Chapter: 波動理久は、翼を助ける為に、率先してクロの祖父の秘密の部屋から赤絨毯の長く広い廊下に出た。獣人女性に化けた理久の、ロングメイドドレスのスカートとポニーテールと、白のもふもふの尻尾がふわりと揺れた。廊下を挟み左右の壁には、等間隔にランプが設置され、その中で、魔法由来の他に燃え移らない火事にならない赤い炎が揺らぐ。辺りは静まり返っている。さっき、理久がクロに取った態度で、二人の間に変な空気が流れている。そして、理久の横顔に、クロの熱の籠った視線が向けられている。しかし、理久は、それを素直に受け止められず、一度チラッとクロの青い瞳を見詰めてすぐにそらしてしまった。それでも――クロは、理久を見詰め続けて、理久の心臓は、クロの理久へのその眼差しに早る。それでも――今は、翼の事に集中すべきと思いながらも――こんな気持ちのままでは、翼を助けられないと思いながら――どうしても、クロが理久ではなく、理久そっくりの獣人女性に愛情を向けているという風に、理久の頭の中で変換されてしまう。クロは、やはり理久の様子が変だと、頭の獣耳をピクピクっとさせて反応させた。そこに、アビが背後から声をかけてきた。「理久さん。時間も無いので、ここで一度さっきお教えした魔法を使ってみましょう」アビに振り返り、理久は不安な表情になる。「えっ?でも、それじゃあアビさんが危ないんじゃ……」それに、いくら城の広い廊下とは言え、大丈夫だろうかとも思う。だがアビは、クスっと笑った後返した。「大丈夫です。理久さんが従兄弟殿に襲われた時にお命まで奪わないように反撃できるような、あくまで理久さんを守る為の護身用レベルの魔法の力にしてあります。それにそれくらいの魔法なら、僕は手前で消滅させられますし。ただ……この魔法が一時期にせよ、僕から得たとは、他言なさらないで下さい。あくまで、理久さんが元々持っていた力にして下さい」「えっ?……」理久は、戸惑った。アビの表情は、急に固くなる。「陛下は、僕の魔法系統一団が魔法を使えない普通の者に魔法を与える事が出きるのを知っておられましたが、普通の生活を送る普通の者達の多くはそれを知りません。もし多くの普通の者達がそれを知れば、自分にも魔法を与えてくれと我々魔法使いに殺到するでしょう。魔法を欲し得て悪用しようと言う者も多いのです。我々は、本当に
Terakhir Diperbarui: 2026-01-23
Chapter: 嫉妬だが、理久が変わったのは、そこだけじゃ無かった。 「理久……頭に、耳が……」 クロが、抱いている理久を見詰めながら唖然としたような声を発した。 「えっ?何?!」 理久の右手が、自分の頭にいく。 触ると、明らかに理久の頭にも、毛のある獣耳が生えていた。 そして、声も、女性のものになっていた。 「見てみろ……理久……」 クロは、目を細めた優しい視線を理久に向け呟くと、理久を抱いたままくるりと反転した。 すると、少し離れた壁に、縁の部分の美しい花の紋様に色とりどりの宝石を散りばめた大きな丸い鏡が飾ってあり、そこに、城の黒のメイドドレス姿の理久と、その彼女?を抱くクロが映る。 「えっ?!」 理久の頭にはやはり、ほわほわの白毛の獣耳が生えていて、黒のメイドドレスのスカートの部分の細工から、もふもふの白い尻尾も上手く出ていた。 しかも、何も練習しなくても、自然とその獣耳も尻尾もピクピクと動かせる。 「う……そ……」 理久自身が目を見開き驚く程違和感無く、理久は女性になっていたし、獣人になっていた。 だが、よくよく鏡の中の女装した理久とクロを見ると、次に理久の胸に去来したのは―― やはりクロの横には人間の男子の理久ではなく、獣人の女性の姿が本当にピッタリでよく似合ってるという事だった。 特に、堂々とした獣人王のクロの横には、華やかなドレスに身を包んだ美しい獣人女性のお妃様がよく似合っている。 そして、今さらながら新ためて思い知るのは、男の理久では、クロとどんなに深く身体も心も交わり合い愛し合っても、クロの赤ちゃんを産めないという現実。 すぐに理久の胸に、翼が理久に言い放った「違う世界の者同士は一緒に生きていけないし、幸せにはなれない!」と言った言葉が蘇り突き刺さり、掻き乱される。 途端に、鏡に映る理久は下を向き表情が曇った。 だが、それを見たクロもアビも、理久が女装姿にただ戸惑っているだけだと思った。 だから―― クロは、理久を抱く腕に更に力を入れて、理久の耳元で甘く囁いた。 「理久……凄くキレイだ……」 すると、理久の心に、雷に打たれたような衝撃が走った。 (信じてたのに……クロって……本当は、獣人の女の人好きなんじゃ?……) 思わず理久は、クロの腕の中でクロに顔を向けて
Terakhir Diperbarui: 2026-01-10
Chapter: 魔法アビは、すぐに異世界同士を繋ぐ魔法陣の近くに行き、呪文を唱えた。 すると、すぐに魔法陣の赤い文字や図形が黒く変色した。 理久は、これが魔法陣の力が停止したという事だと―― 理久の世界とこちらの世界が、完全に行き来不可能となったと悟った。 わかっていて魔法陣を止めたが、理久自身が元の世界に帰れ無い事より、今一時期にしても翼を帰してやれなくなった事に新ためて背筋が凍り、目眩がしそうだった。 「理久……理久……大丈夫か?」 クロが、クロの胸の中の表情の固まる理久を強く抱き締めた。 クロがいれば、理久は強くなれる気がして、出来るだけ気丈な声を出した。 「大丈夫……」 理久も、クロを抱き締締めた。 そこに、部屋に戻ったレメロンの冷静な報告が部屋に響いた。 「陛下。間もなく上級魔法師長と腕に信用のおける騎士20人が参りますが、理久様の従兄弟殿らしき姿が、アドオン国の使者達が宿泊している棟の方に消えたと言う情報がありました」 理久がクロに抱かれたままクロの表情を見上げると、沈着な中にも状況の厳しさが伺えた。 「やはり……あの魔物か何かはアドオン国の仕業かも知れないな。だが、まだアドオンの仕業と決まった訳でないし、間違い無く怪しまれるから、こんな深夜に無闇に王としての俺と騎士の大人数でアドオン国の者達がいる棟に踏み込めない。明日条約を締結すると言っても、アドオンと我が国はそれ程友好関係は無い。一旦ここでアドオン国と何かあれば、すぐに大きなモメ事にもなる。俺と騎士達は城の警備兵に化けて、少人数に分かれて慎重に潜入する。レメロンは連絡対応でこの部屋に残れ」 クロは、動揺一つ見せずレメロンに指示しすると、レメロンは「御意」と一言の後頭を下げた。 理久は、今もクロに抱かれながら、クロのこういう所が、獣人王だと実感する。 「どうした?」 クロが、クロを見詰める理久に視線を向けた。 「クロって、本当強い王様だと思って」 素直な理久の言葉。 それがクロの頭の犬耳に入った途端、又クロは、褒められて反応した本当の犬の時のクロのように体をビクってさせて、犬耳と尻尾がピンと立った。 そして、クロは理久を抱いたまま体を屈め、クロの唇を理久の耳元に寄せ問う。 「強い、王なだけか?」 「えっ?……」 理久が戸惑う。
Terakhir Diperbarui: 2025-12-26
Chapter: 決意巨大犬クロが理久を背中に乗せ走り出すと、その周りを薄い透明なシールドが囲った。「理久。これで俺達は周りの人間には姿は見られないし、このシールドで風の抵抗も受けないが、少しだけ揺れるからしっかり俺に掴まれ」 クロが、高校生男子の理久が背中にいても全く影響を受けず、猛スピードで夜の車道を走りながら言った。「こんな事も出きるんだ。クロ、凄い!」 理久は、クロの知らなかった力に心底驚いた。 すると、漆黒の魔獣のような迫力のあるクロが一瞬ピクンと巨体を震わせ、さっきから勇ましく立っていたクロの耳と尻尾が尚一層に、これ以上はないくらいにピンピンに立った。 クロをごく普通の犬として理久の家で飼ってた時、理久がクロに「かしこい!」や「クロ、凄い!」を言ってやって褒めて上げた時と全く同じ反応。 しかし、あの時と違うのは、今のクロは言葉を喋る。「そっ……そうか?……」 前を向き疾走しているデカい獣が、少し照れてるような声。「うん」 理久は頷いたが、前方を見渡せばすでに翼の姿は見えなくなっていて、理久に不安が押し寄せる。 「翼の姿が見えない」 それでも、返ってきたクロの返事の声には、余裕のようなものがあった。「大丈夫。俺は鼻がいい。匂いで翼を追ってる。やっぱり、あの公園に向かってるようだ」「そんな……」 翼は、本当に異世界への扉に向かってるのか? 理久は、心配で心臓が締まる痛みを感じた。 夜中で、車は少ない。 だが時折、前を走る何台かをクロはビュンビュン抜かす。 やがて、タクシーでかかる半分程の時間で公園に帰って来た。 そして、急ぎ異世界へ飛べる紋様がある木に向かい走ると、やっと少し遠くに見えたその前にすでに翼がいた。 だが、間に合わなかった。 翼の足元、木の根元に記された白い大きな月の模様が激しく光輝いた。 ―それは、まさしく、異世界への小さなの入り口― 翼は、黄金の粒子と共にその中に吸い込まれるようにして消えた。「翼ーっ!ダメだ!」 理久が絶叫すると、クロの緊迫した声がした。「理久!このまま俺達も俺の世界へ戻るぞ!シールドを外す!俺にしっかり抱き着いて掴まれ!俺を離すな!」 理久は、クロの背中にがっしり抱き着いた。 すぐさま、クロが紋様を通る呪文の詠唱を始め、クロと理久も金色の光と共にそこに吸い込まれ異世界
Terakhir Diperbarui: 2025-12-16
Chapter: 変身「理久っ!理久っ!理久っ!」翼が今度はその場て頭を抱え、やはり苦しみ呼んだ。「翼!」翼があまりに苦しそうで、理久は翼に駆けよろうとクロから離れようとした。しかし、それをクロが理久をしっかり抱き締め制止した。「ダメだ!理久!今の彼はお前のいとこじゃ無い!カバンの中にいた何かにほぼ体を乗っとられてる!」「えっ?」再び理久が翼をよく見ると、翼の口元には牙が2本生え、両手の指に鋭い爪も伸びていた。「理久……すまない。翼に俺の正体がバレても、もっと早くあの何かを捕まえるべきだった!俺の世界の魔物の中には、精神の乱れに乗じて体に入りこみ乗っとるヤツがごくたまにいる。彼は、多分それにやられた」クロも苦悶の表情で呟いた。それでも、クロが言ってる事が真実としても、翼が魔物に体を乗っ取られたのが現実としても、理久には、あのいつもクールで完璧な翼が精神を乱れさせる理由が不明確だった。「ウーッ……ウーッ……ウーッ……」翼は、服の上から翼の胸をバリバリと鋭い爪で掻きだし、獣のような声で苦しく呻くように繰り返した。翼の胸にみるみる縦の傷が出来、そこから血が流れ出す。「翼っ!やめろ!やめてくれ!翼っ!」理久は、クロの腕の中から叫び、翼に腕を伸ばした。すると、翼の目が一層赤光りして、翼の姿がシュッとその場から消えた。理久は、次の瞬間はるか高い頭上に気配を感じ、咄嗟にそちらに視線を移した。もう人の姿で無い翼が、明らかに理久を奪おうとクロめがけて爪をかざしスピードをつけて降ってくる。「理久っ!逃げろ!」クロは叫び理久を横に押し逃すと、クロの両腕で翼のそれをつかみ止めた。しかし、それも束の間。翼はクロから逃れると、再び鋭い爪をクロに向けて突撃する。シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!クロはそれを高い身体能力で何度も何度も避け、翼の爪が空を切る音だけがする。理久には、クロが本気を出し翼を攻撃出来るのに、翼が理久の身内なのでそれを躊躇っているように見えた。そしてそうしながら、これもわざと、翼を理久から遠ざけ、理久の安全を確保しようとしているようにも見える。案の定、クロは、理久の従兄弟に致命傷を与える強い攻撃が出来ずに苦心していた。元々空手をやっていて身体能力が高い上に今の魔物の力も加わった翼には、中途半端な生ぬるい攻撃が効かないのもよくわかっていた。正
Terakhir Diperbarui: 2025-12-06
Chapter: 異変「理久に……触んな?……それはこっちのセリフだ!」翼の声は冷たく、腹の底から振り絞っているようだった。そして、そのままの勢いで翼は続ける。「あんたは、きっと遊び慣れてるんだろうが、理久にだけは触んな!理久は……理久は、遊びに使う男じゃない。あんたがどこの国の人間か知らないが、俺達より大人ならそれくらいわかるだろ?!」するとクロは、すぐ目の前の翼を見据えたまま即返した。「俺が遊び慣れてる?勝手に決めつけるな!」そしてクロは、迷いなく言いきった。「それに、俺は、理久を本気で愛してる。出会った瞬間から」それを聞き、理久の胸が跳ね上がった。クロも、やはり今も理久と同じ気持ちでいてくれたのだ。そして、理久もクロも、互いに初めて会った瞬間からお互いを愛していた。 だが、翼の方は一瞬絶句し、すぐに両手でクロの胸ぐらをつかんだ。「翼っ!」理久が慌てて翼を止めに前に出ようとしたが、クロは、そっと右手を横に出し背後の理久を制止した。「なら……なら、なんで最初に、最初に理久の友達だと俺に嘘をついた?!えっ?!なんで?!もうそこで怪しいんだよ!お前は!」クロの胸ぐらを掴んだ翼の手が、グイグイとクロの上半身を強くゆする。しかし、クロは一切動揺を見せず返した。「翼。俺は、理久と俺が恋人だと知ったお前がこんな風に逆上するのが最初からわかってたから、お前に友達だと言って今日は穏便に済ませたかった。今日は、理久も俺もどうしても時間が無かった。だが、お前の理久に対する態度があからさま過ぎて、俺も途中で我慢ができなくなった」そしてクロは、首を背後の理久に向けると言葉を続けた。「理久……すまなかった。俺は、演技しきれなかった……」やはり、クロの態度の異変は、理久が想像した通りだった。「クロ……」 その事で、理久は大きく胸を一瞬撫で下ろしたが、翼との事はまだ解決していない。「何だお前!俺と今日初めて会ったのに、俺の何がわかんだよ!」翼は、一層クロの胸ぐらを強く掴んだ。 するとクロは前を向き、翼のその両手をクロの両手とその力で呆気なく外させた。翼も空手をしていて身体も大きいし力もある。しかし、あまりのクロのその力の強さに翼は一瞬唖然となる。そしてクロの方は、目は鋭く翼を凝視して、口元だけ上げて笑って言った。「翼。実は俺はお前の事は以前からよく知
Terakhir Diperbarui: 2025-11-29
Chapter: 迷い(なんだろう……この体の節々の痛みは?……で、今いつだろう?……) そう思いながら、横向きに横たわる智也がゆっくりゆっくり瞼を上げると―― 少し離れた所にあるテーブルの上のスタンドライトの仄かな明かりに照らされて、すぐ目の前に大成の顔が見えて、智也をじっと見詰めていた。 「おはよう……智也」 大成の、少し掠れた低い艶声。 そして大成は、静かに目を細めて智也の髪を優しく撫でた。 「たい……せい……」 智也は、大成のその穏やかな表情と、そして寝起きで意識がまだ彷徨っていたせいで完全に時間の感覚がズレた。 ―錯覚してしまった― 今、目の前にいる昨日再会した大成が7年前の高校生の時代の大成だと思い込んでしまい、恋情で胸を一杯にして彼を呼んでしまった。 「智也……」 大成がそう囁いた唇が、智也のそれにゆっくり近づき、重なる。 今、智也自身も7年前の高校生だと思っている智也は、あの当時は当たり前だったそのままに口付けを従順に受け入れた。 7年前と、変わらない―― 触れるだけのくすぐったくて甘酸っぱくて、心から泣きたくなるような優しいキス。 だが、しかし―― (えっ?!) 智也の意識が急に明確になりだした。 そして目を見開き、一瞬、今の状況に体がガチガチに固まった。 そして、昨日のプレゼンから今までの回想が脳内に急回展した。 そしてやっと、大成も智也も、今は高校生ではない大人の社会人だという事―― 今、ホテルのスイートルームの柔らかいキングサイズベッドの上で朝を迎えた事―― 昨晩、大成とセックスしてしまった現実を全て思い出した。 途端に智也に、自分がやってしまった事への激しい混乱が押し寄せた。 智也も大成も、白のバスローブ姿。 「うっ……」と、智也の下半身の孔に痛みが走り自分を抱き締めるように背中を丸めると、昨夜の激しい行為が現実だと思い知る。 「智也!大丈夫か?」 その大成の言葉を聞き終ると、智也は痛みを堪えガバっと飛び起きベッドを出た。 そして、壁の時計を見るとまだ午前の5時を回った所で、カーテンの閉まった窓の外も暗い。 ガシッと、大成が智也の腕を掴んだ。 「お前の中に出した俺のものはキレイに俺が掻き出してある。だから、もう少し一緒に寝よう」 しかし、智也の顔色は真っ青で、背筋は、まる
Terakhir Diperbarui: 2026-01-15
Chapter: ベッド「うっ……ううんっ…!」ベッドに仰向けのまま、顔を真っ赤にした智也が快感と戸惑いの入り交じる泣きそうな声を出した。その声を聞き大成は、智也の下半身に顔を埋め満足そうに目を細め、智也の陰茎の先端を口内に入れたまま、そこを舌を使って全体を強弱を付けて舐め始めた。そんな事を他人に初めてされた智也は、更に仰け反り、しかし、声を抑えようと必死で唇を噛んだ。ペチャっ……ペチャっ……クチュ……クチュ……クチュ……だが、大成の温かくぬめる粘膜と舌は、ねっとりと絡みつき執拗に舐め回す。その淫靡な水音と、智也と大成の熱い息が部屋を満たす。 智也はふと、高校生の智也と大成が、誰もいない静かな夕方の教室でキスした時の事を思い出す。あの時、智也がひたすら恋し焦がれに焦がれた大成の唇が、今は智也の陰茎を舐めている事に頭がクラクラする。 「ああっ!……あっ……ああっ!……」智也が今まで知らなかった、他人から与えられる快感が全身に甘く強引に広がってゆく。智也は、ベッドで更にのけぞりながら、足の指先をピクピク震わせた。我慢出来なかった。智也の声に甘さが混じり始め、自然と声も大きくなる。 すると、智也の下半身から凄まじい快感がせり上がってきた。だが、それだけでなく、心の底から湧き上がる激しい熱と共に智也は絶頂の階段を駆け上った。「ああっ!大成ぇぇっっ!……」智也は、目の前が真っ白になり、本能のまま叫んだ。右手は、大成の髪の毛を掴んでいた。そして、つま先をキュッと丸め、腰を小刻みに痙攣させながら、智也は陰茎から熱を吐き出した。大成は、智也のそこから唇を離さず、智也のそれを口内で受け取った。 ごくっ……と言う音が響いた。―大成が、智也のそれを飲み込んだ―その衝撃的な現実が、達した余韻の波に漂う智也を我に返した。しかし、大成は、まだ執拗に先端部分やそこの孔までを舐めて、智也の吐き出したもの、残滓まで全てさらえようとしていた。「ダメ!……大成!……やっぱり、ダメだ!……」一度体内から吐いて冷静になった智也は、上半身だけ起き上り、智也の下半身から顔を上げた大成の肩を押して逃れようとした。しかし、大成は、その智也の手を強引に掴むと大成の唇に持っていき、何度も甲や手の平に口付し舌で舐めた。チロチロと蠢く大成の厚い男の舌を見る度に、さっき智也のあそこを
Terakhir Diperbarui: 2026-01-02
Chapter: 火花智也と大成がいるハイヤーの後部シートに緊張感が走る。 大成は、智也と唇同士を近づけたまま、前の運転席とを仕切る黒ガラスを下げるボタンの上に指をかけたまま、再び優しく智也に囁き甘く追い詰める。「どうする?……」その、滴るように甘く残酷な声に、智也の心臓は締めつけられ、下肢が震えた。そして同時に、智也の体の底から衝動が吹き上げた。抗えない、逃げられ無い衝動――智也の右手は、本能のまま大成のスーツの上半身をギュっと強く掴んだ。それが――智也の答えだった、ハイヤーの中で絡み合うように大成と甘い口付けを繰り返しながら、智也はフォルセスホテルに戻って来た。智也は、大成に肩を抱かれながら最上階の広い豪奢なスイートルームに入った。まだドアは閉まってないのに、廊下から誰に見られるかわからないのに、大成は正面から再び智也の唇に大成の唇を強く重ね奪った。「ふっ……んんんっ……」トロンとした視線の智也は、唇と唇の接合の合間から甘い呻き声を上げた。大成は、智也のそれさえも奪い取るように口付けを繰り返す。智也の頭がクラクラクラクラする。そして、熱い――熱過ぎる―― 焼けてるように、頭の中も体の中から全体が――しかし――パタン――ドアの閉まる大きな音で、智也は一瞬でハッと我に返った。シャンパンの酔いも、徐々にではあるが引いていたかも知れない。頭の片隅に少し思考が戻る。それを発端に、大成に流されて、いつもの自分の慎重さを失っていたと、智也の中に大成への警戒心が蘇る。次にこの状況に、自分のやってしまった事に、智也の背筋は氷のように冷え震えた。(やっぱ、ダメだ!帰らないと!)智也は、部屋を出ようとドアノブに右手をかけた。だが、それを大成の右手が上から押さえ、大成の強い左腕が智也を背後から抱き締め止めた。「帰るな……」背の高い大成が背を屈め、背後から智也の耳元に低く囁く。智也は、その艶のある低い声だけで一瞬腰から崩れ落ちそうになったが、背中を震わせながら必死に自分に繰り返す。「ダメだ……こんな事……ダメ……ダメだ……」智也は、拒否し大成から逃れようと足掻こうとしたが、大成の力に智也の胸を強くガッチリとホールドされ身動き出来ない。 そこに大成の唇が、背後から智也の耳朶に何度か口付け、やがてそれを甘噛みし始める。 胸から下の強引
Terakhir Diperbarui: 2025-12-23
Chapter: 告白リムジンの車内。車窓に映る、降り出した雨に濡れて淡く幻想的に輝く街の灯。後部シートの智也と大成と運転席とを隔てる黒のガラスにより作られた、まるで智也と大成二人だけのような静かな秘めやかな空間。ずっと智也の身体に触れつづける大成の肩から感じる熱。それら全てが智也を更に酔わせるようにすら感じる。智也は、そんな心と身体の昂ぶりを隠すように窓を見詰め続けた。 だがそこに、大成の静かな声がした。「鈴木さん。君は明日からAJの本社で働いてくれ」「えっ?!」智也は、自分の聞き間違いかと耳を疑いながら大成に視線を向けた。しかし、間違いでは無かった。「鈴木さんが仕事がやりやすいよう、その才能を充分発揮出来るよう、AJのホテル建設のプロジェクトチームをAJ本社に作った。君専用の部屋も用意したし、必要な数、いくらでもAJの人間を君に付けるし、明日から送り迎えの車も君に付けるから電車通勤の必要はない。君がさっき一緒に来た部長とゼイン側には、私の部下からすでにその旨は伝えて了承は得ている」あまりに突然で壮大な提案に、智也は思考が追いつかず混乱した。「あっ……その……」だが大成は智也を見詰めて、諭すように、まるで懇願するかのように言った。「鈴木さん。AJには、君の才能が必要だ。そして、智也……私には……君自身が必要だ」「?!」その言葉から身も心も焼くような熱を感じ、智也は言葉が出ないまま体を硬直させた。すると大成は智也と視線を交わらせながら、智也の様子を伺うように、座席のシートに置かれていた智也の右手を上からゆっくり大成の左手で覆い握り、囁いた。「俺は、君と離れ離れになったあの時からこの7年間、1日も君を忘れられなかった。そしてこの7年間、毎日君に対して後悔し続けた」大成の指に更に力が込められ、智也の手を強く握る。大成の懺悔はつづいた。「本当にすまなかった。頼む、もう一度、君とやり直すチャンスを私に与えてくれないか?」「智也……」大成の喉がかすかに震えた。「あの頃の俺は若すぎて、本当に愚かだった……自分がどれほどお前を好きだったのかさえ、分かっていなかったんだ」 智也のまつ毛がわずかに揺れる。 「俺、あの頃は強がってばかりで……お前が近づくたびに心臓が壊れそうなくらい跳ねてたのに、平気なふりをして、わざと傷つくようなことばかり言って……
Terakhir Diperbarui: 2025-12-22
Chapter: シャンパン――その言葉は、まるで銃弾のように、智也の胸を撃ち抜いた。胸がぎゅっと締め付けられ、呼吸さえ忘れそうになる。(……今の僕を、知りたい、って……?)智也は呆然と大成を見つめる。大成の声は低く、柔らかく、それでいて危ういほど親密で――告白のようでもあり、長い年月の奥底に秘められた執着のようでもある。「お酒、嫌いじゃないの?」智也は一瞬固まる。普段なら、一滴も口にしないはずの酒だ。なのに、すぐに言葉が出ない。「い、一杯だけなら……」「それなら、食前酒にシャンパンはどう?」智也は小さく頷き、さらに小声で答える。「でも……シャンパンはあまり詳しくないので、社長が選んでいただけますか」大成は微笑み、目で合図してサービススタッフを手配する。智也はほっと胸を撫で下ろすが、心のざわめきは収まらない。さらに、大成の落ち着きと優雅さは、智也の心を乱す。目をそらしたくても、声や視線、表情に捕らえられて、逃れられない。やがて、シャンパンが運ばれ、二人は乾杯する。「鈴木さんのAJプロジェクト就任の乾杯だ」智也は杯を上げ、心臓が高鳴る。大成の視線と交わるたび、喉の奥に微かな熱を感じる。前菜が運ばれてくる頃には、智也の心はますます乱れていた。警戒心はまだあるが、身体は反応を始めている。目は自然と大成の手や肩、横顔を追い、動作のひとつひとつが神経を刺激する。大成の声は低く柔らかく、視線は鋭く 、抗えない圧力を帯びている。智也の胸は熱くなり、血がざわめく。普段なら一杯で酔わないのに、シャンパンが喉を通るとき、酒のせいか大成のせいか分からぬまま、身体が熱を帯びていく。意識がそこに気づく頃には、智也はすでに大成の存在に絡め取られ、徐々に心底から揺さぶられていた。会話は自然に大学時代やAJの話題へと流れ、七年の空白などなかったかのように交わされる。シャンパンと前菜で、智也の頭は軽くほてり、胸の奥も熱を帯びる。普段酒を飲まない智也は、ほんのり酔い、世界が少し揺れるように感じる。二人きりの懇親会が終わり席を立ち、大成は微笑みながら、そっと智也の腕に手を添える。「じゃあ、僕が送っていこうか」酒が回った智也は、声もろれつが怪しくなる。「い……いや、自分で帰れるから……」抗おうとしても、身体はふわりと重く、言葉は鈍くなる。大成に半ば誘導される
Terakhir Diperbarui: 2025-12-21
Chapter: 懇親会広い車内。智也は、人一人分以上大成とかなり距離を取って座っている。後部座席は、運転手のいる運転席とは分厚い黒色のガラスで隔てられていて、シーンとした重い雰囲気が漂い緊張感が張り詰めている。智也は窓の外を見つめ、手で座席の縁をぎゅっと握り、服の端をそっといじり、唇を軽く噛む。――何度も心の中で自分に言い聞かせる。「落ち着け、感情を制御しろ」と。 しかし、無意識に横を見ると、二人の間に保たれていた距離が知らぬ間に縮まっていた。智也は動かなかった。大成の身体が彼に近づいてきたのだ。「緊張してるか?」「い、いや……大丈夫です」 大成は柔らかく低く笑い、抗えない声で続ける。「リラックスしろ。懇親会はそんなに大規模じゃない」「……はい」 智也は、大成の目を見て頷いたが、この緊張が、懇親会へのものだけでないのはもはや明確だった。 ごく普通を装っていた智也だったが、その大成の声が甘くて、そして、今にも智也と大成の肩が触れそうで、肩の力を抜く所か内心増々狼狽していた。静かな車内で、智也の激しく打つ鼓動が大成に聞こえてしまうんではないかとも思ってしまう。 5分ほどで車は市内中心の30階建て高級ホテルの前に停まった。豪華な空気は智也の日常とはまるで異なり、思わず息を呑む。 降りようとしたその時、黒い整ったホテルの制服を着たボーイが横で待っていた。降車し、智也は大成の後ろに続こうとした。――その瞬間、大成が突然振り向き、そっと彼を抱き寄せた。不意を突かれた智也の心臓は跳ね上がり、手足が一瞬止まる。慌てて後ろに下がろうとするが、大成の腕に引き寄せられ、慌てて横に回り、礼儀正しく彼の手をそっと外した。 大成は一瞬戸惑い、手の中に残る余韻をまだ感じているかのように眉をわずかに上げ、低く落ち着いた呼吸が微かに荒くなる。だが次の瞬間、いつもの社長の口調に戻り、低く指示する。「鈴木さん。私の後ろでは無く、私の横を歩いてくれ」 智也は頷きながら、大成の横に慎重に歩み寄る。心臓はまだ騒ぎ、肩越しに漂う熱に意識が揺れる。エレベーターで25階のフレンチレストランへ到着し、赤いカーペットの廊下には「本日貸切」の表示。 (さすがAJは凄いな。こんなホテルの店を貸切るなんて……) 智也は感嘆すると、大成と並び店内に共に入った。 「不破様。今回は当店を
Terakhir Diperbarui: 2025-12-20