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幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!
幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!
ผู้แต่ง: 武 頼庵(藤谷 K介)

第1話 霊感体質ですがなにか?

ผู้เขียน: 武 頼庵(藤谷 K介)
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-05-10 01:24:04

 霊感があるって人前で自慢げに話す人がいますけど、あれってホントなのかな?

 普通に生活するには、視えても得はないのに……いや得どころか良いことなど一つもないのに。

 それに視えている人間は人前では本当のことを言わないと思う。

 それはなぜか。

 それまで友好的に築いてきた繋がりが終わりを告げ、告白した後に変な関係になりたくないし、気まずい空気にはしたくないから。

 それが、それまでの生活や友達関係を特に守りたいと思っている人なら、なおさらその想いは強くなるだろう。

 俺には……そんな事たぶんできないと思う。

 それが良い事なのかどうなのか結構な頻度《ひんど》で考えるけど、結局の所、その自問に対する答えは今まで出なかった。

 これから先も、出ないかもしれないと俺は思っている。もしかしたら出なくてもいいのかもしれない。

 だから俺は人との繋がりをなるべくは絶ってきた。話しかけられたりすれば返す事はするし、何かを誰かと一緒にやらなくてはいけない事などは断ることは無いけど、それ以上は踏み込まない。踏み込ませないという体を取り続けている。

 下手に仲良くなって詮索されたくないし、俺はあまり他人《ひと》に興味がわかない。

 その成果はもちろん学校生活に影響を及ぼし、友達と言えるようなクラスメイトはできたことが無い。いつも顔見知り以上知り合い未満。

 そのまま大人になっていく。それでいいと思っている。

 いつか、この考えの変わる日が来るのかは分からないけど、俺は俺のままでいられればいい。

 たとえ、人でないモノが視《み》えるこの世界の中でも、俺は俺のままがいい。

 このまま一人でも構わないと思っていたんだ。

 あの時、あの場所までは――。

『こんにちはシンジ君』

 色白で卵型の可愛い顔をした女の子が話し掛けてくる。年齢的には高校二年生の俺と変わらないくらいだ。彼女は俺を目の前にして、腰を下ろした。

 現在、学校の授業の真っ最中である。

『今日は晴れて気持ちいいよね』

 彼女は普通に話し掛けているが、状況は普通じゃない。俺は窓際の席にいて、その窓のほうに顔を向けている。つまり、彼女が俺の正面にいるということは、窓の外から話し掛けてきている状態なのだ。

 ちなみに、ここは三階建て校舎の二階。梯子でも使わなければ俺の正面にいるなんてできない。

 そして俺は|睡魔《すいま》に負けて眠ってしまい、夢を見ているというわけでもない。

『ねえ、無視しないでよぉ。ねえってば!!』

 「…………」

 俺はというともちろんそんな声などガン無視である。

 なにより授業中だし、周りに彼女は視えてないし、独り言をしゃべる変な奴と思われたくはない。

 まあ、もうすでに、俺を暗くオタクくさいやつという周りの思い込みが|蔓延《まんえん》していることは知っている。

 他人と極力関わらないようにはしているが、俺は決してオタクではない……と思っている。

 俺、藤堂真司はただ霊が視えているだけの学生である。もちろん周りにそんな事言ってはいない。言える訳もない。

 どうしてそんな事を説明するのかというとそう、先ほどから俺に声を掛けているのは、みんなには視えていないだろう幽霊の女の子なのだ。今はふわふわと目の前を漂っている。

 「はぁ~」

 隣や周りに聞こえないようにため息をひとつ。

 それから一応周りを見回して確認し、念には念を入れて近くには聞こえないように気を遣いながら小声で応答する。まぁいい加減にウザいのだ。

「何か用か?」

『用ってことはないけど……』

 ぶっきらぼうな口調に対して彼女は口を少し尖らせる。

「なら邪魔するなよ、授業中なんだから」

『冷た! シンジ君冷たくない?』

 そう言いながら彼女は両手を自分の頬に当てながら綺麗な瞳を俺に向けた。

――しんじらんなぁ~い! みたいな顔するな! つか、やっぱりおまえ幽霊だけどかわいいんだよ、ちきしょぉう!!

『あら、私だってJKなんですけど』

 確かに、この辺りでは知らない奴がいない、有名な進学校の制服を着ながらフワフワ浮いている。

 この子の名前は日比野カレン。

 出会いは唐突で衝撃的だったが、彼女からある頼まれ事をされ解決した。その後、お礼をしたいだとか言って、ずっとそばについてきているのだ。

『ほらほら、じぇーけーですよぉ。じょしこうせいですよぉ』

 目の前でひらひらふわふわする

 制服のスカートが揺れる。そう見えそうで見えないギリギリのラインで。

「やめろってば!!」

 俺は叫ぶと、ガタッと机をならして勢いよく立ち上がった。

 もちろん周りは静まりかえって俺に注目する。

 そして――もちろん今は授業中である。

「なんだ藤堂、寝てたのか? それとも俺の授業がつまらないとか。まさか……クラス崩壊でもさせようとしてんのか?」

 先生の言葉を皮切りに、クラス内はざわつき始める。

「あ、すいません。ほ、ほんとになんもないです。すいません」

 勿論席に座る前には周りと先生にペコペコと頭を下げて謝るしかない。

 周りの女子からヒソヒソと話をする声が聞こえる。まぁ、良いことを話してないのは分かる。男子からもバカなの? とか、やるな藤堂とか声が上がる。

 先生がそれらをうまく鎮めて再び授業に戻り、黒板に書き出しを始める。

 俺は冷や汗を背中に流しながら椅子に座る。

『ごめぇ~んネ』

 ペロッと舌を出し、胸元で手を合わせて謝るカレン。そしてふわふわ。

 もちろん周りには視えていない。

「はぁ~~」

 大きなため息をひとつつく。まだ女子のヒソヒソ話が聞こえてくる。けっこうな地獄的状況だ。

――あぁ~なんなんだよちくしょう可愛いなおまえ!! なんで幽霊なんだよ!!

 俺は机に向かって思いっきり顔を押しつけ、周りには聞こえない心の叫びをあげるのだった。

 俺は、生まれてから声を出して言葉を話し始める頃には[変なもの]が視《み》えていたらしい。 らしいというのはもちろんそんな事など覚えていないからである。家族が話す内容によれば、誰もいないところに話しかけていたり、そこにもう一人いるかのような遊び方をしていたりしていたと聞いた事が何度もある。

 最初に思い出せる記憶の中では、人じゃないモノと一緒に暮らしていたことが俺には当たり前だったし、それが亡くなっているお祖母ちゃんだと分かるのに時間は掛からなかった。

 小学一年生になるくらいの頃に母親が重い病気にかかり、家族みんなと一生懸命の闘病の末に母さんは亡くなった。

 亡くなる直前の言葉を今でもしっかりと覚えているし、何よりも嬉しかったのだ。

「あなたのその眼には多分、私たちの知らない、見えないモノが映っているんでしょ? それは他の人には理解できない能力。でもね真司、あなたならその能力を人に役立てられると信じています。今まで真司の事分かってあげられなくてごめんね」

 その言葉が母さんと話をした最後になる。

 母さんはその一週間後に亡くなった。そして亡くなった後の母さんにも会った。言葉は交わせなかったけど母さんは優しく笑っていて、父さんをジッと見つめ、薄くなって消えていった。

 それからは会っていない。

 母さんが亡くなって以降、俺は自分の能力について誰にも言わなくなった。いや、言えなかった。父さんは夜遅くまで仕事して帰るようになり、俺は父方の祖父母に預けられながら育ったが、そこでも幽霊が視えることについて黙っていることにした。

 そうはいっても、視えているモノが急に視えなくなるわけでもなく、幽霊の絡んだ恐怖体験など色々な事が起きる。幼い俺はどうしていいか分からずに、泣きながら布団で寝ることが当たり前の毎日になった。口数が減っていったのもこの頃からだろうか……。

 それからまた数年が経ち、俺も小学生高学年になっていたある日、父が大人の女性と小さな女の子を家に連れて来た。

 今日から真司の新しいお母さんと義妹になる。父さんの口からそう告げられる。

 家族となって一緒に暮らす人が増え、祖父母のところで過ごすことがなくなる。それ自体は別に、俺にはどうでも良かった。家族となった小さな女の子は、自分の周りをついて回るようになった。

 その子の名前は伊織《いおり》。小さい声ながらも答えてくれた。俺とは歳が二つ違いだ。

 中学一年生の頃からあまり外出はせずに、部屋の中で過ごすことが多くなっていった。俺が高校を受験する歳になっても、他人と極力関わらないようにしようとする考えは変わらなかった。

 決して完全なる引きこもりという訳ではなく、家族とも外出はするし必要なら一人でも出かけていくことはある。できる限り出ないようにしていただけ、要するに外に出て余計なモノを見てしまうことが嫌だっただけなのだ。

 閉鎖的な俺を、義母は温かい目で接してくれた。外出などを決して無理強いしようとせず、かといってやらなければいけないこと、特に学校や行事なんかには必ず出席するように促された。

 義妹は相変わらず、俺の周りをチョコチョコとついて回っていた。

 こんこん

「お義兄ちゃんいる?」

 こんこんこん

「お義兄ちゃん?」

 夏の暑い日差しに外の空気が蒸され始める前のある日、気付けば部屋のドアが叩かれている。ドアの外から、伊織が俺を呼んでいるようだ。

 ベッドで横になりマンガを読んでいた俺は、暑さで気だるくなっている体を起こし、ドアに向かいゆっくりと開く。

 目の前にいたのか、ビクッと体を震わせて少し後ろに下がる伊織。

「おう伊織、どうした?」

 今年中学生になった伊織はなかなかに成績優秀らしく、なおかつ運動神経も良いみたいでクラブ活動からいろいろと誘いがあるらしい。それでもどこにも所属することはなくすべて断っているらしい。

 らしいばかりの表現になっているのは、地味で目立たぬ義兄である俺とはあまり関わらないで済むように接触を避けているから、伊織のことは人から聞いた事しか知らないのだ。

「えと……。お義兄ちゃん今日出かける用事あるかな?」

「……義妹よ、それを俺に聞くのは意味がないぞ。何しろ用事が出来たためしがないからな」

「それはそれで自慢にはならないと思うけど……」

 顔を引きつらせながら、困り顔で顔を掻く伊織。

 俺とは血が繋がらないおかげか、色白で卵型の|輪郭《りんかく》をしている顔は小さく、大きなクリっとした目が幼さを残している。

「ちょっと買い物に付き合ってほしいんだけど……大丈夫かな?」

「そんなことくらいいつでも付き合うぞ、別に引きこもりなわけじゃないからな」

「良かった……」

「え? なんで?」

 伊織がホッとしていることに疑問を持った俺は、頭をよぎった事が思わず言葉になって口からこぼれていた。

「ふぁ? なんでって、その……別にお義兄ちゃんには関係ないというか……ごにょごにょ」

「……まぁ別に何でもないならいいんだけどな? 」

 その言葉を聞いた伊織が「じゃぁよろしくねっ」と言い残してパタパタと廊下を走り、玄関へ向かって行った。

 俺はドアを閉めると、頭に「?」がついたまま出かける身支度を整える。とはいえ今の格好に上着を羽織るか羽織らないかくらいしか変わらないんだけど。

 ドアを開け、玄関まで歩いていく。伊織は既に、用意を終えていて肩に大きなショルダーバッグを下げ、こちらを向いて待っていた。

「待ったか?」

「え? いや大丈夫だよ」

「よし、じゃあ行くか」

 玄関のドアを開けると、太陽はもうすぐ真上に来ようとしていたようで、日差しがぎらぎらとしている。

 休みの日はだいたいが家にいて、昼過ぎまでは布団に入って寝ているし、そういえばこんな風に出歩くなんていつぶりだろうかと思う。

 出かけるにしても一人のことが多い俺は、誰かが隣またはすぐ後ろを付いてくることはあまりないので、なんか変な感じがしている。それが例え伊織なのだとしてもだ。

「買い物って、何を買いにどこに行くんだ?」

「えっと、今日の夕飯のメニューだよ?」

「あれ? 義母さんは?」

「やっぱり! お義兄ちゃん忘れてるんだ! 今日はお義父さんとお母さんが遅くなるから二人で食べてねって、言ってたでしょ?」

 う~んと考えるが、まったく覚えていない。

 は~ぁっと、ためいきをつく伊織を見ながら少し苦笑いをしてしまう。ほんとにこの義妹はよくできたいい子だなぁって思う。

 それに比べて俺は……。

 外に出て歩くということは、また見たくないモノたちの中に入っていくということ……なのだが伊織との買い物にも一緒についていってあげたい。兄としてそのくらいは一緒にいてあげたいと思っているのだ。

 あまり感じのよくないモノには、極力避けるように伊織を誘導しながらてくてく歩く。

 俺たち二人とすれ違う人々はもちろん、後ろを歩く伊織も、元気がなくフラフラと歩く俺のことを頼りない男の子だと思っているかもしれない。

 それはそれで良かった。別に俺はどう思われても構わないといつも思っていた。

 そう、俺は伊織にも[見えないモノが視える]とは言ったことがないのだ。

 まぁ、言うつもりもないのだけど。

 そんなことを考えていると――

 二人の歩く道の向こう側に、少し影が薄い、見た目は自分とそう変わらないであろう女の子がキョロキョロと辺りを見回している。

 何かを探しているような、誰かを探しているようなそんな様子に見える。

 なるべくそういうのには関わり合いたくはない。自分に何ができて何ができないかなんて、小さい頃から随分と経験しているからだ。

 伊織と話してこの場を去ろうとした時、少しその女の子の方に視線だけを送ってしまった。

 それは完全に無意識の一瞬で、自分でも見えたかどうかは分からないほどの時間。

『あなた! ねぇあなた!! そこの男のコ!! 今、ずっとこっち見てたよね?』

「え?」

   

 向かい側にいたはずの女の子が、目の前でむ~っというような感じで、頬を膨らませながら俺の顔を覗き込んでいた。線の細い茶髪の少女である。

 そして、もちろん俺だけが視える[幽霊]なのだ。

『私が視えたあなたに、頼みがあるのよ!』

 それが日比野カレンとの出会いであり、この物語の始まり。

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