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344話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2026-04-08 19:37:23

もしかしたら、苓さん──?

そんな、微かな期待を抱いてしまう。

もしかしたら記憶が戻って、会いに来てくれたんじゃあ……。

そんな風に考えた私を嘲笑うかのように、使用人の女性が訪問者の名前を口にした。

「御影さんが、来られています」

「御影さん──?」

どうして御影さんが、と困惑する。

「……分かったわ、今行く。御影さんは客間に?」

「はい、外でお待ちいただくのも、と思い……」

「……そうね。記者はもう居なくなってるけど、他の人に見られる可能性があるから、中に通してくれて助かったわ、ありがとう」

「いえ、とんでもございません」

では、私はこれで。

そう告げて、使用人の女性は戻って行った。

私はため息を吐きつつ、カーディガンを上に羽織ると自室を出た。

客間に通されている、と言う御影さんの元に向かった。

ドアをノックし、室内に入る。

「こんな時間に何の用ですか、御影さん」

「──茉莉花」

私が部屋に入るなり、ソファに座っていた御影さんが立ち上がる。

私は部屋の扉を全開にしたまま、御影さんに近付いた。

部屋のすぐ外の部屋には、使用人が控えてくれ
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  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   155話

    苓さんとキスを交わしながら、私はここ最近感じていた違和感を確かめるように、自然な流れで薄っすらと唇を開いた。 だけど、苓さんはそれに気付いているはずなのに、唇を重ね合わせるだけの可愛らしいキスばかりを私に贈ってくれる。 以前、一夜を共にしてしまった時の、情熱的な、まるで食べられてしまうんじゃないかと言うくらいのキスは、お付き合いを始めてから1度もされた事が無い。 苓さんがしてくれないなら、と私からしてみようとしたその時──。 「──っ、茉莉花さん……っ」 「んっ、苓さん……?」 私が何をしようとしているのかを察したのだろう。 苓さんはがばり、と私から体を起こして離れてしまった

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  • あなたの「愛してる」なんてもういらない   151話

    ◇ 「──痛っ」 「茉莉花さん、大丈夫ですか!?」 料亭の、一室。 私たちは予約していた部屋に案内されていた。 そこで席に着くなり、私の足元に跪いた苓さんが靴を脱がせてくれたのだけど、その時に伝わった振動が捻った足首に響き、私は小さく声を上げてしまった。 私が痛みを訴えた瞬間、苓さんが慌てたように声を上げ、申し訳ないと何度も謝罪をする。 「大丈夫です、苓さん。我慢できずごめんなさい」 「我慢なんて出来るはずないですよ……こんなに赤く腫れてる……。藤堂社長、やっぱり茉莉花さんを夜間病院に連れて行きませんか?」 苓さんは傍らに立つお父様にぱっと顔を向けて提案する。 お父様も

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