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第2話

Author: みどりお茶
電話を切った直後、ルームメイトの長島凱斗(ながしま かいと)から写真が送られてきた。

写真の中で、上品なドレスに身を包んだ葵が、スーツ姿の男に寄り添い、幸せそうに微笑んでいた。

続いて、凱斗から長いボイスメッセージが届いた。

「隼汰、見たか?これこそが本当の愛ってやつだよ。

お前、普段からエリート気取りで、まるで自分以外はみんな格下みたいな態度を取ってるだろ。葵はとっくにうんざりしてるんだよ。

お前より玄一のほうがよほど優しいぜ。あいつは一度だって葵にプレッシャーをかけたことがない。お前なんて、彼女を束縛する以外に何ができるんだ?

いい加減、身の程をわきまえろ。自分から葵の世界から消えろよ」

俺はその写真を見つめた。胸を生きたまま抉り取られたような痛みが走った。

葵が身につけているドレスは、俺が1年間貯めた奨学金で買った、卒業祝いだ。

それなのに今、彼女は俺が贈った服を着て、別の男と婚約している。

怒りに震えながらスーツケースを引き、俺は空港を出た。

そのままタクシーを拾い、ホテルへ向かった。

俺が会場に姿を現した瞬間、クラス委員長が真っ先に立ちはだかり、メインテーブルの前を塞いだ。

「隼汰、本当に会場まで乗り込んできて、めちゃくちゃにするつもりか?みんな同じ大学で4年間過ごした仲だろ。それなのに、どうしてそこまでやるんだ?

玄一と葵のほうが、もともとお似合いなんだよ。二人がここまで来るのだって簡単じゃなかった。もう少し大らかになれないのか?」

俺は委員長を無視し、メインテーブルにいる葵をただ睨みつけた。

彼女は俺の前まで歩いてくると、困ったようにため息をついた。

「隼汰、さっき電話でちゃんと説明したでしょう。これはただの儀式よ。玄一を安心させるためのものなの。

こんなときにわざわざ騒ぎを起こして、みんなを困らせる必要があるの?」

彼女が手を伸ばして俺を引こうとした。俺は身をかわして、その手を避けた。

「葵……本当に気持ち悪いよ」

そのとき、スーツ姿の玄一がこちらへ歩いてきた。

整った、どこか無害そうな顔立ち。

いかにも女性受けしそうな優男だった。

「小林さん、葵を責めないで。全部、僕が悪いんだ。

僕が欲張りだったんだ。彼女が今愛しているのは小林さんだと分かっていたのに、それでも僕は、ちゃんとした儀式をしてほしかった。

殴っても、罵っても構わない。全部僕にしてくれ。どうか葵だけは責めないでくれ」

そう言いながら、玄一は本当に俺の前に跪こうとした。

葵は慌てて彼を支え、そのまま自分の後ろに庇った。

「玄一、体が弱いんだから、無理に動かないで」

そう言うと、彼女は振り返って俺を見た。その目には、非難の色が浮かんでいた。

「隼汰、いったいどうしたいの?私はもう説明したし、謝ったでしょう。玄一だってここまで譲歩してるのに、それでも私たちを追い詰めるつもり?」

俺は、まるで世間に見捨てられた恋人同士のように寄り添う二人を見つめた。

すると、急に可笑しくなった。

「一人は3年間、俺を騙し続けた。もう一人は、彼女に恋人がいると知りながら、しつこく付きまとった。

お前たち、『譲歩する』って言葉の意味を勘違いしてないか?」

俺が言い終えると、あるクラスメイトが我慢できなくなったように口を挟んだ。

「隼汰、お前、いい加減にしろ。

玄一は葵を大学まで通わせるために、一生懸命に働いて腰を壊したんだぞ。お前は葵のために何をしてやった?

お前はただ、葵と昔から付き合ってるっていうだけで、毎日のように彼女にプレッシャーをかけて、別れられないようにしてただろ!」

別の男もすぐに同調した。

「そうだ!葵はいい子なんだ。お前に彼女の人生をめちゃくちゃにさせるわけにはいかない!」

俺は周囲を見回した。そこにいるのは、大学4年間、ずっと見慣れてきた顔ばかりだった。

俺は彼らの勉強を教え、履歴書の添削を手伝い、急な出費が必要になったときには金まで貸した。

それなのに今、彼らは全員、正義を振りかざして俺を踏みにじっている。

「……そうか。分かった」

俺は驚くほど冷静に葵を見つめた。

「そこまで愛し合っているなら、俺が身を引いてやる」

俺はバッグから鍵束を取り出した。大学の近くで俺たちが借りていた部屋の鍵だった。

家賃を払っていたのも俺、敷金を出したのも俺だった。

俺は鍵を葵の足元へ投げ捨てた。

「明日中に、お前の荷物を全部運び出せ。期限を過ぎても残っているものは、全部ゴミ箱に捨てる」

葵の顔色がわずかに変わった。だが、すぐに平静を取り戻した。

「隼汰、今は頭に血が上ってるんでしょう。今は何も言わないでおく。何日か経って、あなたが冷静になったら、また会いに行くから」

俺は何も答えず、そのままホテルを後にした。会場を出た直後、背後から歓声が上がった。

「やっとこの束縛男を追い出せた!」

「ほら、続き続き!」

「キスしろよ、キスしろ!」

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