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ベッド3

Auteur: みゃー
last update Dernière mise à jour: 2025-06-10 12:20:00

一瞬、ブワッと男が白煙に包まれと思えば、次の瞬間、犬になっていた。

理久が大好きな、クロに瓜二つの…

美しい黒の毛並みの…

そして、青い首輪は首にでなく、ブカブカの状況で前右足にあった。

「ク…ク…ク…ロ?」

間違い無かった。

途端に喜びの余り、理久の脳裏からさっき襲われかけた事が瞬時に吹っ飛んだ。

そしてバッと近寄り、その黒色の体に抱きついた。

「クロ…良かった…良かった、お前が無事で。本当に本当に心配したんだ」

思いっきり抱き締めてやる。

「くぅ~ん…くぅ~ん…くぅ~ん」

クロが、甘える時のとってもかわいい声を出した。

「クロ…」

理久の両目から懐かしさと嬉しさで、又涙が溢れてきた。

それを見たクロは、激しい勢いで理久に飛びかかる。

スポっと、あの首輪が、クロの足から抜けた。

理久は、ベッドに上向きに倒れ、クロが上におおいかぶさり頬を伝う涙をペロペロペロペロ舐め出してきたので笑った。

「クロ!くすぐったい!ダメだ、クロ!ああっ!ダメ!ダメ!そこはダメー!」

だが、ふと、なんだか変な声を出してしまったと理久は気付く。

すると、又、今度はクロが白煙に消えさっきの男になり、寝転ぶ理久の顔の両横に手を付き、上から見下ろしてきた。

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    理久は、翼を助ける為に、率先してクロの祖父の秘密の部屋から赤絨毯の長く広い廊下に出た。獣人女性に化けた理久の、ロングメイドドレスのスカートとポニーテールと、白のもふもふの尻尾がふわりと揺れた。廊下を挟み左右の壁には、等間隔にランプが設置され、その中で、魔法由来の他に燃え移らない火事にならない赤い炎が揺らぐ。辺りは静まり返っている。さっき、理久がクロに取った態度で、二人の間に変な空気が流れている。そして、理久の横顔に、クロの熱の籠った視線が向けられている。しかし、理久は、それを素直に受け止められず、一度チラッとクロの青い瞳を見詰めてすぐにそらしてしまった。それでも――クロは、理久を見詰め続けて、理久の心臓は、クロの理久へのその眼差しに早る。それでも――今は、翼の事に集中すべきと思いながらも――こんな気持ちのままでは、翼を助けられないと思いながら――どうしても、クロが理久ではなく、理久そっくりの獣人女性に愛情を向けているという風に、理久の頭の中で変換されてしまう。クロは、やはり理久の様子が変だと、頭の獣耳をピクピクっとさせて反応させた。そこに、アビが背後から声をかけてきた。「理久さん。時間も無いので、ここで一度さっきお教えした魔法を使ってみましょう」アビに振り返り、理久は不安な表情になる。「えっ?でも、それじゃあアビさんが危ないんじゃ……」それに、いくら城の広い廊下とは言え、大丈夫だろうかとも思う。だがアビは、クスっと笑った後返した。「大丈夫です。理久さんが従兄弟殿に襲われた時にお命まで奪わないように反撃できるような、あくまで理久さんを守る為の護身用レベルの魔法の力にしてあります。それにそれくらいの魔法なら、僕は手前で消滅させられますし。ただ……この魔法が一時期にせよ、僕から得たとは、他言なさらないで下さい。あくまで、理久さんが元々持っていた力にして下さい」「えっ?……」理久は、戸惑った。アビの表情は、急に固くなる。「陛下は、僕の魔法系統一団が魔法を使えない普通の者に魔法を与える事が出きるのを知っておられましたが、普通の生活を送る普通の者達の多くはそれを知りません。もし多くの普通の者達がそれを知れば、自分にも魔法を与えてくれと我々魔法使いに殺到するでしょう。魔法を欲し得て悪用しようと言う者も多いのです。我々は、本当に

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    アビは、すぐに異世界同士を繋ぐ魔法陣の近くに行き、呪文を唱えた。 すると、すぐに魔法陣の赤い文字や図形が黒く変色した。 理久は、これが魔法陣の力が停止したという事だと―― 理久の世界とこちらの世界が、完全に行き来不可能となったと悟った。 わかっていて魔法陣を止めたが、理久自身が元の世界に帰れ無い事より、今一時期にしても翼を帰してやれなくなった事に新ためて背筋が凍り、目眩がしそうだった。 「理久……理久……大丈夫か?」 クロが、クロの胸の中の表情の固まる理久を強く抱き締めた。 クロがいれば、理久は強くなれる気がして、出来るだけ気丈な声を出した。 「大丈夫……」 理久も、クロを抱き締締めた。 そこに、部屋に戻ったレメロンの冷静な報告が部屋に響いた。 「陛下。間もなく上級魔法師長と腕に信用のおける騎士20人が参りますが、理久様の従兄弟殿らしき姿が、アドオン国の使者達が宿泊している棟の方に消えたと言う情報がありました」 理久がクロに抱かれたままクロの表情を見上げると、沈着な中にも状況の厳しさが伺えた。 「やはり……あの魔物か何かはアドオン国の仕業かも知れないな。だが、まだアドオンの仕業と決まった訳でないし、間違い無く怪しまれるから、こんな深夜に無闇に王としての俺と騎士の大人数でアドオン国の者達がいる棟に踏み込めない。明日条約を締結すると言っても、アドオンと我が国はそれ程友好関係は無い。一旦ここでアドオン国と何かあれば、すぐに大きなモメ事にもなる。俺と騎士達は城の警備兵に化けて、少人数に分かれて慎重に潜入する。レメロンは連絡対応でこの部屋に残れ」 クロは、動揺一つ見せずレメロンに指示しすると、レメロンは「御意」と一言の後頭を下げた。 理久は、今もクロに抱かれながら、クロのこういう所が、獣人王だと実感する。 「どうした?」 クロが、クロを見詰める理久に視線を向けた。 「クロって、本当強い王様だと思って」 素直な理久の言葉。 それがクロの頭の犬耳に入った途端、又クロは、褒められて反応した本当の犬の時のクロのように体をビクってさせて、犬耳と尻尾がピンと立った。 そして、クロは理久を抱いたまま体を屈め、クロの唇を理久の耳元に寄せ問う。 「強い、王なだけか?」 「えっ?……」 理久が戸惑う。

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    巨大犬クロが理久を背中に乗せ走り出すと、その周りを薄い透明なシールドが囲った。「理久。これで俺達は周りの人間には姿は見られないし、このシールドで風の抵抗も受けないが、少しだけ揺れるからしっかり俺に掴まれ」 クロが、高校生男子の理久が背中にいても全く影響を受けず、猛スピードで夜の車道を走りながら言った。「こんな事も出きるんだ。クロ、凄い!」 理久は、クロの知らなかった力に心底驚いた。 すると、漆黒の魔獣のような迫力のあるクロが一瞬ピクンと巨体を震わせ、さっきから勇ましく立っていたクロの耳と尻尾が尚一層に、これ以上はないくらいにピンピンに立った。  クロをごく普通の犬として理久の家で飼ってた時、理久がクロに「かしこい!」や「クロ、凄い!」を言ってやって褒めて上げた時と全く同じ反応。  しかし、あの時と違うのは、今のクロは言葉を喋る。「そっ……そうか?……」 前を向き疾走しているデカい獣が、少し照れてるような声。「うん」 理久は頷いたが、前方を見渡せばすでに翼の姿は見えなくなっていて、理久に不安が押し寄せる。 「翼の姿が見えない」 それでも、返ってきたクロの返事の声には、余裕のようなものがあった。「大丈夫。俺は鼻がいい。匂いで翼を追ってる。やっぱり、あの公園に向かってるようだ」「そんな……」 翼は、本当に異世界への扉に向かってるのか? 理久は、心配で心臓が締まる痛みを感じた。 夜中で、車は少ない。 だが時折、前を走る何台かをクロはビュンビュン抜かす。 やがて、タクシーでかかる半分程の時間で公園に帰って来た。 そして、急ぎ異世界へ飛べる紋様がある木に向かい走ると、やっと少し遠くに見えたその前にすでに翼がいた。 だが、間に合わなかった。 翼の足元、木の根元に記された白い大きな月の模様が激しく光輝いた。  ―それは、まさしく、異世界への小さなの入り口― 翼は、黄金の粒子と共にその中に吸い込まれるようにして消えた。「翼ーっ!ダメだ!」 理久が絶叫すると、クロの緊迫した声がした。「理久!このまま俺達も俺の世界へ戻るぞ!シールドを外す!俺にしっかり抱き着いて掴まれ!俺を離すな!」 理久は、クロの背中にがっしり抱き着いた。  すぐさま、クロが紋様を通る呪文の詠唱を始め、クロと理久も金色の光と共にそこに吸い込まれ異世界

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    「理久っ!理久っ!理久っ!」翼が今度はその場て頭を抱え、やはり苦しみ呼んだ。「翼!」翼があまりに苦しそうで、理久は翼に駆けよろうとクロから離れようとした。しかし、それをクロが理久をしっかり抱き締め制止した。「ダメだ!理久!今の彼はお前のいとこじゃ無い!カバンの中にいた何かにほぼ体を乗っとられてる!」「えっ?」再び理久が翼をよく見ると、翼の口元には牙が2本生え、両手の指に鋭い爪も伸びていた。「理久……すまない。翼に俺の正体がバレても、もっと早くあの何かを捕まえるべきだった!俺の世界の魔物の中には、精神の乱れに乗じて体に入りこみ乗っとるヤツがごくたまにいる。彼は、多分それにやられた」クロも苦悶の表情で呟いた。それでも、クロが言ってる事が真実としても、翼が魔物に体を乗っ取られたのが現実としても、理久には、あのいつもクールで完璧な翼が精神を乱れさせる理由が不明確だった。「ウーッ……ウーッ……ウーッ……」翼は、服の上から翼の胸をバリバリと鋭い爪で掻きだし、獣のような声で苦しく呻くように繰り返した。翼の胸にみるみる縦の傷が出来、そこから血が流れ出す。「翼っ!やめろ!やめてくれ!翼っ!」理久は、クロの腕の中から叫び、翼に腕を伸ばした。すると、翼の目が一層赤光りして、翼の姿がシュッとその場から消えた。理久は、次の瞬間はるか高い頭上に気配を感じ、咄嗟にそちらに視線を移した。もう人の姿で無い翼が、明らかに理久を奪おうとクロめがけて爪をかざしスピードをつけて降ってくる。「理久っ!逃げろ!」クロは叫び理久を横に押し逃すと、クロの両腕で翼のそれをつかみ止めた。しかし、それも束の間。翼はクロから逃れると、再び鋭い爪をクロに向けて突撃する。シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!クロはそれを高い身体能力で何度も何度も避け、翼の爪が空を切る音だけがする。理久には、クロが本気を出し翼を攻撃出来るのに、翼が理久の身内なのでそれを躊躇っているように見えた。そしてそうしながら、これもわざと、翼を理久から遠ざけ、理久の安全を確保しようとしているようにも見える。案の定、クロは、理久の従兄弟に致命傷を与える強い攻撃が出来ずに苦心していた。元々空手をやっていて身体能力が高い上に今の魔物の力も加わった翼には、中途半端な生ぬるい攻撃が効かないのもよくわかっていた。正

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    「理久に……触んな?……それはこっちのセリフだ!」翼の声は冷たく、腹の底から振り絞っているようだった。そして、そのままの勢いで翼は続ける。「あんたは、きっと遊び慣れてるんだろうが、理久にだけは触んな!理久は……理久は、遊びに使う男じゃない。あんたがどこの国の人間か知らないが、俺達より大人ならそれくらいわかるだろ?!」するとクロは、すぐ目の前の翼を見据えたまま即返した。「俺が遊び慣れてる?勝手に決めつけるな!」そしてクロは、迷いなく言いきった。「それに、俺は、理久を本気で愛してる。出会った瞬間から」それを聞き、理久の胸が跳ね上がった。クロも、やはり今も理久と同じ気持ちでいてくれたのだ。そして、理久もクロも、互いに初めて会った瞬間からお互いを愛していた。 だが、翼の方は一瞬絶句し、すぐに両手でクロの胸ぐらをつかんだ。「翼っ!」理久が慌てて翼を止めに前に出ようとしたが、クロは、そっと右手を横に出し背後の理久を制止した。「なら……なら、なんで最初に、最初に理久の友達だと俺に嘘をついた?!えっ?!なんで?!もうそこで怪しいんだよ!お前は!」クロの胸ぐらを掴んだ翼の手が、グイグイとクロの上半身を強くゆする。しかし、クロは一切動揺を見せず返した。「翼。俺は、理久と俺が恋人だと知ったお前がこんな風に逆上するのが最初からわかってたから、お前に友達だと言って今日は穏便に済ませたかった。今日は、理久も俺もどうしても時間が無かった。だが、お前の理久に対する態度があからさま過ぎて、俺も途中で我慢ができなくなった」そしてクロは、首を背後の理久に向けると言葉を続けた。「理久……すまなかった。俺は、演技しきれなかった……」やはり、クロの態度の異変は、理久が想像した通りだった。「クロ……」 その事で、理久は大きく胸を一瞬撫で下ろしたが、翼との事はまだ解決していない。「何だお前!俺と今日初めて会ったのに、俺の何がわかんだよ!」翼は、一層クロの胸ぐらを強く掴んだ。 するとクロは前を向き、翼のその両手をクロの両手とその力で呆気なく外させた。翼も空手をしていて身体も大きいし力もある。しかし、あまりのクロのその力の強さに翼は一瞬唖然となる。そしてクロの方は、目は鋭く翼を凝視して、口元だけ上げて笑って言った。「翼。実は俺はお前の事は以前からよく知

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