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Novels by みゃー

いなくなった愛犬を探していたら異世界で獣人王になっていて、俺は愛妃になれと攫われた!(交際0日で獣人王と婚約しました))

いなくなった愛犬を探していたら異世界で獣人王になっていて、俺は愛妃になれと攫われた!(交際0日で獣人王と婚約しました))

「ただ、一緒にいたいだけなのに……やっぱり異世界同士、人間と獣人は結ばれないのかな?…」 理久は、以前から犬をどうしても飼いたくて、保護施設から訳アリの、でも、キレイな長い黒毛の大型犬を引き取った。 そして、理久と、理久から「クロ」と名付けられたその犬は、一人と一匹、毎日毎日仲睦まじく暮らしていた。 しかし、ある日、そのクロが突然失踪し、理久は悲しみとパニックの中で探し回る。 そして、そのクロ捜索中の悲しみに暮れる理久の目の前に突然、キレイな長い黒髪の長身のイケメンが現れた!
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Chapter: 断腸の想い
「私に協力すると言ったのに、裏切ったな……」 低い声がした。 すぐに、ベッドで上半身だけ起き上がる翼と、少し離れてその前に立ち向かい合っているクロの間に、その声の主が現れた。 黄金色に光る丸い魔物。 フワフワと空に浮かびその発色は鈍いが、それでも威圧感を周りに放ち、今どれだけの力を持っているかは予測不可能で、そこが返って油断できない恐ろしい存在になっていた。 そして、魔物には今は目と口があり、視線だけは鋭く、クロの方を向いていた。 クロも、その魔物を激しく睨む。 「裏切るかよ。俺は最初から理久以外はどうでもいいんだよ」 翼は、魔物の丸い背中を見ながらにっと口角だけ上げて笑った。 その瞬間。 鞠程の大きさの魔物を、クロが躊躇なくその両手で捕獲した。 「ん……ググググ……」 魔物は、うめきながら抵抗する。 光はかすかなのに、そのエネルギーが、クロの手の中で膨張するような感覚があった。やはり、 まだ力がかなり残っているようだった。 元々獣人は身体能力は高い。 しかし、そんな獣人達でも、普通はこの状況なら恐れから手を離すだろう。 でもクロは、恐れずひるまず、眉一つ動かさず冷静な表情で、そのまま逃さず掴み、その強力なクロの握力を左右から与え続けた。 だが、暑苦しくないしなやかで強靭なクロの筋肉が躍動しているのが服の上からでもよくわかる。 翼は、自分も格闘技をしているが、クロの迫力を見て生唾を一度飲みこんだ。 そして、それでもじっと、観察するようにクロを見た。 理久を、本当に任せられる男なのかどうかを見定めるように。 すると、すぐに魔物は意識を無くしたようにグッタリし、光を放たなくなり、ただの白い丸いブニョブニョした球体になった。 「死んだか?」 翼は、あっけらかんとしていた。 「いや。気絶させただけだ。こいつには聞きたい事がある。強力な結界が張ってあり魔物が出入りできないはずのこの城に誰がこいつを入れたか。何の目的があって入れたか聞かないとならない」 魔物を見るクロの目つきが鋭く光る。 「なるほどね……」 翼は、軽口で呟いた。 だが本当は、さっきクロが魔物を掴んで潰すように攻撃しながら、冷静にそこまで考えていた事に寒気がした。 でも、本来"王"とは、これ位でないと務まらないのだろうとーー 多分、この後この魔物は、
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-09-01
Chapter: 対峙
理久は、クロの部屋で待つ事にして、クロは、翼のいる客室に一人戻った。警備していた騎士達は客室から出され、本当にクロと翼の二人きり。サシで話し合いが始まった。その場の空気は張り詰め、重い。「お前が本当にあのクロなのかまだ実感が無い。1回犬の姿になれよ!」翼は、天蓋付きのフカフカの広いベッドの上で上半身だけ起きあがり腕を組み、すぐ目の前に立つクロに深刻な声で言った。クロは、仕方無いかという表情をすると、途端に体全体が煙幕に包まれ、瞬時に獣人から犬型になった。「はあ……」自分から言っておいて、目の前に現れた見覚えのある大型の黒い犬に、翼から心底深い溜め息が漏れた。心では、まだどこか嘘か悪夢であって欲しいと現実逃避したくなるが、今はそれを押しとどめて話しを続ける。「で、なんでこの世界のお偉い"獣人王様"が俺と理久の世界にいたんだよ?」「お前がこの世界にこれたのは、この世界と理久の世界を繋ぐ魔法の紋章があったからだ。以前俺はたまたま城の中でそれを見つけて、何の魔法陣かもしらないままそこに立って、横に書いていた呪文を唱えてしまって理久の世界に転移した。そこで偶然車にひかれて、この時も意図せず偶然衝撃で犬に変身してしまい記憶を無くして理久に引き取られた。記憶が戻ったのはつい最近だ」犬なのにクロが喋った事に、わかっていた事であるはずなのに、翼は又大きな息を吐いた。「それならお前が本当にクロだったら、理久と一緒に何ヶ月か暮らしてわかるだろ?理久の両親がどれだけ理久をかわいがってるか。理久もどれだけ両親と仲がいいか」「俺は、王家のしきたりで親とは同じ城で暮らしたが家臣に育てられ、理久の家庭を見て初めて普通の親子って言うのが何なのかようやく理解できたからそれはよくわかってる」そう言うと犬のクロの体の周りが又白く煙り、やはり瞬間で獣人のクロに戻った。「お前が理久の両親に会って異世界の王様ですからって、理久と異世界で暮らしますって、理久は贅沢三昧できますからって言ったって許してもらえるかよ。そん時はどう持っていくんだよ、話を」翼はクロを睨む。クロはそれに動じず、迷い無く即答した。「その時は……その時は、俺はこの国の王を退位して、俺が理久の世界に移住する」「……」翼にはその言葉が意外、予想外過ぎて、一瞬思わず黙りこんだままクロを見詰めた。聞き違いか
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-08-05
Chapter: 婚約式
「クロっ!」理久は、クロが翼の挑発に乗ったんではないか?と心臓を跳ねさせた。まさか……と思い、クロの顔を見詰めた。でもクロは一見、逞しい腕を組んだまま落ち着いている。「理久。今から翼と一対一で話しをする」それでも理久は、まだ挑発に乗った線を捨てきれなかった。2人きりにさせて、クロと翼に何か決定的な争いに発展すれば取り返しがつかない事になるかも知れない。理久の表情に不安が濃くなる。「理久!」その呼びかけに理久は、今度はその声の主の翼に視線を向けた。「理久。俺は、クロと話しがしたいんだよ」翼の真剣な表情と声。でも、それが逆に、翼が何をクロに言うか予想が出来ない、増々理久を不安にさせる。「翼、ちょっと待っててくれ。理久とこの件でちょっと部屋の外で話してくる」クロは、そう言うと理久の瞳を見詰めた。本当は理久の肩を抱いて外に連れ出したかったが、翼を刺激すると余計にややこしくなる。だが、理久が従兄弟を大切に思ってなければ、クロもここまで翼に気も遣ってはいない。こんなに気を回すのは、理久が大切だからだ。「行こう、理久」言葉と視線でも、クロが理久に促した。理久が戸惑いながらも頷いた。でもここはクロを何とか説得して、翼とのサシの話し合いは止めようと思った。翼の表情や口ぶりから、やはりなかなか理久とクロの仲を認めてくれないと感じたし、もう時間をかけて、理久自身が地道に翼を納得させるしかないとも覚悟した。理久は、翼を始め、今まで理久と長く共にあった人達と世界を違えこれから生きてゆく。だから、だからーーせめて、その人達と心まで違え別れたくない。理久とクロがドアに向かい歩きだした。そこに間髪入れず、翼がクロの背中にぶつけた。「おい!王様!逃げんなよ!ちゃんと、ここに戻ってこいよ!」「翼……」理久は、更にわざと煽っているように見える翼に困惑の表情を向け、溜め息が出そうになったのを飲みこんだ。翼の精神状況が良くないと思ってるから、あまり何か強く言えないし。次に、クロがイライラしていないか表情を慌てて確認する。だがクロは、至って冷静だった。さっきまで、あんなにピリピリしていたのが嘘みたいに。でも、クロにどうして心境の変化があったのか?今はそんなに落ち着いてるのか?そこまでは理久にはわからない。「すぐに戻る」クロは、翼に
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-07-19
Chapter: 明言
翼は、天蓋ベッドの頭のベッドボードにフカフカの枕を押し当て背もたれにして座りながらで体を固めた。 理久から返ってきた言葉は、翼にとって想像していた待ち望んでいたものとは本当に違った。 「翼と、幼稚園時代に戻りたい……」 今の、クロとギクシャクした理久なら必ずそう言うと思っていたのに。 理久はチョロいから絶対楽勝だと思ったのに。 その横の椅子の理久は、チラリと一瞬、近くで直立不動で立つ、クロが置いて行った猫獣人騎士マッソを見た。 やはりこれ以上彼の前で翼と私的な事を話すのはやはりやめておこうとも思ったが。 理久と翼は、この世界では異世界から来たという事は秘密で、それを知る獣人も限られている。 翼にもその事は、彼が目覚めた時に伝えていた。 だが、マッソは、クロの信任もあつく理久の身辺警護の責任者に任命された男で、理久と翼が異世界人だという事情も知っているので安全だったし―― 何より、今翼に言わないとならない気がした。 「翼。安心して。必ず帰れるから。翼は帰って、必ず将来立派な社長になれる!」 確かに、翼が精神不安の演技をし理久の気を引いていた。 でも―― (えっ?!まさか、理久が"俺"を励まそうとしてんの?!) そんな疑問が浮かんだと同時に、さっきは失敗したが、もう次にどう理久の気持ちをクロからこっちに取るか再び考え始める。 まだ諦めない。 だって、元の世界に帰って"社長"になっても、理久がいなければ意味が無い。 だが、そんな翼を、再び理久の意外な言動がかき乱す。 「俺、昔から……翼の事、いつも凄いなって思ってた……昔からずっと、今も、俺の自慢できる従兄弟だよ」 そこに今、理久と翼のいる部屋のドアの前に丁度クロが戻ってきていた。 翼のいるベッドから扉まで少し距離はあるが、犬獣人のクロは、他の獣人よりとにかく聴力が良い。 ドアがあろうが閉まってようが何だろが関係無い。 理久の本心が鮮明に聞こえた。 だからドアノブにも手をかけていたが今は開けられなかった 赤絨毯の廊下に立ちながら、そのまま聞き続けた。 理久は、クロが促す前に言わなくても、ちゃんと自分から従兄弟としての関係を翼の前でハッキリさせてくれた。 翼は、まだ身動き一つせずただ理久を見詰めていたから、理久はさらに
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-30
Chapter: 思い出話
まるで姫君が眠るような純白の天蓋付きのベッドの布団の中に入り上半身起きていた翼。 その少し離れた前方で、彼に対して横を向いて立っている存在に視線をやった。 それは、クロが今この部屋にいる理久と翼が二人きりになるのを阻止して置いていった猫系獣人騎士。 さっきクロが変装した警備兵より地位が高く、体の上下にだけは金属製の鎧を纏っていたが、頭には兜は今は無い。 「そこの獣人の人、ちょっと理久と二人だけで話したいから、部屋出てくれる?」 訳のわからない異世界に来てメンタルをやられて理久に甘えている演技をしているはずの翼が、いつもの彼らしい尊大な物言いをした。 言われた猫系の獣人は、頭の獣耳両方をピクピク一度させたが、表情を変える事なく淡々と返した。 腰には、立派な剣を携帯している。 「それは出来ません。私は陛下より、理久様と翼様に何事もないように……と仰せつかっております故……」 「俺と、理久に何事もないように?……俺が理久に何かすると思ってんの?あんたの、"犬"の王様は?」 翼の言葉の端々に棘を感じる。 猫系獣人は、黙ってジロリと翼を見詰めた。 翼は、今は演技を一旦やめ、その視線を受けても平然としていた。 そして、今自分がいる羽毛のフカフカの布団のベッドの周り、 ところどころの細工にふんだんに本物の純金を使っているだろう、ソファやテーブルや壁。 花々の精巧な彫刻をされた大理石で作られた大きな暖炉。 だだ広い部屋の床一面に敷き詰められる上質で豪華な織物絨毯を見て、クロを心の中でなじる。 (何が!……異世界の獣人王だよ。金は持ってんだろうが……ペットの分際で飼い主に手出しやがったただのクソ犬だろうが……) ベッドの横の椅子に座る理久の方は、翼の心が、異世界に来た事からの弱気からイライラに変わり安定してないと判断した。 だからこれ以上、ゴタゴタしたくなかった。 「翼……別に、今でもこうやって普通に話しできるから……」 小さく息を吐くと、慌てて、しかし、やんわり咎めた。 翼は、気弱になる芝居をもう本当にやめて無理矢理にでも獣人を追い出したい気分だった。 でも今は、理久の気持ちを一刻も早く自分側に引き込む方が、クロから引き離すのが先決だった。 「仕方ないなぁ……」 翼は、わざと大きめの
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-17
Chapter: 意地
すぐに、昨晩も翼を診察した頭に熊耳の獣人の医師が来て、天蓋付きベッドに横になる翼の腕を診た。 それを、翼から少し離れた所に立って黙って見詰める理久と獣人クロ。 理久とクロ二人は横に並びながら、距離は人一人ぶん空け、互いにまだ緊張感のある空気が流れる。 クロは、さっき、嫉妬から理久を咎めた事を謝りたいのに―― とにかく今すぐ謝りたいのに―― クロが、ここまでするのは、理久だけなのに― 翼や、医師や、侍従や、アビやレメロンもいるこの状況では出来なくて、チラチラと横にいる理久を何度も見る。 理久も、何かクロに言いたげで、チラチラとクロを何度も見る。 理久とクロは、お互いに、お互いを凄く意識していた。 そんな理久とクロを、翼は診察を受けながらベッドの上で不満そうに見詰める。 そしてさっきの計画通り、わざと辛らそうな演技をして、理久への態度をいつもと変える。 「理久!こっちに来てくれ!不安なんだ!」 理久は、いつもしっかり者の翼の豹変に驚きながらも、それだけ翼が精神的に追いつめられていると、理久にもその責任があると、やはり、翼は理久の従兄弟だと、クロをチラっと気にかけた後、翼のいるベッドの横の椅子に座り、 診察を受ける翼を見守る。 「腕の骨は、多分大丈夫だと思いますが、念の為、魔法治癒師なら骨の状況を透視出来るので、お呼びになるのがよろしいかと……」 医師がそう告げると、翼の不安そうにする演技に拍車がかかる。 「理久!早く帰りたい!俺の世界に! 理久!一緒に早く帰りたい!」 翼は、上半身起きて、理久に抱きついた。 理久は、又チラリとクロを横目で見た。 クロは、グッと堪えてるような表情で、 理久と翼を凝視していた。 でも、翼の表情も不安そうで、理久は翼を抱き締めて安心させようと背中を擦って励ました。 「ごめん、翼……もう少し、もう少し待って。必ず帰れるから。必ず帰して上げるから」 本当なら、クロが婚約者の理久の代わりに翼にそう言って安心させるべきだと、クロは思った。 嫉妬で理久に対しても子供みたいに意地になっている場合では無いと。 しかし―― どうしても、理久の翼への近しい態度から、理久の翼への気持ちが釈然としない。 翼の気持ちに気づかない理久は何も悪くないのに、理久
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-05-31
私を裏切った億万社長、今はもう一度愛して欲しいと求めてくる

私を裏切った億万社長、今はもう一度愛して欲しいと求めてくる

「もう一度、あなたを愛していいですか?」 ズタズタにされた初恋からの再会愛… 子供の頃から不遇に耐えてきた鈴木智也は、就職してからやっと空間デザイナーとしての道を歩き始め、今はやっとの事、順調な生活を手に入れ安定した生活を送っていた。 しかし―― 過去、最も智也を苦しめ深い地獄に落とした男が、今になって再び智也の前に現れた。
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Chapter: エレベーター
迎えのハイヤーの中で聞いた通り、午前中は会議だった。 AJ側のホテル事業の総統括者と、ホテルプロジェクトの七人とのもので、週に必ず1回行われるらしい。 だが、ここに忙しい大成は1ヶ月に1回しか出席しないようで今日は出ない。 智也は、一度大成から与えられた自室に入り、会議の用意を始める。 やがてタブレットや他の資料のファイルを取り脇に抱え一人会議室に向かう。 もう緊張感はマックスだった。 しかし、社会人としての責任から自分を鼓舞し気合いを入れ直す。 この、厳しい環境のAJで、智也はこれから一人で戦わないとならない。 そう、望んだのは自分だ。 エレベーターで会議室まで行くため、その前で少し待つ。 やがてすぐに扉が開いたがーー すると、そこに大成と、その後ろに若い男女のAJ社員が三人で乗っていた。 「あっ……」 智也は、会社では冷静でいないとと思うのに、大成と目が合ってしまい、思わずギョッとして目を大きく見開いてしまいそうになったがそれを堪えた。 「おはようございます」 そして、何も感じてないかのような顔で、他のAJの社員と同じように普通に大成に対して社長として頭を下げた。 「ああ……おはよう」 大成もすぐに智也から目を離し前を向き、智也に対して普通の社員を扱うような態度をとる。 智也は乗り込んだが、その瞬間、微かに大成の纏う蠱惑的な香りがして脳を電気が走ったように刺激された。 大成の、匂い立つような男の色気から漂うその香りは、僅かとしても他人からしたらもはや劇薬ではないかと思う。 自分でもどうしようもなく、脈動が早くなるのを感じる。 だが、何事もない素振りで男女にも朝の挨拶をして、一番後ろに立つ。 二人の社員も、この大会社の社長であり、妖艶な大人の男の容貌を持ち、若くして厳粛な威圧感を放つ大成と同じ空間にいるのが緊張するのだろう。 シーン……と静まり返った狭い空間に、汗が滲んできそうな強い緊張感が漂う。 やがて、会議室のある階に止まり扉が開いた。 大成は降りない雰囲気だったので、社員二人が大成に頭を下げ先に出た。 智也も後を続こうと動いた。 すると、大成とすれ違いざま頭を下げたその時ーー 大成の香りが一瞬強くなって、智也の胸がギュっと締め付けられた。 そして、その瞬間ーー 大成が、そっと大成のスーツの内ポケ
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-09-15
Chapter: ロビー
「智……也……」 大成の甘い低い声が聞こえて、智也は瞼を上げる。 すると、智也はベッドに横たわっている。 仰向けのそのまま周りに視線を巡らすと、見覚えのある風景 大成のあの実家の大豪邸の、高校時代智也が一時期住まわせてもらっていた部屋。 (良かった……俺、まだ高校生なんだ。それに夢だったんだ。大成に裏切られた事も、6年後、大成と再会した事も……) そう思い、ホッとするとーー 「智也、おはよう。朝だぞ。もうそろそろ起きないと遅刻するぞ」 ベッドの横に立っていた大成が上から覗きこんできて、他人にクールな彼が智也にだけに向けてくれる微笑みが見えた。 (大丈夫。いつもの大成。いつもの優しい俺の大成) そしてーー 上から、ゆっくりと大成の顔が降りて来た。 智也は、それを当然のようにして、二人の唇が重なる。 ホッとして、泣きたくなった。 事実、智也の両目から涙が流れていた。 そしてーー (大成……大好きだよ……) 心の中で、そいそう呟いた。 (本当に、ずっと……ずっと……このままで、永遠にこのままで大成といたい……それが、俺の本心) だがーー さっき目覚めたはずの智也は、再び、今度こそ"本当"に目覚めた。 さっきと同じように、仰向けのそのまま周りに視線を巡らすと、見覚えのある風景。 智也が社会人になってから2年ずっと住んでいる東京の一人暮らしのマンション。 いつものベッドの上。(やっぱ今……俺、サラリーマンなんだ。それに、やっぱ現実だったんだ。大成に裏切られた事も、一昨日大成と再会した事も……) 何故こんな夢を見たのか、自分でも理解に苦しみ唇を噛んだ。 何故、まるで、まだ智也の中に大成への未練があるかのような。 あんな優しい夢だったのに、今の智也には地獄のような悪夢でしかない。 心臓が、苦しい位にバクバクとする。 (もう、俺にとって大成は取り引き会社の社長でしかない……今日から本格的に仕事に入る。しっかりしないと……) でも、泣いていたのは、夢じゃなかった。 今も、それは絶え間なく智也の頬を伝う。 (俺って……まだ泣けたんだ……) 大成と別れてこの6年間、何か辛い事があっても泣かなかったから、もう大成の裏切りで涙は枯れ果てたんだと思っていた。
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-09-08
Chapter: 既視感
智也は、男なのに"キレイ"と言われた事に戸惑うが、視線を下に落とし出来るだけ冷静を保つ。 「そんな事は……」 久野(くの)は、ニッコリ笑うと、人をたらしこむような言葉がペラペラと軽薄に思えるくらいに出てくる。 「ご謙遜を。以前からずっと、鈴木さんとお話ししてみたかったんですよ……是非これから沢山お話ししたいと思ってます」 久野の笑みや声から、なんとなく嫌な感じしか智也にはしない。 それでも、表情には出さない。 「どうですか?AJ2日目は?」 やたら智也の動向に詳しい久野が微笑みを深めた。 「はあ……やはりAJさんは規模が大きくて戸惑ってます」 智也は、仕方なく社交辞令的に微笑みを作った。 「でも、鈴木さんはそんな表情を見せないから、私よりも若いのに本当にしっかりしている。それに、鈴木さんは大丈夫でしょう。不破社長の高校時代の同級生だったそうですし……」 「……」 久野の穏やかな様子から、それがイヤミなのか? それとも他に何か違う意味合いがあるのか? ただ普通に聞いてるだけなのか? それが判断できず、智也は閉口した。 「不破社長とは、高校時代仲がよろしかったんですか?」 しまった……と、智也は思った。 大成と再会したのは3日前で、しかもバタバタしていて、そう聞かれた時の事を考えてなかった。 こう言う風に色々な人から聞かれ詮索されるのは充分想定できたはずなのに。 「あの……それは……」 どう返答するべきか悩む。 仲が良かったと言えば、まるで贔屓してコネで登用された感じになるし―― ここでは悪かったとも言えるはずない。 例え、大成が智也を裏切った事が事実としても。 窮していると、智也と久野が向かい合う少し向こう、久野の後ろの廊下の角から突然声だけがした。 低く冷静な。 「それは、私が答えましょう……」 久野が振り返り、智也は、その声にハッとして真っすぐ前に視線を上げた。 すると、すぐにそこから大成が出てきた。 そして、貴族的な高貴さを漂わすスーツのズボンのポケットに右手を突っ込んだ姿で二人の前に立った。 こんな風景を以前見たような、そんな感覚に智也は又襲われた。 既視感。 それを感じたのは今の状況が、6年前、大成に高校の廊下で助けてもら
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-09-02
Chapter: 昼食会
翌日の朝。10時。智也の自宅。昨日智也をハイヤーで迎えに来ていた大成の側近の中年男性、木根が、智也を昼食会に連れて行く為に迎えに来た。11時からの昼食会の場所は、一昨日の晩に、智也と大成がベッドを共にしたフォルセスホテルだった事が智也には重かった。まさかーーこんな昼間から、また二人きりの昼食ではないだろうか?と疑心暗鬼にもなった。でも、昨日の大成は、確かに"AJ関係者に智也達プロジェクトメンバーを紹介する"と言っていた。そして、後部座席の智也が横の木根に詳しく聞くと、今回は本当にホテルプロジェクトに関わるAJの関係者100人以上を呼んでのようだった。でも、一昨日の事もあり、まだ本当にAJの昼食会か訝しんでいたら、目的地の車止めにすぐに到着する。ドアが自動で開き、巨大なホテルを見上げる智也に、一昨日の晩の大成とのベッドの記憶が溢れるように蘇る。そして、それを消そう、消そうとする度に更に思い出す。体も、今にも火がつきそうになり、焦り、仕事にだけ意識を向けようと必死になった。そうしながらハイヤーから降りようとすると、木根がその前に告げた。「鈴木さん。今からの昼食会はAJの関係者ばかりなのでどうかお気を楽にご参加して下さいとの……不破社長からのご伝言です。それと、この昼食会は2時までですが、食事を取られてそこそこ周りに挨拶なさったら、すぐにお好きな時間にご自宅に帰られご休息なさるようにとも社長はおっしゃられてました」(気を楽に……と言われても……それに……俺は早く仕事がしたいのに……)木根の顔を見ながら、智也はそう思うと心の中で大きな溜め息をついた。智也の契約がAJ側とゼイン側で合意するのが諸事情で遅れた為に、智也はプロジェクトメンバー合流がズレ仕事も遅れている。すでにこの事が、智也のきっちりした性格上、その肩に重くのしかかっていた。智也の緊張は和らぐ所か深まり、大成の気遣いにも何か心がざわつく。昼食会の会場は、智也と大成が二人きりの懇親会をしたフレンチレストランでは無く、ホテルの見晴らしの良い上層部の大会場だった。智也が入ると、ホテルプロジェクトの責任者の面々だけでなく、AJの幹部や社員だと思われる老若男女多くがすでに集まっていた。大成は、昼食会はまるで小規模のように言っていたがーー調理器具を大規模に会場に持ち込み、職人達が
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-08-25
Chapter: 仕事部屋
大成は、智也を37階のある部屋へ連れて行き、そこでやはり智也と二人きりになった。 大きな部屋の大きな窓からは、38階の大成の社長室から見えるのとほぼ同じ東京の景色が一望できた。 その近くには、いかにも高級そうな机。 そして、その上に2台の最新のPCと1台のタブレットが置かれ、周りにはプリンターや大きなプロジェクターがあり、今流行りの人間工学を駆使した疲れにくいと言う高価格のワークチェアがセットされていた。 中央には、大人数でも会議できそうなソファ3台と大きいテーブル1台も置かれている。 そして、部屋の隅には、紙コップ式の自販機まで置いてある。 好きなボタンを押せば、紅茶、お茶も豆を一から挽いて入れるコーヒーも、ホットとアイスが飲み放題。お金は必要ない。 その他にも炭酸飲料やエナジー系まである。 「鈴木君。ここが今日から君だけの部屋だ。好きに使ってくれ。それから……」 大成はそう言うと、不意に智也の腕を取り、近くにあったのドアを開けて中に連れ入った。 中には、短い廊下を挟み左右に更に別の部屋のドアが幾つかあった。 それを、大成が指さす。 「ここがトイレで、あっちがシャワー室で……その向かいが台所。台所には冷蔵庫もある」 大成は、智也の腕を再び引っ張って、台所横の四つ目のドアの前に来ると開けて言った。 「ここが……仮眠室…」 電気をつけなかったから薄暗い部屋に、仕事の合間の仮眠に使うにはやけに大きなダブルベッドがあった。 智也の脳裏に、急に数時間前の大成との激しい性交がよみがえる。 智也の心臓が跳ね、大成の触れる智也の腕の辺りが熱くなり智也は焦る。 でもそれを隠してふと大成に視線をやると、大成も智也を見詰めていた。 智也は、性交の匂いのする恋愛じみた雰囲気になる事を恐れ、咄嗟に視線を外し淡々と言った。 「はい。わかりました」 そして、大成一人をその場に残し、サッサと机やソファのある大きな部屋に戻る。 だが、大成と離れる瞬間、大成のいつもの蠱惑的な香りがして胸がズキとした。 すると、大成も戻って来て、さっきの変な雰囲気は何も無かったかのように話を続けた。 「今日から出勤と帰宅は、こちらが用意するハイヤーを使ってくれ。それと、昼食と、どうしても仕事が終わらなくて仕事部屋で
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-08-18
Chapter: 面会
智也は、元々人付き合いは上手くないし苦手だ。自覚もしてる。しかし、空間デザイナーは対人折衝も仕事の内で、智也もこの1年、社会人として人間関係には努力してきた。だが――今から会うのは、外装デザイナーの西畠(にしはた)建築界の天才で雲上人で、マスコミにもよく取り上げられる。それだけでも緊張感があるのに、智也の母より年上で、智也の更に肩に力が入り口の中が乾く。さっきのファイルの写真や過去にテレビのニュースで見た西畠は、流石女性でここまでの地位を築いただけあり、誰から見ても負けん気の強い顔立ちをしていて、智也もそれを感じてもいた。だが――「西畠先生初めまして。鈴木智也です」智也が西畠に深々頭を下げると。「あら~!鈴木君って、写真で見た顔より実際は更に若いわね。まだ高校生って言っても学生証無しで学割り受けられるわよ。でも、写真も実物も本当に凄いイケメンねぇ~アイドルか俳優さんって言っても全然不思議じゃないわね!」意外な事に智也と初めて対面した西畠は、開口一番そう言い、口調は朗らかで、でも快活で、良い意味で知り合いのおばさんのような親しみやすさがあった。「とんでもありません」智也は、再び絶妙な角度で頭を下げると、品位ある清廉な声で返した。そこからは、智也が内心今感じて必死で隠している緊張感は一見したら読み取れず、他人には、智也は顔は学生のように若いが話すと落ち着いたしっかりした社会人と言う印象を与えた。だが、智也の額の髪の生え際には、薄っすらとだが緊張の汗が滲んでいた。それくらい、西畠は智也にとって偉大な人物だった。すると、そんな智也と西畠の会話する姿を近くでしっかりと見ていた大成が、まるで智也の額のそれを感知したかのようにそっと智也の背中に手を当てた。そして西畠に、まるで自分の大切な人を紹介するような、穏やかでありながらしっかりした口調で言った。「西畠先生。私からお願いします。今日から鈴木さんを本当に、どうかよろしくお願いします」そんな、智也を推す大成の声にも、智也の背中の大成の手にも智也は驚く。そして、その大きな大成の手を智也の背中に感じると、智也の緊張感で硬直していた体から、意識せず自然と悪い方の力みだけがストンと抜けた。どうしてそうなるのか自分でもわらかず、そんな自分に智也は戸惑う。「鈴木君。実はあなたのデザインが素晴ら
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-08-06
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