異世界の2大商会の設立の起源とその後の商会に関わるドタバタ劇を1章~4章までお送りいたします。
더 보기俺はこのライレルク王国の第一王子だ。間違いない!
しかしだ!最近自分こそが第一王子という輩が現れた。
なんか、嬰児取り換え?生まれてすぐの子を取り換えるの?で、侍女の子と取り換えたから侍女の子として育った自分こそが正統な血筋の子である。という話だ。
ふむふむ、なるほど。証拠はあるんだよね?
で、証拠があったようで、俺は突然ビューティフル王宮ライフから平民ライフになった。
名前はラルクと申します。幸いなのは、幼馴染で乳母の子のニースが共に来てくれたことだ。
だって、俺自慢じゃないけど料理できないし?ニースも微妙だけど、俺よりマシだろう。
騎士としても仕えてくれていたし(今は参謀)、きっと野戦料理みたいなのはできるはず!
「ラルク様!今後はどのようにするつもりですか?」
「うーん、俺はあのポッと出の王子に王子が務まるとは思ってないんだよね?そのうちそっちはどうにかなるとして…。俺らでしょ?俺には高位貴族と交流があったという人脈がある。外交も俺がしていたからそっちの人脈もある。…とすればやることは一つでしょう?商人です!そうだな、ゆくゆくは国一番の商会にでもなります?」
「野望は大きい方がいいです。それにしても、ラルク様の言う通りですね。人脈は多いですね。そして、あの王子には‘王子’という役職は務まりそうもないですね。大方イメージで王子は楽して贅沢をしている…みたいに思ったんでしょうね。山のような書類に追われて、きちんとした食事などなかなか摂れないのに…」
「その山のような書類を俺にあてがっていたのはお前だ!」
「御意」
「そのおかげでか(?)商会のようなところの書類など簡単に処理できるだろうな」
「まずは俺は商会を起ち上げようと思う。名前は安易に『ラルク商会』でいいだろう」
安易だとは思うがわかりやすいし。
「では、まずは商会の特産ですね。ラルク様の人脈をもって東方の国特産のアキヤ貝から採れるというあの石を商会の目玉にするのは?貴族がこぞって欲しがるでしょうね。そこが王に追い出された王子の商会だとしても…」
「そうだな。アレはどこにも卸していないんだよな。この商会で独占できれば…というか、するぞ!まずは俺は東方の国に文を出す。もちろん東方の国の言語で。相手に失礼では商談に支障が出てしまう。今後の事業についても要相談だな」
ニースはすぐに書面を東方の国に送ってくれ、数日後に直に話をしたいと返事をもらった。
「ラルク様、今のところ順調ですね?」
「そうだな。商談はどこに落とし穴があるかわからないから、気を引き締めよう」
そう言いながら、俺とニースは東方の国に行った。
「お久しゅうございます。国王陛下。国王陛下におかれましては「あー、よいよい儂とお主の仲ではないか?」
やっぱり人脈効果は絶大だな。
「単刀直入に申し上げますと、アキヤ貝の石を私の商会で独占販売させてほしいのです」
流石に、王はしぶった。
「あー、アレはなぁ。この国でも特産になっているからなぁ」
「私の商会では他にもこの国の物をどんどん輸入し、売っていこうと考えています。例えば、このキモノ。着付けが難しいのですが、それをクリアできるようなものに改良し売れれば…と考えています。それを手始めとして、東方の国の通りのようなものができれば…と考えています。通りの両面が東方の国の店なのです」
「それは面白いな。なにより、ラルク殿ならばいいかと思ってしまう」
「恐れ入ります。私はただの商人ゆえ…」
「何を言うか!
王がニヤッと笑う。つられて笑ってしまう。
商談成立!!
俺が勝った!
これで貴族がこぞって俺の商会からあの石を買うだろう。それも競うように。品質のより良いものを!より大きなものを!より価値のあるものを!と。
こうして、俺の商会はあの石を弾みにまずは東方の国と独占取引を(きちんと書面で契約済)し、さらに周辺諸国の特産も独占取引できるようにしていった。
俺の野望の通りに俺の商会は国一番の商会となった。
今の俺は屋敷に住み、使用人を多数抱えて暮らしている。もちろんコックもいる。
ニースには俺の右腕として俺よりは小さい屋敷を与えたのだが、「落ちつかない」と俺の屋敷で暮らしている。ニースに与えた屋敷は売ったらしい。
大商人となった俺だが、人脈は衰えていないようで、東方の国をはじめとして周辺諸国が婿取りをしたがった。
俺はなぁ?とはいえ、あんまり断っているとニースとの関係を疑われそうなので、婚活(?)パーティーを開くことにした。
そういえば、王子だったころに婚約者いたけど、そいつは確か…‘王子’という地位が好きだったんだよなぁ。まぁ、ポッと出の‘王子’とうまくやってるだろう。
それはおいておこう。
ふーん、なんか知らんが貴族の令嬢まで参加しとる。いいのか?陛下に追い出された元・王子だが?王家に逆らってることにならんのか?
各国の来賓として王家の姫が参加しているようだ。
全員知ってるしなぁ。今更…。自由の身としては恋愛結婚したいんだよなぁ。
と、ぼーっとしていたが参加していた令嬢皆が俺に秋波を送っていたようだ。
これでも顔は良い方だと思うし、背は高い。(ニースの方が高いけど)
あちこち移動とか忙しくて、体には余計な脂肪がついてません。(ニースは騎士だったから筋肉ついてる)
ん?もしかして?令嬢が見てるのは俺じゃなくてニースじゃない?
そっかぁ、ニースねぇ。ニースが特定の国の令嬢と結婚はちょっとなぁ。
恋愛結婚なら止めないよ?でもなぁ。
「ニース様、私と踊ってくださいませんか?」
おお、勇気ある~!!この秋波の中で。しかし…。東方の国の姫か…。断りにくい…。
「行ってこい」
俺はニースを生贄のように送り出した。ニースは戸惑っていた。後で理由教えよう。
姫よ、着物でどうやって踊るんだ?
姫は何故だろう、踊れた。
意味のないパーティーはお開きにしよう。あ、食べ物は無駄にしないように。使用人みんなで食べました。
翌日、ニースに教えた。
俺よりも背が高く、俺よりも筋肉質なお前が令嬢の標的になっている。という事実。
ニースは愕然としつつも。なるほど。という様子だった。
「そうですね。私と結婚すれば、確実にラルク様に近づくことが出来、母国の利益になるでしょうね」
あっさりとしたものだ。
そんな折に一通の文が届いた。王家の印璽がある。無視できないやつだ。
私が読みます。とニースが俺より先に読んだ。
「ラルク様の考えた通りです。あのポッと出の王子では使い物にならないからラルク様に戻ってきてほしい。とのことです。商会の権利付きで」
商会の権利は俺が一人で(ニースとだけど)得たもので、ハイどうぞなんて横取りはされたくない!それに何より今更だよな?それは都合が良すぎじゃないか?と俺は思う。
と、いう事をニースと話した。
「『王命』だったらどうします?」
「ラルク商会の権利の全てを商会の優秀なやつに譲渡する。権利だけは渡さん!」
「そうですよね~。私もそれは思います」
「なので、王家にはそのように返事を出そう。戻るなら俺とニースだけだ。商会の権利はない!」
陛下は憤慨した。何故自分の思うようにいかないのか?
そもそも、ラルクとこの王子を取り替えた侍女はどこのどいつだ?
目的がわからない。
商会の権利が手に入れば、この王子が浪費した国庫の財政をどうにでもできる。
だというのに、商会の権利は渡さない?
ラルクが?あの尻の青いガキが!
このままでは王国として成立しなくなってしまう。
貴族までもラルクを婿に望んでいるそうではないか?
私は一体どうしたら…。
「ニース、面倒な事になりそうだな?他国に商会の本拠地を移さないか?そうだな?それこそ東方の国はどうだ?」
「私を政略結婚させるおつもりでしょうか?」
「いーや、そんなことはなく、ただ単に俺が東方の国の王と親しいからだ」
「ならば納得です。早々に移しましょう」
「よく来たな、ラルク殿!ついに身を固める決心を?」
「そうじゃないんだ。王には残念かもしれないが。商会の本拠地をこの国に移そうと考えている」
「ほう」
「ライレルク王国に
俺は王に王国の事情と俺の事情を説明した。
「あー、それは向こうの王は随分と都合良いなぁ。儂でも嫌だと思う。逃げられるわけだ。なるほどなぁ」
「この際、商会の本拠地も移してしまえと思いまして。ならば商会躍進のキッカケともなりました、この国が適当かと思った次第です」
こうして俺(とニース)は本拠地を東方の国に移して活動を続けた。
結婚相手は商会の職員の中で各々恋愛結婚した。
ライレルク王国は王政が潰れたという話を聞いた。なんでも王子が国庫を使い込んだらしい。愚かな。
俺は彼女と経理課で出会った。
彼女は勧善懲悪タイプ。曲がったことが大嫌い。なので王国が嫌いで本拠地が移って嬉しかったそうだ。
一目惚れというのだろうか?俺は一目で彼女に惹かれた。彼女がいい。
それからというもの。俺は猪突猛進的に彼女に猛アタックし、見事に彼女の心を手に入れた。
この時、曲がったことはしないように気を使った。今後も気を付けよう。
そもそも曲がったことをしては商人としての信用が得られない。
ニースは受付嬢だそうだ。こっちも一目で恋に落ちたそうだ。ニースに口説かれた彼女はあっさり陥落。俺はすごい頑張ったのに、ニースは秒殺かよ。と、主としてのプライドもちょっと傷ついた。
お互い、彼女を紹介し合う時は緊張したが今は家族付き合いというのか?をしている。
ニースには再び屋敷を与えた。もう売り払わないようにと強く言いつけた。彼女がいるし。
俺は次にどんな商売をするか考え中だが、その前に子供が生まれそうなので、ベビーグッズの販売をしていこうと考えている。もちろんモニターは我が子。商人の子ならば、するんだ!すべきだぁ!!
私の主である、フレデリック=ホーラ伯爵様は世間では、眉目秀麗・才色兼備の天才でなんでもすぐにマスターしてしまうと言われている。私は知っている。その陰で主が物凄い努力をしたことを!そして、その反動でいまでは面倒な事が嫌いな方になってしまったことを!「フレデリック様、朝ですよ。起きて下さい」「え?起きるの面倒だなあ」「寝たままでは食事もできません。それから、本日は『ラルク商会』との商談があります」「はぁ、面倒だなぁ。誰がそのスケジュール決めてるの?」「多くは私が決まていますが…『ラルク商会』との面談はあちらにも予定がありますから、あちらの都合に合わせています。っていうか、起きろよ。このポンコツ!商談があるって言ってるだろ?」私はフレデリック様の乳兄弟で幼馴染なので、このような言葉遣いで接してしまうのです。「二重人格なのかよ?」「一応従者としての口調で話してただけだ。さっさと起きろ!そして、支度をしろ。面談だ」遅れましたが、私の名はデイヴィス=サターン。よくフレデリック様に悪魔みたいな名前だな。と言われます。その度に母からゲンコツ落とされてるのですが…。「で、フレディ。『ラルク商会』とは何を面談するんだ?」「はぁ、そんなことも把握してないんですね。この度、『ラルク商会』で東方の国の酒を用いてカクテルを作ることになったんですよ。そのカクテルと混ぜる酒の候補として我がホーラ領地で作られる数々の酒が候補に挙がっているのです。その話ですよ。はぁ」「酒の話か。それはいい話だな」「酒を用いるという事は利権が絡んできますから、当然何パーセントがホーラ領地に還元されるのか?って話です。そもそもが使ってもらえるのか?という所からのスタートのなりますけど」この男は寝起きは悪いし、使えないと思われがちだが、起きてしまえばこっちのもんで商談とか得意だから放っておいて大丈夫だろう。その昔、フレデリックはぽっちゃり体形でした。たいして才能もなく絵心もなく、前伯爵が危惧するほどでした。「デヴィ…。俺はどうすればいい?」「努力すればいいんじゃない?」俺のその一言がフレデリック様を本気で努力させました。3食以外の無駄な食事を一切しなくなりました。加えて、私設の騎士団と共に訓練をするようになりました。最初は少しでへばっていましたが、最終的には団長とやり合うほ
誰も俺の事を理解することはないだろうとは思っていなかったけど、ここまでとは思わなかった。ちょっと酷いと思うので、俺の話を聞いて下さい。お願いします。この通りです!!切に願います!!俺は…一応公爵家の3男です。次男の様に、長男のスペアというポジションでもないので、まぁ親の俺の接し方はそんなもんだろうと思う。特別に大事にもしないし、気にもかけない。でも世間体というものがある。みたいな感じだろうか?それでもおかしいと思う。何がおかしいって、俺がさぁ。絵画展で入賞したとする。実際したことあるけど。かけられる言葉は、「どの使用人に描かせたの?」だ。俺が描いたんだけど?おかしくね?他に学園の試験で主席を取った時、かけられた言葉。「カンニング?公爵家に泥を塗るんじゃないわよ?」だ。実力なんですけど?剣術の大会で優勝した時にかけられた言葉。「なんで同年代の王家の子を勝たせなかったの?奇跡的にあんたが優勝したみたいだけど?」など。どう考えてもおかしいと思うだろ?思って然るべきだと俺は思うのです。そして、親がかけるべき言葉はまず俺自身を褒めろ!なぜ?他の人物とかカンニングとか俺が“できない”人間だと決めつけているのか俺にはわからない。え?その頭脳と剣術で下剋上?…フフフ、それは面白そうですね。やってみましょうか?翌日より俺はまず自分の兄達の実力がどの程度なのかを知ろうと思った。まずは知ることから始める。なんだ、二人の兄はどんな大会でも入賞経験がないのか…。剣術においても頭脳においても俺の方が勝っているという事は明らかだな。これが親が俺を褒めない理由だろうか?兄達に入賞経験がないというのにあっさり入賞した子を褒める訳にはいかない。と。なんてくだらない理由だろう?そんなことで俺はいちいち傷ついていたのか?馬鹿らしい。さて、公爵家の当主の座をいただく?そんなみみっちいことを俺は考えない。兄達には到底できないようなことを俺はしようと思う。そして、兄達は悔しがるといいさ。俺の目標は『ラルク商会』の商会長の警護。俺の頭脳と剣術で『ラルク商会』の商会長のガードをするようになるのだ。すると必然的に各国の有力王侯貴族と顔合わせる機会が多くなる。たかだか一国の公爵など相手にならない。 俺は早速『ラルク商会』の商会長に書簡を送った。数種類の言語を用い
「きゃー!」「ちょっと押さないでよ!見えないじゃない!」「ああん、今日も素敵!」黄色い声援の中を俺は学園に進む。…この格好でなければ。ここケネス帝国国立騎士養成学校は元々は完全なる男子校。しかし、近年少子化により共学化。果ては男子が極端に少なくなり(ほぼ絶滅危惧種)、俺は女装してこの学校に通うこととなった。今は最上級生。今年で卒業。卒業後は準騎士かなぁ?はやく一人前の騎士になりたい…。俺の名は。ジェニファー=ルイス侯爵令息だけど、女装してるから今は令嬢?女子高ってこんななのか?男っぽい女がやたらとモテる。女だぞ?制服だって最近は肩幅が出てきたから、肩回りがピチピチだ。胸がピチピチの女子もいる。俺の家の侍女曰く、「ジェニファー様は胸が足りない分胸筋+パッドで誤魔化します。貧乳設定にすればいいのです。」だそうだ。出てきた肩幅はどうするんだろう?「ジェニファー様は体形も男らしくって髪型もショートでしょう?サッパリしていて素敵よね」と、この学校での評価。制服効果ってスゴイと思う。そんな俺が校外で私服で歩いていると、「うわっやば。同じ学校の女じゃん」と思うが、「何あの男?私見て身構えてんの?別にとって食わないっての。自意識過剰も恥ずかしくない?」等というのだ。そうそう、ケネス帝国では男が絶滅危惧種なので、強制的に体液を採取され、体外受精され、国民が国に管理されている。近親相姦にならないように。皇帝とて例外ではない。この中に皇帝の娘がいても不思議じゃないのだ。ケネス帝国国立騎士養成学校なので、俺は騎士(正騎士)を目指している。俺の学術…成績はまぁ中間かなぁ?ただ、体育のかわりとなる騎士の剣術の授業となると、俺に敵うものはいない。当たり前なんだけど。体力で女子は男子に敵わないから。「ジェニファー様、素敵―」「剣術の授業、私も選択すればよかった」などの声が聞こえる。男性を国が管理しているので俺が女装して国立騎士養成学校に通っていることは国も知っている。公然の秘密というのか?どうやら、魔物が大挙してきているらしい。俺は剣術の授業でも負けなしなので、討伐に借りだされた。「ジェニファー、なんだよ。その格好!超笑えるんだけど?」「俺の腹筋を破壊する気なのか?」など、討伐に参加する騎士達に俺はものすごくいじられる。重要な事なので、もう
もう孫も抱いたし、満足ね。ヴィックスが帰ってきたら、爵位をヴィックスに譲るって言おう。余生は領地でのんびり過ごしたいなぁ。「旦那様、それはなりません!」「どうしたのモール?」「ヴィックス坊ちゃんは王宮での仕事があります。加えて侯爵の仕事となると、かなりの仕事量となります。よって、旦那様にこのまま侯爵としての仕事をしていただきたく思うのです」確かにね。仕事一辺倒だと、子供と遊ぶ暇もないわ。それはちょっと不憫ね。「わかったわよ、余生とか言わないから。モールこそ、長生きしてよね。只今モールの息子を執事として教育中です」「モール、結婚してたんだ?」「ふぉっふぉっふぉ」トロの嫁さん、じゃなくて王太子妃は王妃教育も終わってるし、私は譲位してのんびり孫たちと遊んで暮らそうかなぁ?「陛下!譲位した国王というものは王都を離れ、遠い領地にある邸で暮らすのが定石ですよ?それを孫たちと遊んで暮らすなど…陛下ともあろうお人が嘆かわしい!」「いや、悪かった。王妃機嫌を直しておくれ。まだまだ現役で国王をする。トロもまだ国王の器としては小さいからな」「サツキ王太子妃は確かに王妃教育は終わってるんですけど、実践が足りないんです。実際にお茶会ではどのように扱われるのか、夜会では?など、まだまだ学ぶことはあります」「うむ」「今回、運よく男の子を授かりましたが、もう一人くらい男の子がいると安心です。女の子がいると外交的にも安心できます。それが王妃なんです」「はぁ」「なんで平民のように一人でいいなんて思わないでもらいたいわー」トロ、頑張れよ。トロと俺が親父たちに振り回される生活はまだまだ続きそうだ…。はぁ。
トロは王太子として仕事をするようになった。その右腕としてヴィックスが採用された。二人の愛妻の妊娠も同じ時期なので、ヴィックスの妻であるレイラが乳母に任命された。レイラとサツキは気が合ったようで、いつも二人で話をしている。そこに男が入り込もうとすると、怪訝な顔をされる。仕方なしにトロとヴィックスは王宮の一室で酒を飲み交わすようになった。「俺のレイラは可愛いだろう?親父も大層気に入っていてな?二人で買い物に行っていたりして、二人が姉妹とか親子に間違えられたって親父が嬉しそうに報告してくるんだよ」「俺のサツキこそ最高だ!普通は3年はかかる王妃教育を1年で終わらせる体力に知力。他には変わりが出来ないだろう?」「俺のレイラ!」「俺のサツキ!」酔うといつもどちらの嫁が最高かを競うようになる。素面だったら絶対に口に出さないのに。「うおー、頭痛てー!」「あなた、酔いすぎです。殿下と何を競っていてんですか?」言えない…どちらの嫁が最高かなんて。殿下も今頃二日酔いだろう。殿下は王家御用達の専属医師に診てもらっていた「二日酔いです」バッサリ斬られた。一応薬を処方してもらえたのでよかった。まぁ、レイラが乳母になって事で俺はレイラにも子供にも簡単に会えるけど、子供を親父には会わせたくないからな。それが守られて良かった良かった。「ヴィックスの親父さん、ケネス帝国に情報を提供した功績を称えて、王宮のフリーパスだぞ」陛下から無情な言葉を聞いた。聞いてしまった。何てことだ!子供の目に親父が写ってしまう。それだけは避けねばと思っていたのに。俺はどうすればいいんだ?トロ曰く「諦めなよ」。そうなのかなぁ?いよいよ出産で、なんとトロと俺の子供の誕生日が同じという事になった。これは…無邪気な子供の頃はいいけど、だんだんと生誕祭とかするようになると恨めしくなるパターンか?トロの子供は男の子(世継ぎだ良かったね)黒髪でチラッと見た眼の色は深い緑。俺の子供は女の子の双子。絶対に嫁にやらんぞ。二人とも銀髪で灰色の目。「いや~ん、可愛い!みんなうちの子?」「この子はうちの子です!」ズルいな、トロは自分の子をガードした。「え?それじゃあ、女の子二人がうちの子?レイラちゃんご苦労様~♡名前は?」「これから熟考するんだよ!」「ふーん」実は名前は決めてある。シルフィとフロー
俺の方は相手が見つかったので、お見合いという形になった。親父には場所を知らせていない。執事のモールには知らせてるけど、親父には言わないように口止めしている。「ヴィックス=カイスターです」眼前の女は商会で散々世話になった女。「レイラよ。商会の時は言ってなかったけど、うちも一応侯爵家ライレルク王国のだけど」なんだか気が抜けた。「はぁ、なんだよ。一気に緊張感なくなった」「失礼ね。あ、そうだ家名。ハリ侯爵家よ。うちは弟が継ぐから私は自由よ」それでバード商会にいたのか。「俺が侯爵家令息だってバレた時とか、対岸の火事って感じだったのか?」「まぁね~」こんな調子でお見合いは続いた。俺は結局レイラと結婚することにした。俺の親父と彼女との初対面。「親父、かなり特殊な性癖というか、見た目だけど気にしないでほしい」「わかった。かなり緊張する~!!」「ヴィックス~!その子がレイラちゃん?いや~ん若いから肌がピチピチ。羨ましいわ」「あの…」「こんな親父でなんかゴメン」「え?この方がお義父様なの?後妻さんかと思った」「お義父様っていいわね。後妻ねぇ。これでも一途なのよ」「この親父、出ていったおふくろを想い続けてるんだよ。ある意味気持ち悪いよな?」「気持ち悪いとか言わないでよ!プンプン!」彼女曰く「緊張してなんか損した気分」。そうだよな、わかる。難航したのはトロの縁談の方だ。公爵家又は王家で妙齢。見た目がそこそこ性格が◎の娘とはなかなかいない。商会長は仕方ないので、侯爵家まで爵位を下げた。すると、当たりがあった。オサナイ侯爵家。早速トロに報告。トロはアーバンクルク王国の国王に報告をし、こちらもお見合いをすることとなった。東方の国の鹿威しが鳴る一室でお見合いすることとなった。「初めまして、トロ=デ=アーバンクルクです」「うふふ、初めましてじゃないわよ?仕事でよく会ってたでしょ?」「あっ、荷物が重いときとか私が代わってたあの娘かぁ」「その節はありがとうございました。まさか王子様とは…」「でも、おかげで君は数カ国語が読めるんだよね?」「発音も書くこともできないけどね」「えーっと名前は?」「サツキ=オサナイよ」「うーん、サツキ。俺と結婚となると、結婚前に王妃教育しなきゃなんないんだ」「体力には自信があるんだけど?」「知力だよ?
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