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第3話

Author: 年々
五つ星ホテルのパーティー会場は、目がチカチカするほどキラキラしていた。

美羽は、細かなダイヤモンドが散りばめられた真っ白なドレスを着て、彩花の両親と腕を組んでいた。

健太は少し離れた場所に立ち、その視線はキラキラと輝く美羽をずっと追いかけていた。

千佳は美羽の手をぎゅっと握り、目じりが下がっていて、とても可愛がっている様子だった。

学は司会者からマイクを受け取った。「今日は、我が家の美羽ちゃんが難関大学に合格したお祝いの日です。そして、私たち黒崎家にとっては、もう一つおめでたいことが重なった日でもあります!」

もう一つおめでたいこと?

不吉な予感がして、彩花は思わず拳を握りしめた。

千佳がマイクを受け取り、隣にいる美羽を愛おしそうに見つめた。

「美羽ちゃんは本当に不憫な子で、小さいころに父親を亡くし、母親にも早くに先立たれてしまって……」

彼女の声には、どうしようもないほどの同情がこもっていた。「でも、この子は本当に聞き分けが良くて優しく、実の娘よりも優しいくらいですよ!

今日、私たちは美羽ちゃんを正式に義理の娘として迎えることにしました。これからは、この子は私たち黒崎家の子です!」

ガーン――

彩花の頭は一瞬で真っ白になった。義理の娘として迎えるだって?

自分に一言の相談もなく、彼らは大勢の前で美羽を義理の娘として迎え入れた。

自分の未来を奪おうとしている、そんな義理の娘を。

スポットライトの下、美羽は泣き声をまじえて甘えるように叫んだ。「おじさん!おばさん!」

「おお!良い子だ!」

学と千佳は彼女をぎゅっと抱きしめ、声をあげて泣いた。

健太は口元に笑みを浮かべ、この「感動的な」場面を優しい目で見つめていた。周りからは、次々とお祝いの言葉が聞こえてくる。

彩花は冷たい隅の暗がりに立ち、まるで世界から忘れ去られた部外者のようだった。

続いて、健太が大きな赤いバラの花束を美羽の手に渡した。

「美羽、志望大学合格おめでとう。これからはずっと元気で幸せに、素晴らしい未来を歩めることを願ってるよ」

司会者が元気いっぱいに声をかけた。「さあ!大切な記念すべき時ですよ、家族写真を撮りましょう」

次の瞬間、彩花の心は凍りついた。

ステージの上の四人は、ごく自然に並んで立った。黒崎家にもう一人、実の娘がいることなど、誰も思い出さなかった。

カメラがカシャッ、と軽快なシャッター音を立て、一枚の仲睦まじい「家族写真」が誕生した。

彩花が呆然としていると、美羽が人混みを抜けて、跳ねるようにこちらへやって来た。

「彩花さん!見て、これ健太さんがくれた指輪なの」

なんと彼女はその指輪を、結婚を意味する左手の薬指にはめていた。

彩花はハッと顔を上げた。「美羽、これはどういうつもり?」

美羽のうるんだ大きな瞳の奥に、一瞬だけ、意地の悪い嘲笑が浮かんだ。

「彩花さん、怒ってるの?さっき写真撮る時に呼ばなかったから?」

彼女は少し間を置いて言った。「だって彩花さん、あなたはもうすぐ死んじゃうんでしょ?家族写真に写ってたら、縁起が悪いじゃない、ね?」

「どいて!」

彩花は歯を食いしばり、そう吐き捨てると、さっと身をかわしてパーティー会場を出ようとした。

しかし、彼女の腕が美羽の体の横をかすめた、その瞬間――

「きゃあ!」

甲高い悲鳴とともに、美羽が派手に後ろへ倒れた。

倒れた先には、まるで示し合わせたかのように、ウェイターがシャンパングラスを並べたトレイを運んでいた。

ガッシャーン――

グラスは床に叩きつけられて粉々に割れ、破片とシャンパンが飛び散った。

美羽は苦しそうに叫び声をあげた。左手で右手首を押さえており、その指の間からは血があふれ出していた。

パーティー会場は、一瞬にして静まり返った。

全員の視線が、床に倒れている美羽と、その前にこわばった体で立ち尽くす彩花に、一斉に突き刺さった。
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