だからという訳でもないが、理玖は最初から晴翔を意識していた、と思う。
毎日午後二時に部屋に雑務をこなしにやってくる晴翔を、嫌だとは思わなかった。
部屋に来るたびに何となく姿を見詰めてしまうのは、容姿が美しいからだ。美しかったり可愛いものは見ていて飽きない。
美人は三日で飽きるなどというが、晴翔の姿はどれだけ眺めても足りないと思った。
「先生、ゴミ箱のゴミ、捨てますよ」
声を掛けられて、足元に目をやる。
「あぁ、ありがと」
ゴミ箱を持ち上げて晴翔に手渡す。
晴翔は不用意に机を覗き込んだりPC画面を確認したり、探るような仕草はしてこない。一定の距離感を保ってくれる。それが心地良かった。
(折笠先生にも見習ってほしいな。二十代前半の若者が出来る行動を四十になる大人が出来ないのは、何故なんだ)
パーソナルスペースという概念自体が崩壊してる折笠に愚痴が湧く。
晴翔が動きを止めて、珍しく理玖の机を見詰めていた。
「この人形、可愛いですね。触ってもいいですか?」
机の上のあみぐるみを指さす。
「どう