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21話 犠牲者M

ผู้เขียน: ニゲル
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-04-29 14:51:50

「えっ……死んだって、イクテュスに殺されたってことなの……?」

「そうなるのだ。あの時はノーブルとフィリアの二人体制で配信してたのだ」

その頃のことは朧気にしか覚えていないが、二人だけの時期もあったような気もする。それくらいフィリアの記憶は曖昧で頭の中に残っていない。

「フィリア……翠はあまり戦いに向いている性格じゃなかった。僕も途中で辞めるようそれとなく伝えたけど……優しい彼女はほんの少しでもノーブルの力になりたくて……負担をかけたくなくて……それに親友の神奈子に危害を及ばせたくないって断ったのだ」

まるでこの前までの私と波風ちゃんの関係のようだ。翠さんと健橋先輩の立ち位置は。

「二人はキュアヒーローが同種族の希望を力に変換して強くなるっていう仕組みは知っているのだ?」

「そういうのは私も波風ちゃんもキュアリンからしっかり聞いたよ。だから配信して希望を集めてるんだよね?」

「そうなのだ……でももしイクテュスを倒す頻度が落ちて人気がなければ、有限の希望を独占されたらどうなると思うのだ?」

希望の独占。言い方は悪いが恐らくノーブルの方が活躍しすぎていたのだろう。実際に当時の彼女の配信は今でも印象に残っているが、フィリアの方は全く記憶にない。

「希望が集められなくて弱体化するのよね? まさか……」

「そうなのだ。弱ってついには変身道具依存の配信機能も壊れて変身すら維持できなくなって、最後はイクテュスに……橙子も必死に助けようとしたのだ。でも間に合わなかったのだ。そして最悪なことに吹き飛ばされた翠は通りかかった神奈子の前で……」

リンカルは言葉を詰まらせそれ以上何か言おうとはするが喉元で停滞するだけで発さない。

「もういいリンカル。ここからは俺が説明する」

キュアリンがリンカルの背中を摩り下げさせる。

「代わって説明するが、神奈子がキュアヒーローの力を憎んでいるのはそれが原因なんだ。

それにあいつが使っているブローチは……翠が使っていたものだ」

健橋先輩と翠さんを私達と重ねてしまっていたので、想像するだけで胸の奥がキュッと締め付けられる。そして健橋先輩の怒り様に納得してしまう。

「あいつは全てを知り橙子や俺達を憎んで、橙子は自らの罪を受け入れて償おうと、それでもって許されようとはしない。その結果が互いにキュアヒーローを辞
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    「リンカル……そこを退け!! そいつにキュアヒーローとしての資格なんてない。アタイが倒してそのブローチを叩き壊してやる……!!」 「全く君は相変わらず荒々しいね。そんな性格で人助けは向いてないよ。君こそそのブローチをリンカルに返却してキュアヒーローを降りたまえ」 リンカルと呼ばれたハムスター? のような見た目のキュア星人が止めようとするものの二人とも聞く耳を持たない。 「お前ら何やってるんだ!! キュアヒーローの力を行使したイクテュス以外への攻撃行為は許されていないぞ!!」 そこにキュアリンも来て二人を説得する。理論を加えることにより二人もとりあえずは力を解き殺意を抑える。 「ねぇ……二人ともどうしたの!? 配信ではあんなヒーローしてたのに、何でキュアヒーロー同士で……私達はみんなの笑顔を守るヒーローじゃないの!?」 ノーブルはバツが悪そうに視線をこちらから逸らす。だが対照的にアナテマは私を睨みつけ先程ノーブルに放っていたものを私に向ける。 「ふざけるな……何が正義ヒーローだ……!! キュアヒーローはそんな希望の力じゃない……こんなの人を狂わす呪いの力だ!!」 アナテマは胸にあるブローチを強く握り締める。そして私の方に近づいてきて胸元に、ブローチの方に手を伸ばす。 「ちょっ……何するのやめてよ!!」 私は咄嗟に後ろに下がりブローチを守る。彼女は目に見えて不機嫌になるが後ろからノーブルが睨みつけ牽制する。 「お前らなんかがこの力を使えこなせるもんか。死にたくないならとっととこんなこと辞めて日常に戻るんだな」 アナテマは捨て台詞を吐き闇に溶けて消えていく。 「はぁ……アナテマ……いや神奈子は相変わらずだな」 「えっ……神奈子って、もしかしてあの健橋神奈子!?」 「いやいやそんなまさか。かなこって名前は一般的だし同音の別人よきっと」 「君達……健橋神奈子を知っているのか!?」 しかしノーブルの反応はまさかのもので、変身を解除しつつ、桐崎橙子の姿へと変わって私達の方に駆け寄る。 「えっ……橙子さん!?」 「ん……? そうだが君達は?」 「私達です! 今日下校する時に会った……」 私達も変身を解いて素性を晒す。これには橙子さんも飄々とした表情を崩す。 「いいのかリンカル? 私生活に無駄に関わらせて?」 「彼女達

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    「ぐっ……うぉぉぉ!!」 私に二体のイカ達が飛んできて、ただでさえ多い足は二倍となり計四本の手足では対応しきれない。 「きゃっ……!!」 猛攻についに耐えきれず私とイリオは防御を崩されて胴体がガラ空きになってしまう。 「シャインブレイド!!」 「ブラックホール!!」 私の前に光のオーラが割り込んできて奴らの足を数本切り飛ばす。 イリオの方のイカは引っ張られるように真横に飛んでいきその先に居た人にまとめてボディーブローを受ける。 「アナテマとノーブル!?」 私達のピンチに現れたのは他の二人のキュアヒーローであった。その強さは新人の私達とは比べ物にならず一瞬にして形勢が逆転する。 「二人ともありがとう! 本当にたすか……」 「こらこらウォーター。戦闘中は敵を見ないと」 「あっ……すみません」 コメントでも安堵する声がある一方前を見ろとちょっと辛辣めなコメントが目立つ。 (だめだめ私! ちゃんとみんなの役に立てるようにならないといけないのに……) 気持ちを切り替えて私はすぐにノーブルが足を切った内の一体に向かう。他の三人もそれぞれイクテュスを倒すべく詰め寄っていく。 「マジックアクアレイン!!」 私は己の身を守る役目も与えるべく自分の眼前に雲を出現させ奴に鋭い雨の矢を浴びせる。 だが良いところで奴は拘束を逃れてイリオの所まで向かう。 「ちっ……いかせるか!! イリオ気をつけて!!」 だが奴からはもう戦闘をする意思がなくなっていた。イリオの前に居た個体も共にくっつき今度はノーブルの方に飛んでいく。 「なっ……!?」 トドメを刺す直前だったが二体のタックルにより目の前の個体の位置がズレて光の剣が空を切る。そしてそのまま奴らは体から湯気を出して縮みながら合体し用水路の中に逃げていく。 「待てっ!!」 私達三人が追いかけようとするがアナテマの前の個体が飛び出してきて邪魔する。 「お前の相手はアタイだっ!!」 しかし闇の力で引っ張られアナテマにタコ殴りにされ、そして鋭い蹴りがトドメとなり奴は灰になって崩れ去る。 「途中から完全に逃げる気だったね……わたしとしたことが不甲斐ない。あの個体の性格……自分からわたし達の前に現れることはもうないだろう」 私達に送られるあの反応はキュアリンらが撃つGP

  • 高嶺に吹く波風   18話 楽園はどこか

    波風ちゃんが専用のリモコンを操作して映画を選択する。前々から一緒に見ようと決めていたアニメ映画だ。 まさに今の私達キュアヒーローのようなヒーローもので、本編とは違う世界線を描いたストーリーらしい。ジャンルはSFのあぽかりぷす? というジャンルらしく、怪人が人間に完全に成り代わってしまった世界が舞台となっている。 「やっぱりこの作品って怪人側のドラマもしっかりしてるよね……」 怪人が多数となった世界でも人間との共存を訴える三人の怪人がフォーカスされる。ヒーローとも話し合い人間と怪人の着地点を見つけようと悩む主要人物達。そこにあるドラマは深くつい私達は現実同様に彼らを見てしまう。 「もしかしたらイクテュスにもこういう考えを持ったのかいるのかな?」 「それはないんじゃない? あいつら悪さをするというより知能なく暴れてる感じだし」 「それもそうか……よかった」 もしそんなのが居たとしたらとてもやり辛いし、今まで倒してきたイクテュスに対しても殺人の側面が出てきてしまう。 映画は人間派の怪人は全員倒され、最後は生き残った主人公とヒロインが夢を引き継いで歩いていく形で終わった。 未来がありつつも明確な悲劇と終わりが垣間見える結末。面白かったが自然と彼らに自分自身を投影していた私達は複雑な気持ちになる。 「そういえば高嶺はみんなの笑顔を守りたいからキュアヒーローになったってことでいいの?」 「うんそうだね。やっぱり波風ちゃんならすぐ分かっちゃうよね」 この気持ちを切り替えたく、大勢のエキストラのスタッフロールが流れる中波風ちゃんから話題を振ってくる。 「他の二人……アナテマとノーブルってどんな人なんだろう? 高嶺は何か知らないの?」 「アナテマとはまだ会ってないし、ノーブルは自分のこと話したがらないし……キュアリンに聞いてもプライバシーの都合って言って教えてくれないし」 他のキュヒーローにもそれぞれの私生活がある。私がそこに触れることをキュアリンは許してくれない。 トラブルがあった場合は集合等させるかもと伝えられているがそれも起きない。テレパシーはキュアヒーロー間でも繋げられるがそれが使われたことはない。ノーブルもアナテマもそういうのには積極的ではない。 「じゃあ次はどの映画を……」 [お前ら大変だイクテュスが出た!!]

  • 高嶺に吹く波風   17話 仲良し戯れ

    「映画を見ると言ってもお腹が空いたわね……晩御飯どうする?」 「それならビーフシチュー作ってあるよ。あとはルーを入れて混ぜるだけ」 「ビーフシチュー……高嶺の作るビーフシチューなら大賛成だわ」 私の作るそれは何度か波風ちゃんにも振る舞ったことがある。好評なので今回もそれをチョイスした。 お義父さんは家に居ないことが多い。なので料理することが必然的に増えて腕前もメキメキと上達していったのだ。 私は波風ちゃんを家に上げて、鍋を温め直しつつルーを入れてビーフシチューを完成させる。 「ビーフシチューできたよー」 「こっちも映画見れる準備できた!」 私がご飯を作っている間に波風ちゃんはコンセントを私の部屋のテレビに繋げてリモコンの動作確認をしてくれた。 どちらも特に問題なく事が進み、私は買っておいた惣菜を電子レンジで温めてから更に盛り付けそこに今作った卵焼きを乗っける。 「いただきます!」 私達は手を合わせ机に並べられた食事を食べ始める。 「うーんやっぱり高嶺の卵焼きは甘くて美味しいわ。毎日食べたいくらい」 「うふふありがとう。高校に行ったら毎日お弁当に入れてあげようか?」 「一緒の所に行けたらね。高嶺が頑張ってくれないと」 「うっ……それはそうだね……」 波風ちゃんは小さい頃から健さんが側に居て、勉強を教えてもらえる環境に居たためか大変勉学の出来が良い。それに比べて私は毎回赤点を回避することを念頭に頑張る程度の出来であり、とてもじゃないが波風ちゃんと同じ高校なんて行けそうにない。 「はぁ……勉強で分からないところがあるなら教えるから頑張りなさいよ。ずっと一緒に居るって約束を守りたいならね」 「約束って……波風ちゃん十年前の約束覚えてたの?」 「アンタもしっかり覚えてたのね……一生側に居てくれるって言ったからには簡単に諦めないでよね」 「うん……信介さんも頑張ってるみたいだし私も気合い入れてかないと……!!」 健さんから様子を聞いているが、彼も前向きに頑張っており成績を着実に上げているらしい。少なからずキュアウォーターは彼の希望になったのだ。私も頑張らないと示しがつかない。 「まぁ受験まで一年半以上あるし、ゆっくりやっていきましょ。それととりあえず今日はお泊まり会を楽しみましょうか」 「うん! ずっと気張ってば

  • 高嶺に吹く波風   16話 お泊まり会

    「大丈夫か?」 てっきり胸倉を掴み上げられて殴られるかと思ったが、手は肩を掴み尻餅を突いてしまった私を立たせてくれた。 「えっ……あ、ありがとうございます」 「ちっ、そんな怖がるなよ。噂とかでそうなるのは分かるけど」 顔こそ怖いが健橋先輩は意外と柔らかい雰囲気で、だがこちらと会話をするわけでもなく一回舌打ちをすると隣を通り過ぎて去っていく。 「えーっと、大丈夫?」 「う、うん。別になんともない……でも怖かったぁ……」 拍子抜けに近い感情があるとはいえあの瞳に睨まれるのは流石に肝が冷えた。イクテュスと戦う時のような緊張感だった。 とりあえず怪我がなかったことに安堵し私達は気を取り直して学校から出て帰路につく。 「あのー君達そこの中学の子かな?」 しかし今度は身長の高い中性的な、男性だとしても女性だとしても魅力的に映るイケメンさんに話しかけられる。 「ナンパですか……? そういうのはお断りしてます」 波風ちゃんがスッと私の前に出てイケメンさんに対して威嚇する。しかしこの人はキョトンとした顔つきで戸惑っている。 「あ、あぁ……わたしが男に見えたって口か。よく間違われるんだよね。あと私は君達の一個上で女の子だからね……ほら」 彼女は鞄から学生証を出して私達に見せる。学生証は近くの優秀な子達が集まる学校のもので、そこに桐崎橙子という名と性別が女性であることが記されている。 「桐崎……橙子? あの神童って呼ばれてる?」 「波風ちゃん知ってるの?」 「噂だけどね。勉強も運動も完璧にこなしておまけに顔も良くて男子からも女子からもモテる神童がいるってね」 細かく聞いてみれば確かにちょっとだけどこかで耳にしたような気がする。 「あはは……まさか他校まで噂になってるとは……まぁわたしのことはいいよ。それより健橋神奈子がどこにいるか知っているかい? 彼女に会いたくてね」 「健橋先輩に……?」 正直あの不良の頂点に立つ健橋先輩と、学生のお手本のような橙子さん。接点などまるでなく二人が会おうとしていることにギャップを感じで首を傾げてしまう。 「健橋先輩ならもう帰りましたけど……あの人に何か用があるんですか?」 「あぁ……いやちょっとね。君達には関係のない話だよ」 明らかに何かを隠し誤魔化す。しかし健橋先輩と神童様に何があっ

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