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第2章:君の隣、少しだけ近づいた午後

Penulis: 相沢蒼依
last update Tanggal publikasi: 2026-09-07 09:08:32

昼休み、教室の隅っこで弁当を広げていたら、隣の席の林田が唐突に声をあげた。

「なあ、隣のクラスの氷室って、マジで女子から人気あるのに、誰とも付き合ったことがないらしいぜ」

「え、そうなの? でもなんかわかるかも。あの人、完璧すぎて近づきづらいもん」

「アイツ、生徒会長さまだしな! 氷室よりも俺のほうが付き合いやすいだろう?」

クラスの女子たちが、そんな噂をしているのが耳に入ってきた。

(氷室……誰とも付き合ったことがないんだ)

その事実になぜか心の奥に、小さな波紋が広がるような違和感が残った。別に自分に、関係があるわけじゃないのに。

「なぁ林田。その噂って本当なのか?」

女子の話にまざろうとしていた林田に声をかけたら、すげぇ嫌そうな目で睨まれた。相変わらず、声をかけるタイミングが悪かったらしい。

「アイツの顔見たらわかるだろ。背が高くて足だってムダに長くて顔も整ってて、成績も優秀な生徒会長さまなんだからさ」

「そうそう。見た目がいいのに、なんていうか隙がなさ過ぎて、とっつきづらいよな!」

俺も林田に合わせるように、わざと軽口を返した。

「あんないっつも同じ顔つきのヤツ
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  • BL小説短編集   第2章:君の隣、少しだけ近づいた午後

    昼休み、教室の隅っこで弁当を広げていたら、隣の席の林田が唐突に声をあげた。「なあ、隣のクラスの氷室って、マジで女子から人気あるのに、誰とも付き合ったことがないらしいぜ」 「え、そうなの? でもなんかわかるかも。あの人、完璧すぎて近づきづらいもん」 「アイツ、生徒会長さまだしな! 氷室よりも俺のほうが付き合いやすいだろう?」 クラスの女子たちが、そんな噂をしているのが耳に入ってきた。(氷室……誰とも付き合ったことがないんだ) その事実になぜか心の奥に、小さな波紋が広がるような違和感が残った。別に自分に、関係があるわけじゃないのに。「なぁ林田。その噂って本当なのか?」 女子の話にまざろうとしていた林田に声をかけたら、すげぇ嫌そうな目で睨まれた。相変わらず、声をかけるタイミングが悪かったらしい。「アイツの顔見たらわかるだろ。背が高くて足だってムダに長くて顔も整ってて、成績も優秀な生徒会長さまなんだからさ」 「そうそう。見た目がいいのに、なんていうか隙がなさ過ぎて、とっつきづらいよな!」 俺も林田に合わせるように、わざと軽口を返した。「あんないっつも同じ顔つきのヤツよりも、俺みたいにいろんな表情が拝める男のほうが、絶対いいに決まってるって! ねぇねぇ、誰か俺と付き合わない?」 俺とのつまらない会話を勝手に終わらせて、女子の園に首を突っ込んだ勇気のある林田に、心の中でエールを送りながら、弁当を食べ進める。 窓の外では赤や黄色の葉っぱが、ひらひらと舞っていた。風にあおられて落ち葉がひとひら飛んできて、教室の窓に貼りついた。 氷室の横顔を思い出すと、その落ち葉までもが彼に似合っているように見えてしまう。「傘を差し出したときの氷室、絶対に笑ってたんだって……」 俺にだけ見せたその笑みの理由が、どうにもわからない。学校の勉強も理解できない俺なので、氷室の頭の中なんか、さらにわかるハズもなく――。 モヤモヤした気持ちを抱えたまま弁当を食べていたら、不意に今日までに提出しなければならない課題を思い出してしまった。(あーあ、またやっちゃった。なんでこう、大事なものを忘れちまうんだろうな、俺ってば……) 放課後、肩を落として、図書室で課題に必要な資料を探していたときだった。静かなページをめくる音だけが響く中、ふと視界の端に見覚えのある姿が目に映る。

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