのか?…その部分だけ埃が無くキレイなまま…紅い何かで描かれた大きな円陣が幾つか重なったり組合って、訳の分からない記号も幾つかあった。だが、クロには唯一、その円や記号の横に書いてあった文字だけが読めた。いにしえの今はもう、王族にしか伝わらない、市井の人々には忘れられた古代文字。そこには…「神聖なる血を受け継ぐ一族の者よ…我、
last updateLast Updated : 2025-06-14
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理由2
理久は、秒でクロを引き取る事を決めた。 そして、クロは、理久を一目見て恋し、更に感覚ですぐ分かった。 とても優しい人間だと。 すぐ立ち上がり、しなだれていた尻尾を珍しく振り、膝立ちしていた理久の太ももに顔を擦り寄せた。 すると、理久は、子犬がいいと言う理久の母の文句を一蹴して、クロを抱き締めた。 それからクロは、楽しかった。 ケガもみるみる完治した。 クロは、凄く幸せだった。 理久が学校へ行っている以外は、ほぼ一緒。 食事も、 勉強中も、 理久一人でゲーム中も、 テレビを見ていても、 家族旅行も、ベッドの中も、時には風呂でさえも… もう、何年も前からそうだったと思いたくなるほど… 違和感も無く自然で心地良く… ずーとずーと、ずーと一緒。 そして、本当に理久は、クロの面倒をよく見てくれた。 しかし、そんなある日、クロの脳裏に突然、獣人である記憶が戻ってしまった。 どうすればいいのか? 理久に本当の事を打ち明けるべきなのか? しかし、人間からしたら獣人など、化け物だと受け入れてもらえないかもしれない。 そして何より、理久が妖怪や幽霊、UMAなどが大の苦手で恐れているのを知っていた。 記憶が戻ってもまだ犬の姿のまま、クロは数日悩んだ。 しかし、満月の夜。 クロは、理久の風呂上がりの匂いに、発情してしまった。 我慢しなければ… 我慢しなければ…と、すでに滾っている下半身を一生懸命耐えようとしたが… クロはついに人型になって、口から鋭い双牙を出し、ベッドで眠る理久を襲いそうになった。 その性欲は凄まじかった。 クロは、こんなに誰かを欲しいと思った事が無かった。 それでも、必死でなんとか耐えた。 だが… クロは、遂にたまらなくなって、人型のまま理久の家を出た。 そして、自分が初めてこの世界に出た、あの公園へ行ってみる事にした。 僅かな外灯の灯りとあの時の虚ろな記憶で、どの辺りの木から自分が出たか探す… すると、沢山の木に囲まれて、それらしいものがあった。 クロの抜群な視力で、少し遠くから眺めていると、突然… その木の根本近くに、白い大きな月の模様が浮かんできた。 まるで、これから満ちていく三日月の形。 それは… 実は
last updateLast Updated : 2025-06-18
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