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last update publish date: 2026-05-04 11:45:53
 最後に「=(イコール)」のボタンを強く押した。

 2人の甥っ子の目の前に、計算結果が表示されたスマートフォンの画面を突きつけた。

「すべて合わせて、約30万円」

 30万円。

 小学生の子供にとっては、想像もつかないほどの大金だ。

 彼らは突きつけられた画面の数字を見て、絶句した。

「あなたたちのお母さんが、このお金をすぐに払えると思う? パチンコで負けて、夕飯も他人の家にたかりに来るようなお母さんが、30万円なんて大金を用意できるかしら」

 香奈さんの言葉には、子供騙しではない現実の重みがある。

 その現実を容赦なく叩きつけられて、悪童兄弟はうなだれた。

「もし払えないなら、どうなると思う?」

 香奈さんはわざと間を置き、彼らの顔を交互に見つめた。

 2人の目は恐怖で見開かれた。喉の奥からヒュッと短い息が漏れる。

「晶子お姉さんは、他人の家を壊した泥棒として、あなたたちを警察に突き出すことになるわね。警察の人が家に来て、あなたたちに手錠をかけるかもしれないわ」

 警察。手錠。

 その単語が出た瞬間、兄の顔から完全に血の気が引いた。

 弟の方はもう、唇をワナワナとさせて今
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    (残業になってしまった。急がないと) 都心のオフィスビルを飛び出した私は、駅までの道を小走りに進んでいた。 冬の入り口の冷たい風が、汗ばんだ首筋を容赦なく冷やしていく。 頭の中にあるのは、1分1秒を争う分刻みのスケジュールだけだ。 この電車に乗れなければ、保育園の延長料金が発生する。 それ以上に、お迎えが最後の1人になって寂しい思いをしているであろう陽菜の顔が浮かび、胸がちりちりと痛む。 飛び乗った電車は満員だった。 ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られ、他人の肩に押しつぶされそうになりながら、私は

  • 100日後に離婚する嫁   5

    (残業になってしまった。急がないと) 都心のオフィスビルを飛び出した私は、駅までの道を小走りに進んでいた。  冬の入り口の冷たい風が、汗ばんだ首筋を容赦なく冷やしていく。  頭の中にあるのは、1分1秒を争う分刻みのスケジュールだけだ。 この電車に乗れなければ、保育園の延長料金が発生する。  それ以上に、お迎えが最後の1人になって寂しい思いをしているであろう陽菜の顔が浮かび、胸がちりちりと痛む。 飛び乗った電車は満員だった。  ぎゅうぎゅう詰めの電車に揺られ、他人の肩に押しつぶされそうになりながら、私は必死にスマホで献立を検索していた。 遅れてしまった以上、スーパーで買い物する時

  • 100日後に離婚する嫁   4

     リビングに戻ると、和也はちょうど朝食を食べ終えたところだった。  当然のように、食器はテーブルに放置されたままだ。  お皿には目玉焼きの食べかすがこびりつき、マグカップの底にはコーヒーの輪染みが残っている。  シンクまで下げるのに、たった数歩歩くだけだというのに。和也は絶対に食器を下げようとしない。 彼はそのまま、通勤用のカバンを手に取って玄関へ向かって歩き出した。「和也、ゴミ出しお願いね。玄関に置いてあるから」 背中に向かって声をかける。「ん」 和也は相変わらずスマホの画面を見つめたまま、適当な返事を返した。  聞いてるんだか聞いてないんだか。  私はため息をこぼしなが

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